【柴又日誌】#91:今年は柿の当たり年。年末にかけて牡蠣のシーズンがやってくる。

 岐阜のセントラルローズ(大西隆さん)から本日、富有柿が届いた。夏が過ぎると、全国各地から順々に季節の果物が届く。年によって届く果物の種類に特徴が出る。一般的には、「その年に豊作になった果物が頻度高く届く」という法則があるようだ。美味しくて値段も手ごろなので、地元の人や果物屋さんが推奨するのだろう。

 

 今年の場合、梨と栗は当初は不作だった。今年の夏の真っ盛りは、梨はすこし固めで、栗は全体的に甘みが足りなかった。ところが、収穫期の後半(9月ごろ)になると、どちらもサイズが大きく成長して甘みも増した。近年ではめずらしく、梨も栗も実りの後半が豊作に変わった。

 ところで、今年は柿の当たり年のようだ。出来不出来に関係なく、10年ほど前から神戸のロック・フィールドさんからは、次郎柿が届いている。去年は不作だったようで、段ボールに入っている数がいつも少なかった。しかし、今年はひとケースにたくさんの柿が詰まっていた。そして、本日は、岐阜の大西さんから富有柿が届いた。

 3年ほど前、リンゴが豊作の年があった。秋口に7~8箱近く、高砂の自宅で受け取った記憶がある。今年は、わが家にはりんごはほとんど届かず、対照的に柿が豊作のようだ。 

 

 友人たちから果物をいただくと、わたしは、日本各地からその土地の空気が運ばれてくると感じる。

 ほとんどの果物は、すぐに食べても硬くて美味しくはない。品目によって異なるが、ほぼ一週間から10日間くらいかけて熟成を待つことになる。地方の特産品のことが多いので、パンフレットには、丁寧に「食べごろのサイン」が示されている。

 たとえば、先週いただいたJAおきたまのラ・フランスには、「ラ・フランスの美味しい食べ方」という小さなパンフレットが封入されていた。ラ・フランスは、食べごろになっても果皮が黄色に変色しない。食べごろの判断が難しい品種だそうだ。目安は「軸」とその周りで、食べごろになると軸自体がしおれて、その周りにシワがよってくる。たしかに、ラ・フランスの果皮は変色しないが、果実は比較的早めに柔らかくなる。食べごろの期間が短い果物のようだ。

 山形のラ・フランスは、いまキッチンのカウンター上で熟成のタイミングを計っている。ラ・フランスは梨の一種で、西洋梨だから、今年もきっと美味しいに違いない。

 

 これから冬が近づいてくると、仙台や広島から牡蠣が届く。一時期は、殻つきが来ていたが、最近は、すでに剥き身になって袋に入れた新鮮な牡蠣が送られくるようになった。軍手をしてカキの殻を剥いたその昔が懐かしい。

 鮮度の良さを示すため、冷蔵便でやってくる牡蠣は、当初は殻つきのものが喜ばれていた。ところが、殻付きの牡蠣の流行はごく短かったように思う。軍手をしていても、鋭利な殻のかけらで手をケガをしたり、大量の殻を処分するのが面倒だったからっだろう。

 これから年末にかけて、わが家では、きりたんぽ鍋(秋田料理)とフグ(山口料理)のシーズンに入る。朝夕がめっきり寒くなってきた。鍋が美味しい季節の始まりである。

 

 

 <追記>

 この記事を書いた翌日(本日、11月14日)、今度は、京丹後の農園から、有機栽培の柿と薩摩芋が届きました。今年で4回目です。やはり、柿は当たり年のようですね。