「丁寧な取材、好奇心の衰え」

千葉の自宅に作業場を戻すにあたって、10~15年くらい前の書類を処分している。当時の取材記録で、もはや必要がなくなったものを処分している。


今朝も10箱分の書類を捨てた。書斎が広くなってすっきりした。
 その反面で、過去の取材記録のバインダーを見たり、むかし企画した講演会やプロジェクトの記録を見直すよい機会にもなっている。一部は、捨てないでそのまま保管することにしている。
 そんな作業を続けていると、いまの自分に対する反省点が多く見つかる。というのは、過去に実施した企業とのタイアップ調査や企画プロジェクト(コンサルティングや研修指導)に対して、当時の自分が若くて新鮮な興味・発想で、それぞれのテーマに取り組んでいたことを思い出すからである。
 研究者にとっていちばん大切なことは、対象やテーマに対する驚きをもちつつけることである。だんだんと慣れてくると、新鮮さを持続することはなかなかむずしい。われながら情けないと思うのは、時間の制約の中でしごとを進めているので、分析やプレゼンのまとめ)が手抜きになりがちなことである。そんなつもりはないが、実際に10年前の取材ノートを見ていると、当時の自分がういういしい気持ちで、新しいテーマに取り組んでいたことがわかる。
 90年代に、トヨタ自動車で実施した社内プロジェクトはすばらしかった。花産業の世界では、国内海外の取材を中心にさまざまなひとに出会った。そのときに感じた日記式の取材ノートは、いま読み返してもおもしろい。フレッシュな気持ちと丁寧な分析が見えるからである。ふたたびそう心がけたいと思っている。研究者、観察者として、また振り出しに戻ったのだと思っている。