6日前(2月9日)のことになる。柴又帝釈天参道の「い志い」(老舗和菓子店)まで、名物の「米米ロール」を買いに出かけた。いつもは走って行くのだが、米粉で作ったロールケーキのサンプルを購入するのが目的なので、移動手段は自転車にした。5分弱で参道に到着。ローソンの商品本部へ、広報部経由で米米ロールを届けるためだった。
以下、わたしのブログ記事の中では、最も長い文章になる。途中で挫折しないことを祈る。
まずは、柴又帝釈天参道にある「い志い」のHPをチェックしてみる。
創業から約160年。江戸時代から続く歴史のある老舗である。ただし、祖業は呉服屋だった。ご主人の代になって和菓子屋に転じて、いまは米粉で作ったロールケーキなど「和風洋菓子」も製造販売している。多様な和菓子や漬物類などを、楽天などECサイトでも販売している。
立ち話で奥様から伺ったところでは、立教大学出身で京都の和菓子屋で修業した息子さんが、15年ほど前に創案したのが「あぶり和三盆米米ロール」らしい。わたしは普段は、もち入りのどら焼きを自分用に買っている。神戸の孫と京都の娘がどちらも小麦アレルギーなので、いつも「冷凍米米ロール」のハーフサイズを買ってお土産にしている。
「そのうちインタビューをさせてください!」と、奥さまには申し入れてあった。実現するかどうかはわからないが、自著は手渡してある。4年ほど前から、参道で筋向いにある草団子の「大和家さん」や「亀戸升本(柴又店)」とともに、参道で商いをしている店の中では、とくに贔屓にしていお店のひとつである。
わたしは、洋菓子があまり得意ではない。羊羹やどら焼き、草団子(ただし、こし餡)が大好きである。だから、見た目は洋菓子の米米ロールは、とても美味しいと思っている。いまや大好物のお菓子になっている。
お店のHP(http://shibamata-ishii.net/items)から、店の歴史と商品の紹介文を抜粋する。
<生まれも育ちも葛飾柴又>
当店は、映画「男はつらいよ」の寅さん誕生のはるか昔、東京が江戸と呼ばれていた文久二(1862)年に「以志ゐ呉服店」として創業いたしました。当時常連さんへのおもてなしとしてお出ししていた茶菓子や漬物が評判となり、戦後は「い志い」の名で帝釈天に集う善男善女のための茶店としての営業をはじめ、現在に至ります。
帝釈天参道で最古の木造店舗は、代々守り受け継いできた築200年ほどの建物です。重厚な佇まい、前土間、揚戸の出入り口など、出桁造りと呼ばれる江戸の商家建築を今に伝えております。
<あぶり和三盆米米ロール【冷凍】>
当店の看板商品のひとつ、米から生まれた米米ロール。
和魂洋才、和菓子職人の技術と知恵で一から創りあげた和菓子生まれのプレミアムロールケーキ。牛乳の豊かな香りを持ちながらさっぱりとしたキレのある、厳選した国産純生クリームを100%使用。
スポンジはカステラ由来の伝統製法で作るカリっとした砂糖粒の食感がおもしろい国産米粉の生地。お餅のもち米とごはんのうるち米を2種類ブレンドして作るので米・米ロールとしました。
仕上げに和三盆をかけてキャラメリゼするので、米粉のスポンジからはおこげのような香りがします。厳選した素材のみを使い甘さ控えめ、しかもグルテンフリーなので老若男女様々なお客様にご好評をいただいております。
[ 内容量 ]
1本 約17cm
[ 原材料名 ]
生クリーム(乳成分を含む、国内製造)、卵、糖類(グラニュー糖、甜菜糖、和三盆、粉糖)、米粉(国産うるち米)、蜂蜜、バター、米粉(国産餅米)、甘味料(トレハロース)
さて、午前9時半に自転車で「い志い」に到着するも、朝一で「米米ロールが焼きあがる時間は?」と尋ねたところ、「10時~10時半ですかね。おまちいただくことになりますが、駅近くにコーヒーやさんがありますが」とのこと。
柴又駅前のタリーズで焼き上がりを待っていると、わたしの携帯に奥様から連絡が入った。「お待ちどうさま。焼きあがりましたですよ!」。時刻は10時5分。なんとなく、焼き立てのケーキのいい香りが飛んできそうだった。予定より早めの焼き上がりで、飲みかけのコーヒーを手に持って自転車でお店に向かった。
