長期間に渡る継続調査「JFMA花き消費動向調査(2009年~)」の有効性

 大学マイファームの浪越隆雅専務から、久しぶりで連絡と問い合わせがあった。マイファームは、京都に本社がある農業ベンチャー企業である。京大農学部卒の西辻一真さんが創業者である。耕作放棄地をデータバンク化して、新規農業者が農業生産に乗り出すことを支援している会社だ。浪越さんは、西辻さんの番頭さんだ。

 

 耕作放棄地の斡旋事業のために、「アグリ大学校」や「農産品販売事業」などを行っている。一時期(2016年~2010年)、わたしがNOAFの代表幹事(農水省のプロジェクト)を務めていたこともあり、毎月1回ほど、頼まれて京都の本社まで出かけて行ったことがある。助言を与える顧問的な仕事だった。

 西辻さんとしては、将来的にIPOを目指していたので、銀行関係の方もその会議(経営会議)には参加していた。そのときに、専務の浪越さんと知り合った。浪越さんは転職組で、農業分野の出身ではないはずだった。とても有能な方である。その方から、4年ぶりでメールをいただいた。

 

 昨日の浪越さんからの用件(問い合わせ)は、「花き消費動向調査2020年(MPSジャパン)」のことだった。行政からの受託案件の運営で、花卉の販売動向について調査をしていたところ、「消費動向調査」を発見したとのこと。データを使いたいとのことだった。わたしがMPSジャパンの創業者と知って、浪越さんは驚いていた。データ利用に関しては、JFMAの事務局を紹介した。野口さんに連絡をしたはずである。

 花き消費動向調査は、2009年から始めたJFMA(MPS)の独自サービスである。花の消費に関しては、総務庁の家計調査がある。日本で唯一の切り花と園芸品に関する継続調査ではあるが、調査項目が消費支出に限定されている。また、若者(単身世帯)に関しては、サンプルが取れていない。継続消費や利用チャネルに関しても限定される。

 

 そのため、JFMAの調査が、花業界ではしばしば引用され、花き類の消費動向を占うデータとして活動されてきた。当初は、予算もなかったので、調査の実施を中断しようということもあった。しかし、継続は力である。共通の調査項目を維持しながら、14年の間で、アドホック調査なども入れて時系列の傾向が取れるようになっている。

 有効だったのは、「フラワーバレンタイン」や「母の日参り」などのような、新しい物日の創設の効果を検証するのに役立ったことだろう。また、コロナ禍での植物の購入や、若者の花への親近度の高まりを検証することにデータが役に立った。いまでは、花業界とJFMAにとって、掛け替えのない情報資産になっている。

 わたしが設計した調査システムが二つある。ひとつは、JCSI(日本版顧客満足度指数)である。いまや日本最大のネット調査に成長している。花き消費動向調査は、それに次ぐの社会貢献が大きな調査である。ローソンなどでは、社内システムとしても使用されている。

 

 なお、浪越さんからは、アグリ大学校の卒業生(関東一期生)が、山口で花店を開業している話を伺った。浪越さんのメールをそのまま引用する。

 

 「(余談ですが、)アグリイノベーション大学校の関東第一期の卒業生の松本さんという方が、地元の山口県で会社を継がれて、新規事業でお花屋さんをオープンしました。地域で、花のある生活を広めたい、という想いからスタートした花屋さんで、 本業のガソリンスタンドやプロパンガスの拠点や配送網も活用しつつ、広く展開をしていく計画を立てています。

 我々マイファームも少しサポートに入っており、この件でも、いつか小川先生と何かご一緒できたら嬉しいな、と思っています。 山口県など近くにいらっしゃる際は、ご案内させていただきますので、お声がけいただけますとうれしいです。」

 

 ぜひとも、訪問してみたいと思っている。URLをおくっていただいたが、素敵な花屋さんだった。ユニクロ(旧社名:小郡商事)の創業の地、山口市小郡に店舗があった。

 店舗名は、「ティーズ フラワーマーケット」(https://www.ts-flowermarket.jp/)となっていた。