【柴又日誌】#127:(続)ツマグロヒョウモンの餌集めに奔走する日々

 玄関に住み着いたツマグロヒョウモンの幼虫に食べさせるため、ビオラなどすみれ科の植物(花と葉っぱ)の調達に奔走している。一週間前、羽化した蝶々が2度目に、プランターに卵を産み付けた。餌になるパンジーはすでに丸坊主。最初に孵化して巣立っていった幼虫たちが、プランターのパンジーを食べ尽くしたからだ。

 

 この先、追加の餌がないと幼虫は蛹になることができない。3日前に、味吟さん(お稲荷やさん)からパンジーを、2日前には、練馬の義姉の庭から、白いすみれを2鉢ほど調達してきた。ツマグロヒョウモンは、ビオラやパンジーなど、すみれ科の植物しか食べない。偏食の昆虫の典型だ。

 その日の夕方には、これでは餌が足りないと思い、江戸川の河川敷をめがけて、柴又帝釈天まで走ってきた。帰りに、近くの家の庭先や玄関のプランターを観察してみた。ある一軒の玄関に、枯れそうになっているパンジーらしき草を発見。インターフォン越しに交渉して、枯れたパンジーのまだ緑の部分が残っている花と草をわけてもらてきた。

 かみさんに言わせると、「自然の摂理に逆らってまで、虫たちを甘やかしても、しょうがないわよ。餌がなくなったら、みんな死ぬんだから」。

 それはそうなのだが、わが家は学校に行く前の通学路になっている。小学生の子供たちが、プランターのツマグロヒョウモンの幼虫を見にやって来る。15匹ほど育ってた幼虫がどうにか蛹になって、彼らに羽化の様子を見せてやりたいと考えてのことだった。

 

 大きな幼虫のうち2匹は、追加のパンジーが来る前に蛹に変態できた。ただし、一回目のときよりは、蛹の形が小ぶりである。半分ほどの幼虫は、餌不足のために玄関のタイルの上で討ち死にしていた。炎天下で死体はからからに干からびている。それでも、パンジーとスミレの調達で、残っている幼虫の窮状は救えそうだった。

 3日前にわくわく整骨院で、ツマグロヒョウモンのためにスミレ科の植物を探していることを話した。実は、明日(日曜日)、知り合いの庭師の方に連れられて、宮國院長が一緒に山に入るのだそうだ。わたしの幼虫のために、わざわざすみれの草を調達してくれるという。ありがたいことだ。

 林の中なのか、山の中なのか、すみれが見つかるかどうかはわからない。とにかく、幼虫のために葉っぱが欲しい。とりあえず生き延びている幼虫たちのことを思うと、明日のすみれ探索隊の成功を祈るばかりだ。月曜日(17日)まで餌が入手できれば、いまは小さな幼虫も、大きくなって蛹になれる可能性が出てくる。

 

 しかし、わたしはなんでここまで、ツママグロさんのために餌集めに奔走しているのか?自分でもよくわからない。

 最初は、孫たちのためにはじめたツマグロ観察だったが、こうなると意地でも幼虫たちの羽化を見たくなる。しかし、これまで暑くなって、パンジーやスミレが時期を終えているのに、野山にはまだすみれの草が残っているものなのだろうか?

 そもそも孫の穂高が調べたところによると、ツマグロさんは外来種かもしれない。あるいは、日本の南の地方でしか生息していなかった昆虫らしい。それがここ数年で、関東地方でも見かけるようになった。

 温暖化の影響かもしれない。一方で、繁殖の時期がずれるので、餌の不足に悩まされているだろうか?実態はよくわからない。どうやって、蝶々は夏と冬を越すのだろうか?自然界の摂理は不思議ではある。