女子店員さんに、代金は事前にお支払いしてあった。注文したのは、生のフルサイズ米米ロールが1本、冷凍のハーフサイズとフルサイズを1本ずつ。冷凍ハーフサイズが1134円(税込み)。冷凍フルサイズは2180円(税込み)。生のフルサイズが1782円(税込み)、生のハーフサイズは950円(税込み)。
米米ロールの美味しさの秘訣は、二種類の米粉(もち米とうるち米)をブレンドしていることである。そして、ロールケーキの周りに和三盆糖を塗ってから、炙ってキャラメル状に仕上げてあるからだと思われる。わたしは専門家ではないので、素人判断ではあるが。
話をローソンの本社(@大崎)に届けた場面に戻す。
午前12時少し前に、広報部の杉原シニアマネージャーに、冷凍と生の商品(米米ロール3点)を手渡した。その後は別室にて、わたしの私的な”推薦理由”を説明をさせていただくことになった。
今回たまたま、このような勝手連的な行動に出たのは、先週の家庭内での出来事によるものである。先週末に、二世帯の合同食事会があった。その場で、いただいたローソンのプレミアムロールケーキ(生)と、わたしが買ってきた「い志い」の米米ロールケーキ(冷凍品を3時間自然解凍)を食べ比べすることがあった。
なんと!ローソンさんには申し訳ない投票結果になってしまった。3人(夫婦と次男の嫁)全員が、「米米ロールの方が美味しい!」と判定を下したのである。
ふつうならば、「一家庭での味見比べ」で話は終わるものだ。ところが、去年の暮れに、商品本部の鷲頭部長や元スイーツ担当の坂本部長(東北支社長)にインタビューすることがあった。それならば一度、商品本部の担当者に、米米ロールを食べてもらおう。できれば、プレミアムロールケーキの派生商品として開発してもらえないだろうか?勝手な妄想と提案をを思いついたのでした。
杉原さんには、商品サンプル3個を渡しながら、つぎのような説明をした。本日、書いたのが以下のメモになる。わたしから、スイーツ開発担当者へのメッセージになっている。
わたしの主観で、自身の希望をダイレクトに書いてある。正直ベースに話しているので、失礼の際はお許しを。
<米米ロールを開発する場合のポイント>(BY 小川)
1.日本人には、食べ物は「美味しくなければ売れない」。米国人は「頭で食べる」が,日本人は「目で食べる」。したがって、
2.美しくなければ、商品には手を伸ばしてもらえない。シズル感が出ないからです。
3.「比較連想効果」と言いますが、プレミアムロールケーキがすでに売れているのだから、見た目や商品名は、あくまでも親ブランドを連想させる物であること。
<過去の類似商品の評価>
①新潟の限定販売の米米ロールは、見た目が白いからダメです。3.の効果が期待できない。
②ナチュローの豆乳ベースのロールケーキは、見た感じでマニアックすぎる。1.頭で食べろと言っている販促になっています。
③その点、米米ロールは、美味しくて、見た目もプレミアムロールケーキっぽい。ローソンさんが販売するのにぴったり。
しかも、2種類の米(もち米とうるち米)のブレンドだから、地産地消でもいける。
結果として、植物由来、グルテンフリーのコンセプトになる。
なお、価格的にはやや高めだが、手作りだからこの値段なのだろう。おそらくは、工場でライン生産にすれば、プレミアムロールケーキ同等の価格にはできるのではなかろうか。冷凍品の方がおもしろい。というのは、フードロスがほとんどできくなるからである。
い志いのケーキ販売では、冷凍品の方の値段を高く設定してある。厳密な賞味期限を確認していないが、生ケーキのほうは、いつも完売になっていることが多い。ただし、その日のうちに残ったとしても、冷凍保存ができそうな感じはあった(未確認)。
冷凍おにぎり(とくにおこわ系のおにぎり)の時も経験したが、冷凍してから解凍して温めて食べると、美味しく感じたものである。わたしは、いつも冷凍で米米ロールを食べている。美味しく感じるのは、もしかすると冷凍したケーキを自然解凍して食べているから?その可能性もあるのではないのか。
以上です。(ここまでは、2月9日のこと)
<米米ロールの商品評価>
