日本で2番目に社会人向け夜間ビジネススクールをはじめてから、今年でちょうど10年になる。筆者は最初の経営学専攻主任(創業者)であった。
法政大学経営大学院(Hosei Business School:略称HBS )にはいくつか特色がある。立地の良さ(JR市ヶ谷駅から徒歩5分)、コース制度(マーケティング、人材開発、企業家など)の採用と並んで、経営者や実務担当者をお迎えしての「マーケティング・ワークショップ」がその魅力の一つである。
毎年テーマを定めて、年間10~12人の外部講師のかたに講演をしていたく。講演は80~90分で、その後は、Q&Aの時間が60分以上続くことになる。同僚の矢作敏行教授の表現では、法政の大学院に入ると、ワークショップで「生きたケーススタディ」を楽しむことができる。
「マーケティング・ワークショップ」には、すてきなジンクスがある。大学院401教室で講演をした招待講師は、数年のちに経営トップに就任できる確率がけっこう高い。たとえば、現・ソニーCEO会長・井出伸之氏(当時は末席常務)には、1993年の秋に「ソニーのブランド戦略」というテーマで講演していただいた。その2年後に、出井さんは14人牛蒡抜きでソニーの経営トップに就任した。
思い起こせば・・・夕方6時半から講演をはじめて、9時半にQ&Aが終わったが、その後、出井氏は議論を続けたかったらしく、われわれ講師2人+ワーショップ参加者14、5人と市ヶ谷の「サントリーパブ」に移動することになった。ソーセージとポテトをつまみに、ビールをピッチャーでずいぶんと飲んで議論した。帰りは11時半すぎになってしまったことを思い出す。
そういえば、あの年のワークショップは豊作で、無印良品の木内正雄(当時は部長?)にも講師をお願いしていたはずである。その後、木内さんは、無印の社長に就任され、現在は西友で社長を務められている(無印は現在会長?)。
さて、開講10年目に当たる2001年度の今年度は、ふたたびテーマを「ブランド」とすることになった。以下に、スケジュールと講演者一覧表を紹介する。この中から、将来の社長候補者が出るはずである。すでに一部上場企業の創業経営者がわざわざ神戸からお見えになることになっている(ロックフィールド・岩田社長)。
①9月26日:「イントロダクション:企業経営とブランド構築」
法政大学経営学部教授 小川孔輔
②10月3日:「成熟ブランドの活性化~トヨタカローラ」
トヨタ自動車(株)宣伝部メディアイベント室担当課長、中村洋一氏
③10月10日:「日産自動車の企業ブランド戦略」
日産自動車(株)グローバルマーケティング本部販売マーケティング部
ブランドマネージメント主担。原田利恵子氏
④10月17日:「J.Walter Thompsonのグローバルブランドコミュニケーション」
J.ウォルター・トンプソン ジャパン(株)別島勝彦氏、取締役総支配人。
⑤10月24日:「日本航空のブランド戦略」
日本航空(株)宣伝部部長・板谷慎一氏
⑥10月31日:「サントリーBOSSのブランド構築」
サントリー(株)食品事業部、課長、北川廣一氏。
⑦11月7日:「ユニクロの通販・ネットブランド構築」
(株)ファーストリテーリング ダイレクト販売事業部
執行役員 柚木治氏
⑧11月14日:「キリンビールのブランド戦略」
キリンビール(株)営業本部マーケティング部 前田仁部長
⑨11月21日:「安心と健康のブランド:ロックフィールド30年の軌跡」
(株)ロックフィールド代表取締役社長 岩田弘三氏
⑩11月28日:「サントリー・プロントの誕生」
サントリー(株)花事業部 本名正二部長
⑪12月5日:「イオングループのブランド戦略」
ジャスコ社長室長・平林秀博氏。
⑫12月12日:(課題発表予定)M2グループ中心
⑬12月19日:(課題発表予定)M1グループ中心
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