【お知らせ】本日発売の『新潮45』(7月号)の表紙を、小川の「社外取締役は本当に必要か?」が飾っています

 この記事論文は、マクドナルド本に続いて物議を醸すかもしれない。4月に会社法が改正されて、多くの上場企業は複数の社外取締役を選出することになった。いま株主総会が開かれている。この制度が本当に機能するかどうかについて、わたしは大いに疑問である。



 論点を簡単に述べると、以下のようになる。
 本家の米国では、社外取締役が多数を占めているが、これは法制度として規定されたからではない。結果として、自然にそのようになっただけである。なのに、日本の企業社会でも社外取締役が「監視と助言」の役割を担うのが当然のごとく議論がなされている。
 社外取締役を義務付けることはナンセンスである。なぜなら、日本の企業社会の成りたちが、欧米とは異なっているからである。実際に社外取締役がいても、オリンパスでは不正を防げなかった。
 ソニーは、13人中9人が外部の社外取締役なのだが、その後に業績が改善したという話は聞かない。それどころか、「お仲間」を社外から連れてきても、経営の監視ができるどころか、役に立つ助言も得ることはむずかしいだろう。実際に、社内取締役の報酬を社外取締役が否決したという話など聞いたことがない。それが現実である。

 つまり、ほとんどの場合、日本では社外取締役の機能が不全に終わる可能性が高いのである。
 そして、公開されているデータ(誰が就任しているのか?)を見てみると、現役経営者だけでなく、天下り官僚と弁護士・公認会計士が社外取締役の多数を占めていることがわかる。新たな天下り市場は、年間約700億円。上場企業は、見栄えのよい女性経営者や教授(タレント)を社外取締役として多く採用する傾向がある。
 そうした会社の女性管理職(ミドル)に感想を聞くと、「なんのためにそのような女性たちを(自分の会社に)連れてくるのかがわからない。彼女たちがわたしたち女性管理職のロールモデルになるとも到底思えない」と答えてくれる。

 というわけで、本日の発売が楽しみである。またしても、外野から石が飛んできそうだ。