書評: 浅羽茂・須藤美和『企業戦略を考える』日本経済新聞社(★★★★)

継続的に新著を献本していただける研究者仲間に、学習院大学(経済学部)の浅羽先生がいる。東大経済学部の後輩で、専門は企業戦略論である。



 過去、海外の学会などに一緒に参加することがあったが、新宅君(東大経済学部)のように、一緒に論文を書いたことはない。しかし、何かにつけて、(お互いの)仕事が気になる存在ではある。

 前著『ビジネスレボリューション 小売業は進化する』(NTT出版2004)では、ユニクロを扱っていたり、「おやおや、浅羽さんも小売業へシフトしたのかな?」と一瞬思ってしまったくらいである。
 今回は打って変わって、IBM、エプソンなど、グローバルに活躍している大手電気・電子メーカーの事業を中心にまとめている。本書は、ビジネスマン向けに、事業戦略の立て方をやさしく解説した書である。あまり類書はないように思う。
 というのは、これだけ平易に、企業戦略の立て方と基本コンセプトをかみくだいて解説できている本はないと思うからである。学生にも、ぜひ一読をお勧めしたい。とても読みやすい文章である。

 ご本人に伺ったところ、事例の部分などは、共著者の須藤さん(東大理学部卒、公認会計士)が執筆してくれたらしい。彼女は、大学時代のテニスサークルの後輩だという。
 卒業してから25年を経てから、サークル仲間と一緒にビジネス本を書けるということがすばらしい。うらやましいことであるし、浅羽君の人柄です。