【店舗観察ツアー】フラワーバレンタインの日、山手線を一周してフィールドワークする

本日は、フラワーバレンタインの日。2024年は、都内の6店舗を観察してきました。山手線一周コースは、自宅を10時過ぎに出発、日暮里~池袋~新宿~(渋谷スキップ)~大崎で一段落。最後に予定していた日本橋・銀座は飛ばして、先ほど地元の花店に立ち寄りました。かみさんと嫁(アズちゃん)と孫の夏穂ちんのために、ブーケを3つ作ってもらい帰宅しました。

 

 4年ぶりで、都心にある複数のチェーン店を観察することにしたのは、ある仮説をもっていたからです。バレンタインという行事そのものが変わりかけていると感じているからです。

 14年前(2011年、3.11の年)に、わたしたちが業界の音頭をとって、「フラワーバレンタイン」(日本の花業界にとっては新しい物日)を始めました。欧米では、バレンタインの日は、女性が男性に愛を告白する日ではありません。日頃の感謝を込めて、男性から女性に花を贈る日なのです。

 国際的に認知された行事として、日本でも「フラワーバレンタイン」の活動をスタートさせたのが2010年(この年はプロジェクトの準備会議)でした。ホワイトデーに、チョコレートをもらった男性が女性に花を贈り返すというパターンもあったのですが、ここは国際標準を踏襲することにしました。

 

 2020年ごろにコロナが流行りだした辺りから、戦後にはじめた「義理チョコ文化」が下火になりかけていました。そこに、男性が花贈りをする習慣を定着させようと考えたのが、フラワーバレンタインでした。いまだにフラワーバレンタインの認知率はそれほど高くないと言われています。

 それでも、「花を贈ることは素敵なこと」と気がついた男性は、このところ増えたと思います。少なくとも東京や福岡などの都市部では、そのことを知っているひとはずいぶんと増えてように思います。

 ただし、もともとのバレンタインが変容しつつある中で、「ハッピー!フラワーバレンタイン」の花贈りも変わりつつあるのかもしれません。 

 本日の調査の前に、わたしが感じていることを仮説として提起してみたいと思います。そして、そのあとで、本日のフィールドワークを記録として残しておきます。

 

<小川仮説>
①バレンタインの変容

 日本の「チョコバレンタイン」は、贈る主体が女性で贈るものがチョコ、贈る目的は「愛の告白」でした。その派生行事として、チョコレートを周囲の男性に贈るという「義理チョコ文化」が生まれました。それに対して、「フラワーバレンタイン」は、チョコと並ぶギフトイベントとして、「男性から女性に、日頃の感謝を伝えるために花を贈る」という意味づけでスタートしました。しかし、70年(チョコ文化)と14年(花文化)を経過して、どちらも社会的なプロモーション行事としての意味(インパクト、衝撃)が失われかけているかもしれません。

 以上が、わたしの危惧でした。欧米でのバレンタインとは、そもそものイベントとしての成り立ちが違っていたからです。成長する経済、増加する若者人口を前提にした、バレンタインとは生殖と関連した「高い熱量の行事」だったのではないのか?

②背景にある要因
 とりわけコロナの時代を境にして、わたしたちの生活様式が変化しました。また、昨今では、諸物価高騰の問題があります。これは欧州や米国でも同じなようです(昨日の小川のブログ記事を参照ください)。また、女性の社会進出で、女性に期待される社会的な役割に変化が生じつつあります。建前と現実の間にギャップはありますが、女性の贈り物に込められたシンボリックインな意味や価値観が見直される兆しがあります。

③内藤さん@大田花き花研からの言葉(本日のLINEメールから)

 「先生のおっしゃる通り、(バレンタイン文化は)転換期を迎えていて、バレンタインも日本では愛を告白する文化では無くなりつつあるように思います」(内藤育子さん、花研)。

 となると、何をどのように贈ることが適切なのか? それが課題になってきます。贈る相手の選択、贈り方や贈るもの。

 

 そんなことを考えながら、山手線で花店を巡回訪問してきました。以下は、その記録メモです。

 