*ローソン広報部と商品開発部からのフィードバック(2月14日)
昨日になって、ローソンさんから、わたしが持参した米米ロールケーキを試食した感想が送られてきた。商品部からは、かつて米粉ロールケーキの開発に携わったメンバーらしき方からのコメントも混じっていた。
まずは、広報部メンバーからの感想である。最後に、元専務の宮崎さん(現、常勤監査役)の感想文も添付する。
●広報メンバーからの試食コメント
・ 米粉の感じがあまりしなかったが、卵の風味がありとても美味しい生地だった。
・ シンプルにざらめが美味しかったです。
・ スポンジがさっくりとした食感でしたが、特に違和感はなかったです。グリテンフリーであれば、それだけで需要がありそうですね。
・ もちもち食感があって、砂糖のザラザラとした食感もアクセントになっていた。
・ 生地にスプーンを入れた時の感触が通常のロールケーキと違う感じでした。米粉ならではのもっちりとした食感はあまりなかったように感じます。
・ 生地がカステラっぽい感じがしました。
・ クリームが甘くなくさっぱりしていて、軽く食べられました。
・ 生地のざらめ部分がパリパリとした食感でアクセントになっていました。
・ クリームが甘さ控えめでさっぱりとした感じでした。
・ (米粉がよくわからなかったですが、)生地がとてもふわふわで弾力があり食べ応えがありました。
・ 生地の卵の風味と和テイストのお砂糖なのか甘さはしっかりあるものの上品な甘さでクリームのさっぱり感と合っていて美味しかったです。
■宮崎監査役(元広報部担当専務)から
・本日(2月13日)、米米ロールをいただきました。生地もクリームも食後のすっきりか感もあり美味しかったです。実はこの年齢になると、ローソンのロールケーキ丸々一本は持たれます(笑)
→ まったく同感です。米粉を使ったロールケーキは、健康志向でわれわれ老人向けですかね(笑)。
<小川の総括>
・おおむね、食感と味については好評だった。
・米粉使用によるさっぱり感と、ザラメのアクセントが高い評価を得ていた。
・冷凍と生の比較が欲しかった。というのも、わたしは冷凍での販売を押している。フードロス対策(「い志い」での商品管理方法)のためと、商品部が指摘している商品劣化を避けるためにも、冷凍品を解凍して食べることを主張している。ただし、店舗での売り方には課題もあるので、その問題点を考えてほしかった。
・宮崎さんが指摘しているように、ターゲットは、健康志向(カロリーも低い)、グルテンフリー(小麦粉不使用)、老人向け?
●商品部からの試食コメント
・ 米粉生地なので当社のロールケーキとは違う食感、口溶けであるが、この商品が好きだというニーズは捉えそう。(ただややニッチな層になると感じる)
・ クリームはミルク感が強く、この生地に合う仕様となっている。
・ 米粉ロールケーキを当社で過去検討をしたものの、米粉の経時耐性が弱く断念したことがある。米粉は製造して1日はしっとりしているが、老化が進み水分を失いパサついてしまう。即日にお客様へ販売ができず、製造後3日間以上チルド帯での保管となるため、添加剤を加えなければならず、チルドデザートの場合、米粉100%でのご提供は現状では難しいと思われる。
・ 当社のロールケーキにおいてお客様から求められているものは「しっとりふんわり」であることから、米粉ロールを出した場合のお客様へのアプローチをどうしようか思案中。
<小川のコメント>
・当初の発売では、ニッチな層への訴求になるかもしれない。低カロリー、グルテンフリー、独特の食感に対する好き嫌い。
・クリームとコメの相性がポイントになっている。表面で焼いたザラメの甘さと口どけ感が、美味しさを引き立てている。材料(2種類の米、炙った和三盆糖)が補完し合っている点が大切な訴求点か?
・商品劣化に対しては、冷凍品で販売する方法がある。ローソンは最近になって、おにぎりやパンを冷凍で販売している。必ずしも成功しているわけではないが、今後はフードロスを削減するためにも、社会的にも、コンビニでも冷凍品の販売が普及していく可能性がある。その象徴的な商品として、米米ロールの開発に取り組んでほしい。