本日のDWは懺悔になる。編集者に出版を約束していながら、いまだに作品が日の目をみていない本が10冊ほどある。途中まで完成しているのや、たった1章だけが書き上がっているものもある。
そうした中に、裏ビジネスのマーケティングの仕組みを解説した『禁忌を売る:タブーのマーケティング)』(出版社は秘匿します)という構想の本がある。最後のバージョンの日付は、1998.1.1(Ver.2.0)となっている。恥を忍んで、以下に企画書を公開することにする。自分を鼓舞する意味もあるが・・・
<本書の構想>
人間は本質的にたいへん愚かな存在である、とわたしは思っています。しかし、愚者は愚者なりに、生存と欲望の実現のために悪知恵を発達させるものです。とくにお金が絡むとなると、人は恐ろしいほど卓抜したアイデアをひねり出します。
社会的・倫理的に問題となるようなあやしげな商品やサービスには、法外な価格プレミアムがつくことがあります。そうした商品の取引は、ビジネスの観察対象として、たいへんにおもしろい素材を提供してくれます。商品の取引を成立させるためには、売り手と買い手が市場で出会わなければなりません。ところが、何らかの理由で売買が社会的にタブー視されている場合、売り手・買い手ともに、おおっぴらに表舞台に登場することができません。そんなわけで、両者を引き合わせるためには、「密かな出会いの場」が用意されていなければなりません。
実は、マッチング市場をどのように設定するかが、禁忌を売る場合の最大のポイントになります。とりわけ、ビジネスを成功させる鍵となるのは、買い手の行動についての格段の配慮と創造的な商品パッケージの開発です。
通常の「表ビジネス」の世界と同じく、禁制の品であっても、売り手の側からマーケティング活動が展開されます。ただし、「裏ビジネス」の世界では、このマーケティング行為が極端な形であらわれてきます。たとえば、広告コミュニケーション活動には、詐欺まがいの説得行為があったり、販売価格が法外な水準に設定されたりします。取引を円滑にするための仕組みに創意工夫を凝らすこと、すなわち、市場と商品の創造的なイノベーションが、タブーをマーケティングするときの醍醐味でありおもしろみです。
禁忌を売るビジネスで重要なことは、売り手がぎりぎりの倫理を守れることです。タブーを販売しているのだから、何をしてもよいというわけではありません。事業が持続可能であるためには、最低限度の社会的ルールを遵守することが必要です。アングラ市場とはいっても、それなりの倫理コードがあったり、踏み外してはいけない「禁じ手」があったりします。タブーのマーケティングに求められるのは、このぎりぎりの倫理観なのです。
本書のねらいは、タブーを売るビジネスをマーケティングの観点から”明るく楽しく”記述することです。タブーを取り上げることで、通常のマーケティングを語る以上に、マーケティングの本質に迫ることができたらと思います
知的所有権の問題があるので、アイデアを盗まないでくださいね。
なお、エステティックサロンの部分は、HPのR&Rにアップします。
楽しくお読み下さい。もくじは、一部を公開します。
<もくじ>
1 夢: やがてはかなき夢のあと先
●アイドルの誕生: アイドルのライフサイクル管理
●理想の結婚相手をさがします
●昔の恋人を見つけます 尋ね人の追跡調査
●宝くじのウソとほんと 当選者はほんとうにいるのか?
2 死: メモリアルビジネスの裏側
●死に神より先に棺桶がやってきた
●そんなもの誰が買うの? ペットの保険
●世界を股に掛ける調達ビジネス 墓石の調達販売作戦
●坊主丸儲けの構図 お寺の経営学
3 秘密: 人の弱みにつけ込んで
●隠れた説得者たち 育毛・増毛・かつらビジネス
●真昼の探偵団 不倫の調査・探偵事務所
●生まれ変わるためのお値段 エステティックサロン
●こんなものが売られていました 裏通信販売の歴史
●紳士たちの密かな楽しみ
4 ギャンブル: 一億総ギャンブラー化する日本
●JRAは壁に突き当たったのか?
●地方競馬の復活策 大井競馬所のツインクルレース
●パチンコ産業のハイテクレース 17兆産業の快進撃
●第2市場の悲哀 不況の落とし子たち/競輪・競艇
●町から雀荘が消えて行く
以下は簡略に
5 風俗: 一兆円産業の認知作戦
6 教育: 神聖な世界の不浄
7 健康: 金で買えるもの、買えないもの
8 ギフト: 犯罪とは紙一重
9 迷惑: それでも懲りない人がいる
10 宗教: それでもあなたはだまされる
11 便利と安全: 現代人の怠惰と安逸