(その100)「連載100回を迎えて」『北羽新報』2025年1月27日号

 『北羽新報』の連載が、今回で通算100回目を迎えました。本紙で連載が始まった経緯と、その後の連載のテーマ選びについて書いてみました。今回で、(その100)になります。ずいぶん長い期間、ほとんど休まずにコラムを書いてきました。そろそろネタ切れになることを心配している今日この頃です。物書きは、話題に苦労するものだそうです。幸いなことに、その苦しみはこれまでほとんどありませんでした。愛着のある故郷だからと思います。ふるさとへの愛着、愛情。


「連載100回を迎えて」『北羽新報』2025年1月27日号
 文・小川孔輔(法政大学名誉教授、作家)

 月一回の連載コラムが、今月で100回目を迎えます。第一回(2016年8月27日号)から約7年半で、99本のコラムを本紙に執筆してきました。能代出身者として、『北羽新報』にコラムを執筆できることは、とても名誉なことだと感じています。18歳で秋田を離れて東京の大学で学び、大学院に進学して教員になりました。米国留学後に、35歳で教授に推挙されました。当時は、東京6大学で最年少の教授就任でした。
 若くして教授に昇進できたのは、育ててくれた両親と祖母のおかげだと思っています。それ以上に感謝を忘れてならないのは、わたしの将来に期待して、熱心に指導してくださった小中高+大学の教員の皆さんのおかげです。その後、本務校と京都女子大で約1万人の学生を教えてきました。教育現場には貢献できたと思っています。
 一方で、いつの日か故郷の町にも恩返しをしたいと思ってきました。それが地元紙へのコラム寄稿になるとは想像していませんでした。きっかけを与えてくださったのは、二人の方です。本紙の八代保元編集局長と、妹の友人の小野靖子さんです。連載が始まることになった経緯を小野さんに伺ったところ、こんなことがわかりました。

 「2013年、秋田県立図書館講座に小川先生を講師としてお招きしました。小川先生のご活躍は、(妹の)道子さんからはもちろんのこと、ご著書出版時の北羽新報などを通じて拝見しておりました。そこで、ぜひとも秋田県立図書館でお話をいただきたいと思ったのです。新聞などで拝見し、フラワーワーマーケティング第一人者としてご講演いただきたいと思ったのです。
 その折に、北羽から女性の記者が取材にきてくれました。その記者に、小川先生に寄稿していただければ、能代市民の見識が広がり、先生から明るい話題、能代の外からの視点でなど提供いただけるのではないかと話しました。このことを、八代編集長にお伝えくださいと申し上げました」(小野さんからのメール、2025年1月14日)。
 八代さんの場合は、能代市山本郡医師会が主催する講演会を聴講したことも、わたしへの原稿依頼の理由だったようです。おふたりの推挙で、本紙でのコラム連載が始まりました。
政治家は、選挙公約の達成度で実績が評価されます。わたしの場合も、コラムで取り上げてきた内容が約束と齟齬がないかどうか? 最後にチェックしてみたいと思います。

 第1回のコラム記事「ふるさと納税の不思議」の中で、わたしは図らずも次のように宣言していました。「連載では、地方経済や企業経営、消費者や新商品の動向や、秋田出身者としての生活感覚などを取り上げます)」(前後を省略)。
 99回分の記事内容を、カテゴリー別に大雑把に分類してカウントしてみました。取り上げてきたテーマのバランスなど、読者の皆さんの感想はいかがでしょうか? わたしからの公約はきちんと守られているでしょうか?
 <1位>「経済・経営・取材記事」(29回)、<2位>「秋田の生活や暮らし」(25回)、<3位>「生活文化・食べ物・消費分析など」(22回)、<4位>「自分自身のこと(教育・研究・家族)」(13回)、<5位>「花や植物、環境」(12回)、<6位>「趣味のマラソンや消防団活動(下町の生活など)」(6回)。なお、テーマによっては、2重に記事を分類してカウントをしています。合計が99にはなっていません。

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