昨日は、夕方まで会議の連続だった。会議時間が長くなるとあまり良いアイデアがでなくなる。ところが、昨日の「JFMAプロモーション・プロジェクト」のミーティングは例外だった。
10月19日からの3日間、日本フローラルマーケティング協会は、リードジャパンと共同で「IFEX2006東京」(花と緑の国際商談会)を開催する。今年からは、会場を東京ビッグサイトから幕張メッセに移して、出展社の規模も70%増えることになった。国内外から600社が参加、1000コマの出展規模である。
初めてわずか3年で、IFEXはアジア最大規模の国際展示会になった。ビジネスとして大成功であるが、盛況であるがゆえに内容が問われることになる。主催者としては、単なる商談会ではなく、世界に向けて浸透力のあるメッセージを発信したいと思っている。
そのひとつが、IFEXのキャッチコピーである。中長期のテーマは、「fresshness 2006」(広い意味での鮮度訴求)」に決まっている。昨年からは、種々のパンフレットにこのコピーを使用している。しばらくはこれで統一しようと思っているが、当面(短期)の2006年のIFEXコピーが定まっていなかった。5月からIFEXのPRチームがさんざん頭を悩ませていた懸案事項である。
* * *
午前中に開かれたIFEX実行委員会(年寄りチーム!)でも、2006年のキャッチコピーを検討した。その結果、午後のプロモーションプロジェクト(若者チーム)に最終決定を任せることになった。要するに、ギブアップ!である。ただし、いくつかのアイデアをホワイトボードに残しておいた。例えば、JFMAのホームページにある「くらしにもっとお花を」、「かんたん」「お花はメディア」、DIY協会が業界を拡大のときに使った「くらしに力をDIY!」などがヒントとしてあげられていた。
午前中の会議が終わって食事をしているとき、わたしの携帯にメッセージ(ショート・メール)が送られてきた。送り主は、しごとの都合で午前中の会議を途中退席していた松村君(自由が丘フラワーズ)である。たぶん電車の中からであろう。
「Shall we flower?というのはどうでしょうか」。退室する直前に、松村君は花を動詞的に使えないでしょうか、と言って会社に帰って行った。ずっと考えていたのだろう。わたしが松村君からメッセージが届いたことを告げると、その場にいたJFMAメンバーからは笑い(好意的な)が巻き起こった。取りまとめ役の松島さん(専務理事)が、白板の右下の隅っこに「Shall we flower?」と付け加えた。
* * *
午後3時からの「プロモーションプロジェクトチーム」(以下、PRプロジェクトと略記)の会議は、理事会の議事進行が遅れたので、15分遅れではじまった。PRチーム全体の座長は、岐阜のセントラルローズの大西さんである。花の消費拡大を目的とするプロジェクトで、青山フラワーマーケットの井上社長、キリンG&Fの小川典子さん、大田花きの宍戸君がチームリーダーとなっている。メンバーが比較的若いのが特徴である。今回最初の一時間だけは、IFEX実行委員会とPRプロジェクトと合同になっていた。キャッチコピーの決定など、共通認識としておきたい案件がいくつかあったからである。
IFEXの実行委員なので、松村君も会社から戻ってきて席に着いていた。わたしは、キャッチコピーの決定にまだまだ時間が取られるだろうと思っていたが、ホワイトボードに残されていたメッセージを見て、午後から参加してきたキリンF&Gの小川典子さんが「Shall we flower?ってコピー、いいんじゃないですか」。めずらしく、メンバーの誰に聞いても、このコピーには賛成であった。3ヶ月も宙ぶらりんになっていた課題がわずか5分で決着してしまった。コピー創案者の松村君に、拍手が起こった。「会長賞だね!」 私の方を見て皆が言った。
そのあとのことは、詳しく説明しないが、「Shall we flower?」でキャッチコピーが決まると、あとで議論されるPRチームの実行課題「フリーペーパー」や「WEB設計」(小川典子さんリーダー)なども、話がとんとん拍子で進んでいった。
言葉の力である。プロジェクトのアイデアはたくさん出ても、そのアイデアをつないで思いを伝える短い言葉が共有化されないと、実行に至るまでのプロセスが活性化しないのである。「Shall we flower?」というメッセージは、もちろん「Shall we dance?」のもじりである。したがって、flower(フラワー)は動詞として使われている。ちなみに、flowering(花が咲く、開花する)という動詞が実際に存在している。しかも、flowerという言葉自体が、flow(流れる)の派生語である。とても、由来の良い言葉なのである。
* * *
何人かの女性に印象をたずねてみた。「花の消費を拡大するプロモーションのコピーとして、どのように感じますか? 昨晩中に三人から答えが帰ってきた。
***
IFEXキャッチコピーの感想ですが、映画のイメージと重なるので少し気恥ずかしい感じを受けます。でもわかりやすく伝わりやすいですし、柔らかい表現で良いと思います。(NM)
***
> 「Shall_we_flower?もっとあなたの身近に花を」など、使いますかね。
日本語がプラスされるといい感じですね。きれいだと思います。ただし・・・shall we danceを連想してしまうのはわたしだけでしょうか。すなおな感想です。(OG)
***
SHALL WE FLOWER いろんな意味にとれてとってもわかりやすいと思います。後はプレゼンの仕掛け次第かと 小川先生の出番です。(SF)
たしかに、このメッセージは、解釈に自由度がある。さらにもじって、Shall we rose? などは行き過ぎか? リチャードギアがタレントキャラクターである。女性陣の意見は、絶対に役所広司ではない!であった。