昨日は、京都市内で二つの伝統工芸品の取材をした。同時に、女性経営者へのインタビューを兼ねている。寛永年間から約400年間、10代続くうちわ屋さんと、創業者から事業を継承した2代目の女性の二人。こちらは、手染め友禅の染匠(せんしょう)というプロデュース業。
京うちわ屋さんは、住井啓子社長66歳。手染め友禅の方は、藤井知子さん48歳。詳しい取材記録は、同行してくれたアシスタントの林麻矢さんが記録を残してくれることになっているので、後日、このブログにも掲載する。
京都ブランド継承シリーズでは、女性が伝統工芸品の事業を継承しているケースを取材していく。来年度の後期、京都女子大で講義を予定している、京都のブランド経営の準備のためである。
しかし、図らずも、最初の二つのインタビューを終えて、伝統産業の良さとともに、深刻な問題点に気づいてしまった。小さな経営規模による収益性の低さと、技術を継承する職人さんの報酬の問題である。
うちわも、手染め友禅も、市場そのものがそもそも限定的で小さいか(うちわ)、かつての大きな市場が大幅に縮小している(友禅)。クオリティの高い商品に対して、顧客ニーズはあるのだが、その見返りが作る側に還元されない。したがって、従来からのからのやり方では、技術が継承できず事業が存続できない。その瀬戸際にある。
この後、二ヶ月にいっぺん、インタビューのために継続して京都に通うことになる。おそらくは、昨日の事例は、この先の事例の共通点を浮き彫りにしてくれたの思われる。
女性が事業を継承する場合は、結婚の形態、例えば、入り婿制度をどのように活用するかがある。また、実は、老舗にとって大きな課題は、相続対策があるらしいことが、おぼろげながらわかってきた。
さて、このシリーズは、どのように展開することになるのだろうか。帰りの新幹線から、この記事を書いている。のぞみは、東に。そろそろ富士山が見えてくる時間だ。