次の10年を見据えて、新しい「花産業クラスター」の形成を: 今年で10年目を迎える「東京国際フラワーEXPO(2013)」

 IFEX(東京国際フラワーEXPO)が、10月9日から3日間にわたって幕張メッセで開催される。IFEXは今年で10年目を迎えるが、この展示会は今年から大きく変わるかもしれない。というのは、IFEXに開催日をぶつけてきたこともある「ホルティフェア」(オランダ)が今年で中止になるからである。



 欧州の景気低迷が大きな要因ではあるが、オランダの花産業の国際的な位置が変わってきているのが原因だろう。オランダ花き協会が解散して、花産業のリーダー役だったオランダが、新しい役割を模索している。ホルティフェアを支えてきたオランダの「オークション市場」が、その役割を終えようとしているのかもしれない。
 「産業クラスター」という言葉ある。自動車産業や化学工業などは、産業連関に組み込まれた複数の部分産業(下請け、協力工場)が産業全体のすそ野を支えている。それらの工場は近接するロケーションに位置することが多い。技術や情報を含む、そうした地理的な集積を産業クラスターと呼ぶ。
 産業クラスターは、組み立て産業に限定されるものではない。花のような産業でも、育種から小売りチェーンまで、実は、オランダ王国が産業クラスターを形成していた。いや、いまでもクラスターの中心には位置している。
 しかし、状況は刻々と変化している。クラスターを支える技術や投資資金が、オランダを離れようとしている。ホルティフェアの中止や、オランダ花き協会の解散、オランダ政府による花産業への補助金削減など、情報と資金がオランダの中枢部を離れようとしている。

 となると、日本の花産業クラスターはどうなるのだろうか?
 つぎの10年が勝負の時期である。オランダやデンマーク、ドイツと比べて、日本は地理的に離れていたことで、極東に独自の緩やかなクラスターを持っている。いや、「持っていた」と過去形で表現してよいだろう。いま、その転換点に差し掛かっている。
 IFEXやフラワーバレンタインなどのイベントが、新しい地平を切り開こうとしているが、かつてオランダがそうしたように、意識的に技術・情報交流を進めて、新たな需要を創造していかないと、この産業は持たなくなっている。
 たとえば、TPPの問題にしても、韓国が国策としてそうしているように、国際競争に勝っていくには特定産業(農業)分野に資金を集中しなくてはならない。日本の場合、そのひとつの候補が花産業である。オランダが迷っている今こそ、日本国は花産業でクラスター形成を必要としている。
 そのためにも、IFEXは、重要な商談・展示の場にならなければならない。IFEXの低迷は、日本の花産業の没落にならないとも限らない。当面、花き協会をもたない日本は、どこかで産業の力を結集する必要がある。それがIFEXであり、フラワーバレンタインである。

 10年目を迎える今年(10月9日)、IFEXには、日本の流通業界のトップが来賓に招かれている。イオンリテール、IY、ヤオコー、DCMのトップが、オープニングセレモニーのテープカッターとして、幕張メッセに来場する。
 その意味は、いったい何なのだろうか?花産業に対する、日本の小売りチェーンの期待の表れだと、わたしは感じている。JFMAの組織としての責任は重たい。