1 日暮里駅@午前11時ごろ
①青山フラワーマーケット@エキュート内
 中心価格帯: 2200円、3960円
 デザイン: 赤系のダリア、ラナンキュラスなど、
  売り場は、カラーでグルーピング、フラワーバレンタインのポスターあり
 顧客: ほとんど並んでない状態。男性客がちらほら
 その他: これから、商売が始まりそう

 

2 池袋駅@11 時半〜12時10分
①Bon Marche@東武百貨店sola前
 中心価格帯: 青フラより少し安め、2200円~3500円
  この価格帯は普段の値付け?
 デザイン: 商品のスペック、品揃えは普段とほぼ変わらず
 顧客: 見ている人のみで、滞在中は買い上げはなし
 その他: お店がすこしくすんで見えていた(気のせいかも)

 

②Toi Rose@西武のコンコース(構内に3店舗あり)
 中心価格帯: 1100円、1650円、2200円、3300円
 デザイン: 中国人が好むような赤系の花束、ホワイト・ピンクのパステル調
 顧客数: 立ち止まり人は結構、多い
 その他: 店員さん、店主さんが、よく声がけをしている
  花言葉、ダーズンローズなど、小さなPOPあり

 

③日比谷花壇@西武池袋駅改札前
 中心価格帯: 1960円、3300円、4400円
 デザイン: ボックスフラワー、パステルピンク系
 顧客数: ぼちぼち
 その他: フラワーバレンタインのポスターとPOPは小さく掲示

 

④東武のチョコ売り場(番外編)
 ロイスチョコなど盛況。女子たちがたくさんチョコの買い物で並んでました。

 

⑤池袋から新宿まで電車で移動。流石に、花束を抱えている人は皆無

 なのに、新宿から大崎まで、わたしだけがブーケを抱えていた(笑)

 

3.新宿@12時半〜13時
①青山フラワーマーケット@東口改札口前
 中心価格帯: 2200円と4400円、上は9600円まで
 デザイン: ホワイトパステル系、ミモザイエロー、赤とピンクのブーケ(4400円)
 顧客数: ほぼ女子ばかりが並ぶ、カツブルが何組か。この店は、盛況でした
 その他: ここは店長と思しき女子が対応、素晴らしい接客

 

・ブーケを購入、花配り@大崎のローソン本部
 ギフトブーケS2束、2200円×2
 マルシェブーケ1束、1540円
 ローソン広報部の女子3人@大崎のために購入

 

4.高砂@14時30分
①「花と緑さん」(ご近所の花屋さん)
 価格帯: リーズナブル(3束で、3795円!)
 デザイン: 下町には珍しい洋花中心の品揃え、センスがよろしい
 顧客数: 本日は私専有でした。店を除く常連客が数人

  いつものバレンタインは購入者多数です。夕方からでしょうね。

 その他:ご主人から

 「コロナの最終の方がよく売れましたね。でも、コロナで常連さんが増えてましたね」

 

・家族3人に、フラワーバレンタイン用のブーケを購入
 大人さんには、熊本産のラナンキュラスの黄色とホワイトイエロー、薄紫のかすみ草
 夏穂ちんには、アネモネ3種類と薄い紫のかすみ草で、小さなブーケ

 

<総括>

①なぜか、1100円、2200円、4400円という値付けが、今年のフラワーバレンタインの特徴?

 それにしても、数年前と比べて、3割は値上がりしている。

 2200円の商品は、1500円。4400円の商品は、3600円だった。

②下町の「花と緑」のリーズナブルな価格(30%は安い)と、

 絞ってはいるが、特徴のある品種を揃えた品揃えが際立っていた。

③青フラ@新宿の客以外は、若い男性の姿はあまり見られなかった(時間帯の問題?)。

 昼の客はやはり若い女性が主だった。そして、列が並ぶという店舗はほとんどない状態。

 ただし、池袋百貨店のロイスチョコのブースは、とても盛況だった(チョコ文化?は不滅!)。

④店頭のPOP、販促用のポスターは、派手派手しくなくて抑え気味である。

 夕方からの様子が知りたく思う。いまからもう一度、電車で日暮里まで行ってこようか?