2022年11月に(葛飾区)本田消防団に入団した。入団早々に、石川良夫分団長からの指名で、最初の仕事が「広報委員」だった。わたしが大学教員をしながら、物書きの仕事をしていたからだろう。本や雑誌の編集に携わってきたので、消防団の広報誌『ひのみやぐら』の編集に役立つ人間だと思われたらしかった。前任者の石川まさかずさん(任期10年ほどのベテラン)から仕事を引き継ぐことなった。
『ひのみやぐら』は、年間2~3回ほど(臨時号もあるらしい)、本田消防団が定期で発行している、見開き4頁の広報誌(カラー版)である。主として、葛飾区の各自治会組織を通して、消防団の管轄エリアである本田地区(葛飾区南半分のエリア)の区民に配布されている。消防団の活動を知らせるための広報誌である。
本田消防団の場合は、16個ある分団から指名された16人の広報委員(団員)が、4つの班に分かれて各回の編集を担当する。2年間に一回、編集の担当が回ってくる。前任者のまさかずさんからは、そんなにたいへんな仕事ではなく、「各分団の親睦の意味もあるので、気楽に参加して下さい」という引継ぎを受けた。
ところが、わたしが慣れ親しんだ雑誌や書籍の編集作業とは勝手がちがっていた。基本的に、団員のよるボランティアの仕事である。書籍や雑誌の編集経験者は、ほぼいない。中学校・高校を卒業してから、久しぶりで文章を書いた方たちがほとんどだった(と思う)。
消防団の活動(操法大会や操練)や表彰式(始式)、叙勲者の紹介、地域の行事やお祭りの警備、年末の火災予防活動などが主たる記事の対象になる。活躍内容を記事にするのが、担当班の仕事になる。その会は編集担当ではない他の3つの班は、補助的に記事を提供することになる。
わたしの在任期間では2度、第3班(9~12分団)に『ひのみやぐら』の担当が回ってきた。最初は何が何だかわからなかったので、黙ってみていた。3班の委員たちはとてもフレンドリーでいい人たちだった。ヒロさんというリーダーが編集長の役をしていて、4つの班の中でもっともチームワークがよかった。
以前に、ブログで紹介したように、全体の編集会議は、発行1号につき、1~2回、本田消防署で開催される。場合によっては、わが3班のように、上手に記事を集めて事前編集できていれば、1回の会議で『ひのみやぐら』は発行できてしまう。
ただし、慣れない班が編集を担当すると、なかなか面倒なことになる。少し様子がわかってきてから、3回目に会議に出席したときのことだと思う。少しだけ自分の意見を述べることになった。その日の会議では、担当班から3ページ分の記事が準備されていた。本田消防署の司会者から、「あれば、記事の内容にご意見を」との発言があった。
一般には、「見出し」と「記事内容」を同じ人が担当している。気になったので、「雑誌や書籍の編集作業では、記事を書いた人とは別に、見出しは編集長が担当しています」と意見を述べた。多くの人が見出しをつけると、全体のトーンがばらばらになるからである。
それと、担当班の記者が聞き取りで書いた記事が、慣れていないせいか、書き方がうまくまとまっていなかった。それを指摘すると「角がたつ」と思い、配布されたコピーに赤字で修正を入れて、そのときの編集リーダーに会議の後で手渡した。
広報誌の編集作業や紙質(高価すぎる立派なペーパーを使用)についても、意見を言いたかったが、それはやめにした。なぜなら、編集の訓練を受けていない人が、基本的な書き方のルールを教わっていない場合は、気持ちを委縮させるだけになるからだ。学校教育でいやというほど、その現場を見てきた。
というわけで、できるだけ会議の場では黙っていて(記事を書いた人のプライドを傷つけてしまうだろうから)、ミーティングが終わってから、「赤字を入れたコピー」をそっと編集担当のリーダーに渡すことにした。
その後の任期中、本の執筆や別会議で用事があって、何度も『ひのみやぐら』の本部編集会議を欠席してしまった。最後の3班担当の編集会議では、グループ内でのオンラインでの記事修正プロセスにはどうにか参加できた。最終号はそれなりの貢献ができたとは思うが、編集作業にもう少し新しい風を入れたかった。やや心残りで編集委員の仕事が終わった。
昨日は、元院生向けのアフターゼミを神田小川町のオフィスで実施した。隣のバーで少しアルコールを入れての帰り道のことである。3班の広報グループLINEから、メールが飛んできた。3班の恵美子さんとリーダーのヒロさんからだった。うれしい内容だった。
まずは、恵美子さんから、
「わんすけ先生〜💕 今まで有難うございました🙇♀️
昨夜の会議は、じゅんこさん(後任の野上純子さん)が出席してくれて、『ひのみやぐら』の作成に、たくさん意見やアドバイス頂き‥即戦力で有り難かったです❣️ わんすけ先生、又消防でお会いすると思いますが、これからも宜しくお願いします‼️ お疲れ様でした🙇♀️🙇♀️」
リーダーのヒロさんからは、
「@わんすけ先生 昨日の会議ではお教えいただいたカギカッコの定義を皆さんに共有させていただきましたよ~ これからも記事の書き方など、お気づきの点がございましたら、アドバイスお願いいたします(Brown bow) 広報委員、お疲れさまでした&ありがとうございました」
わたしからの返信です。
「わんすけです。わん
ヒロさんのこの言葉は,なんか,わたし涙です。2年間弱の短い期間でしたが,ありがとうございました」。
というわけで、広報3班内のやり取りでした。2年間、広報委員をやって報われた気がしました。いい人たちでした。
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