12月に入りました。師走です。2009年も、30日を残すのみとなりました。昨日から、本HPの背景を、クリスマスバージョンに切り換えました。背景に季節性を持たせてから一年になりました。来月に入ると、今度はBGが雪景色に変わります。ご期待を。本日は、「ダイヤモンド ホームセンター」に頼まれた原稿(2010年1月号)です。たびたび書いている事柄で、あまり目新しくはありませんが、、、
「コラム:データ・インターセクション」
『ダイヤモンド、ホームセンター』 2010年1月号「花き市場の現状と将来」
いまの花き市場の特徴をあげるとすると、「価格の下落」「輸入品の急増」「量販チャネルの拡大」の3つである。食品SMや衣料品チェーン、HCで20年前に起こったことが、花の産業でも起こってはじめている。花き類は、大きく分けると「切り花」(2008年卸出荷ベース、約3000億円)と「鉢物・花壇苗」(同、1800億円)に分かれる。需要が大きいのは切り花なので、以下では、切り花についての記述になる。
切り花の国内需要は、消費金額では1995年がピークだった(図表1:一世帯当たり切り花消費金額)。それ以来、年間約55億本で一定している。大きく変わったのは、輸入が4億本(シェア7%)から10億本(シェア18%)に増加したことである。日本人は、年に約42本の切り花を購入している(実際は業務用が7割)が、そのうちの7本は海外産の花である。主要な輸入品目(2008年の輸入本数;代表的な国)は、カーネーション(約2億本;コロンビア、中国)、キク(約2億本;マレーシア、ベトナム、中国)、バラ(約1億本;インド、ケニア)である。
5年ほど前までは、輸入切り花と国産品には、歴然とした品質差があった。しかし、現地で生産技術が改善され、輸送技術が向上し、品質管理を徹底したことで、いまやマレーシア産のキクなどでは、国産品と価格差が逆転している。それに加えて、円高が輸入の増加に有利に作用している。ちなみに、この間の切り花単価(卸出荷ベース)は、統計上はほとんど変化していない(54~56円/本)。さらに10%程度は下落する可能性がある。
切り花の専門店の販売は減少している。商業統計上(2005年)では、全国に2万4千店の「花・植木小売店」があることなっている。食品スーパーやホームセンターでは、生花の取り扱いが増加している。量販店の花の販売額は、業態別の売上販売額に、一定比率(SMやHCの販売データやPI値を参考にして推測)を掛けて計算できる。総販売額(2008年推計値、SMとHC)は、約1600億円である(鉢物・花壇苗を含むので、切り花だけでは、約1400億円)。
総売上 比率 生花売上
HC 3兆1千億円×0.2% = 600億円
SM 21兆円 ×0.5% = 1,000億円
参考までに、花専門店は全国に2万4千店、平均販売額が2800万円である。だから、専門店の小売り販売額は約6700億円。量販店のシェアは、約20%である。量販店のシェアは、欧米では60~70%に達している。
ホームセンターと食品スーパーでは、切り花の販売方法と取り扱いアイテムが異なる。HCでは、仏花(キクなどの和花)が中心である。セルフ販売で、輸入品がメイン。センター加工が中心である。それに対して、食品スーパーンでは、セルフの委託加工(ラックジョバー方式)がメインではある。扱い品目は、洋花(バラなど)の比率が高くなる。ただし、国産のほうがメインである。切り花が売れている食品チェーンでは、惣菜のようにセミセルフで展開している店が増えている。
なお、関東の食品スーパー「ヤオコー」では、切り花の鮮度保証(5日間の日持ち保証販売)が始まっている(現在、全品目の保証は3店舗)。これは、日本のスーパーでは初めての試みである。英国(テスコ)では1993年に、フランス(カルフール)では2000年に鮮度保証がはじまって、切り花の市場を拡大することに寄与している。その後、ドイツ(ブレーメ2000)と米国(HEB)では2005年から、オランダ(アルバートハイン)でも2008年から、鮮度保証販売がスタートしている。将来は、日本でも全国のチェーン小売業に広がることを期待している。