3週間ほど前(3月24日)のことになる。豊橋でハーフマラソンを走った帰り道、静岡駅で途中下車することになった。その日は、拙著『ローソン』の発売日だった。ローソン静岡呉服町店(石塚オーナー経営)で、拙著を100冊、まとめ発売日に陳列するとの連絡が入った。
発売日の午前11時半ごろ、杉山浩之くん(販売促進研究所)と静岡の呉服町店を覗いてみた。たしかに、レジカウンター横にローソンブールの本が20冊ほど平積みしてあった。
店内の奥の方にある「マチの本屋さんオーナー」に移動すると、そこには拙著が100冊ほど、”面陳列”がなされていた。コンビニの棚に、同じ表紙の本が100冊、陳列されている様子は実に壮観だった。
石塚オーナー曰く、「先生の本を300冊、予約しました(商品部の担当者には500冊発注したが、200冊しか発送してもらえなかったらしい)。事前予約で200冊はすでに売れています」とのこと。半年ほど前から予約をとって、注文してくれたお客さんや知り合いには、「発売日が来たら、呉服町店で購入してくださいね」と通知してあったらしい。
思い切った予約受注方式がコンビニでも機能するのかどうか? 半信半疑ではいたので、その後の経過が気になってもいた。しかし、とくに石塚さんからは、その後の3週間は報告は来なかった。
一昨日のことになる。昨年と全く同じ日(4月18日)に、販売促進研究所で講演会を開くことになった。テーマは、「コンビニの未来、ローソン竹増改革」である。その日の午後、同じく依頼を受けて出演することになっていた「FM島田」のラジオ番組の収録前に、100冊のうち何冊が売れているのかを確かめるため、今回も杉山君とふたりで呉服町の店を覗いてみることにした。
事前に連絡していなかったので、石塚オーナーの姿は店舗では見かけなかった。夕方からの講演会に石塚さんがやってくることになっているので、とりあえず奥の「マチの本屋さんコーナー」で本の売れ行きを確認してみた。
先月末(3月24日)の状態のままで、呉服町店の面陳列はまったく変わっていなかった。わたしが目検索したところでは、推定40冊ほど棚に残っていた。レジ横の平積みもそのままで、こちらの残部は10冊ほどである。
店の事前予約注文は100冊と聞いていたから、合わせて50冊ほどが売れ残っている。そう推測した。コンビニのレジ横とコーナーで面陳列を3週間維持して、50冊の売上はまずまずなのだろうと思ってその場を離れた。
夕方7時からの講演会では、石塚オーナーが一番前の席に座ってわたしの話を聞いていた。途中で石塚さんにも話を振って、「ローソン竹増改革」のオーナーさん側からの反応を聴衆向けに補足してもらった。講演会は大盛会で拍手喝采で幕を閉じた。
さて、講演会が終わって、参加者の約30人のほとんどが懇親会に残ってくれた。アルコールで乾杯して、恒例の懇親会が始まった。その場で、わたしから石塚さんに、ラジオ出演前にお店に寄ったことを話した。すると、販売部数のことに触れる前に、先に石塚さんが本の売れ行きについて説明を始めた。
「実は最初に陳列してあった本の冊数が、100冊ではなく150冊だったのですよ」とのこと。つまりは、わたしが店でカウントした本の冊数は50冊で正しかったのだが、もともとが150冊の陳列だったから、3週間で100冊を販売していたことになる。石塚さんの予約注文の100冊は売り切ったことになるのだった。
結論を言えば、コンビニで同じ本(『ローソン』)を100冊、売り切る実験は成功していたのだった。石塚さんの事前準備が功を奏したことは当然だが、それ以上に、陳列の工夫と接客のやり方(声がけ)で、コンビニでも本は売れることがわかったのである。
この先は、配本や発注のやり方を工夫すれば、ベストセラーの本などは、もっとコンビニでも売り込むことができるだろう。例えば、ビジネス書などは、単価が1400円から1900円である。コンビニの客単価は600円~800円である。書籍の値段は、その2倍から3倍である。
そう考えると、購入頻度はそうほど高くはないが、客単価のほうは3倍くらいに跳ね上がる。石塚さんや余田さんのようなMOさん(複数店舗オーナー)に日を改めて尋ねてみたいと思う。書籍の販売がコンビニの経営にプラスに作用するのではないのか?と。
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