成功する人間は、どこか根本的なところでちがっているものだ。世の中には、思いもつかない卓越した行動ができる人間がいる。石塚直美さん。用意周到とは彼女のことだ。昨日は、感動の一日だった。
3月に入って、ネット経由で拙著『ローソン』の予約販売が始まっている。気になっていたところに、元院生から「アマゾンの小売(部門)で、先生の本が”12位”にランクされていますよ」というメールが飛び込んできた。
そのことを、ローソンのMO(複数店を経営するオーナー)さんたち数名に伝えたところ、昨日の朝方に、静岡の石塚直美オーナーから返信があった。
早朝に、石塚さんから届いたメールは、
「私の店舗
呉服町店 100冊
手越店 100冊
他各店舗 5冊(ずつ)
3/24入荷になっています。」
という文面だった。
このメールに、わたしは即座に返信した。
「石塚さん!
おはようございます🌞
なんと!300冊も予約注文をしていただき、
ありがとうございます!
”隙のない陳列”をするために、2店舗に集めましたね!」
と応えておいた。2店舗に100冊ずつ、残り23店舗には5冊ずつ。配本される予約数の合計は、約300冊になる。
石塚さんは、静岡市内でローソンを多店舗展開している。中京圏ではそれなりに大きな経営規模である。そのことを、拙著『ローソン』の第8章「美容師さん、コンビニのオーナーになる。」で紹介している。
石塚さんには、得意技がある。「隙のない陳列」という名前の陳列方法である。色とりどりの商品パッケージを棚に上手に積み上げて、美しく陳列する技術のことを指している。書籍の中では、写真2枚で紹介してある。
ところで、予約した本を2店舗にまとめるよう指示したのは、”ローソンブルー”の本を、隙間なくきれいに陳列するつもりなのだろう。そう思って、わたしは彼女に返信したのだった。ところが、300冊のうち100冊ずつを2店舗に集中配荷したのは、狙いがちがっていた。
「おはようございます😀
もちろん全て 予約完売しております✌️」(石塚さん)
これを見た瞬間、「えっ?」とわたしは心の中でつぶやいた。そして少し時間が経って、石塚さんから返事が戻って来た。畳みかけるように、こんな文面のメールがそれに続いた。
「今までに
友人、知人に本の話しをしており、
購入予約を頂きました。
皆さんの購入しやすい場所が、
呉服町店、手越店でしたので、
この二店舗に集中納品しました。」(石塚さん)
わたしは、完全に勘違いをしていた。呉服町店と手越店の2店舗に、100冊ずつをまとめた理由が違っていたのだ。狙いは、石塚さんの”パーソナルマーケティング”だった。拙著『ローソン』をたくさん売り上げると同時に、自分自身の商売と生きざまを売り込むためだった。
友人や知人に売り込みが終わっている300冊は、来店して購入してもらう手はずが整えられている。そのことで、店の売上と自身のプロモーションを連動させるつもりなのだ。
わたしが原稿を書き始めたのは、5月初旬。そこから、石塚さんは用意周到に準備していた。基幹店の静岡呉服町店で、わたしは石塚さんをインタビューした。その日が4月18日。わたしが第8章の原稿を完成させたのが、6月2日である。
原稿が出来上がったタイミングで、石塚さんのPCに完成したドラフトを送ってあった。彼女からは、事実に関する修正がいくつか入ってきた。それで、事は終わりだとわたしは思っていた。
わざわざ2店舗に、ローソン本を集中納品させたことについて、彼女の意図が理解できた。しかし、わたしの想像(隙のない陳列)も当たっているだろうと思う。ふだんの書籍販売(マチの本屋さんコーナーで実施)ではできないような、とてもインパクトのある陳列が100冊もあれば思い通りにできるだろう。
静岡地区のローソンの店舗で、拙著の販売はいまから10日先の3月24日にスタートする。2つの店舗に来店する予約購入者は、「直美流」の特別陳列でびっくりすることになる。白抜きの「ローソン」というタイトルが、ブルーの表紙に踊っている100冊の『ローソン』。100冊丸ごとのローソンブールの本が棚に並ぶのだった。
彼女は、どんな陳列をするつもりなのだろうか? 彼女のいつものやり方を知っている友人たちでも、100冊の書籍が陳列されたインパクトのある売り場など、これまで見たことがないはずだ。
さらに数分後に、次のメールがわたしのスマホに飛んできた。「4方良し」には笑ってしまった。
「ほんとはもっと欲しいですが、
ローソン本部から、これが上限だと言われました。
各店舗で納品され販売できれば、カウンターで売り込みもできます。
対面販売です。
本が売れれば
先生良し
お店良し
本部良し
の三方良しに加えて、
買われた子お客様良し
のなんと!!
四方良し!!!!」(石塚さん)
先の先まで読み切って、準備期間の約半年の間に、用意周到に売るための準備を重ねてきたのだ。
拙著の販売が始まる日は、3月24日。わたしは、2店舗を訪問してみたいと思った。そうだ!それができるのだ!
3月23日に、わたしは豊橋ハーフにエントリーしている。その前日に、「物語コーポレーション」の加藤社長にインタビューしたあと、創業者の小林佳雄さんとお好み焼きを食べる約束をしている。翌日は、豊橋ハーフマラソンを走って、クックマートの白井社長に会うためにアポをとってある。そして、ホテルアソシアに2泊目になる。
翌日が3月24日だ。上りの新幹線こだま号は、豊橋から静岡までは3駅ではないか!
夕方に、石塚さんに電話を入れてみた。大笑いしながら、石塚さんが電話に出た。わたしからのLINEメッセージ(さきほどの文面)を読んでいたからだ。彼女からは、次のような返事をもらった。
「小川先生。本が届くのは、23日の夜遅くになるみたいです。みんなで手分けして、2店舗に本を山済みしておきます。呉服町店で先生をお待ちします!」(石塚さん)
わたしは、本日、24日の午後に静岡駅に到着するこだま号を、えきねっとで予約するつもりだ。
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