(その45)「大学の授業が変わる」『北羽新報』(2020年4月17日号)

 今月の新聞コラムは、掲載を早めていただきました。本日の掲載です。コラムで紹介したように、水曜日から学部ゼミがオンラインでスタート。大学院の演習も昨夜から、教授会は午後からオンラインでした。コミュニケーションのやり方が180度変わりました。いや、これは360度の変化かもしれませんね。

 
「大学の授業が変わる」『北羽新報』2020年4月17日号
 文・小川孔輔(法政大学経営大学院・教授)
 
 首都圏のほとんどの大学で、授業開始が連休明けの第二週(5月7日)からになっています。一方で、都内の感染者数はいまだ減少に転じる様子がありません。先が見えない状態ですので、筆者が勤務する経営大学院では、オンライン会議システムを使って来週(4月21日)から授業をはじめることになりました。
 経営大学院は、中小企業診断士を養成する「一年制コース」を併設しています。早期に授業をスタートしないと、全日程をこなせないという内部事情もありました。「対面式の授業ができないので、授業開始の日程で5月に延期します」などと悠長なことを言っていられないのです。
  
 担当科目の「マーケティング論」と「プロジェクト研究」の二科目は、来週(4月23日)から遠隔会議システムを使って授業をスタートさせることになりました。事務局からの通達文書によると、授業のやり方は二通りになります。(1)教員が授業を録画して動画を配信するケース、(2)遠隔会議システムを使って双方型の授業をするケース。
 どちらかを教師の側が選択します。わたしは迷わず(2)を選択しました。この場合、学生は自宅PCからネットに接続し、リアルタイムで授業に参加します。教師が学生全員に質問(クイズ)を投げることもできます。学生が手を挙げて教員に質問することもできます。同じ画像を見ていますから、学生同士が意見交換することもできます。
 これまで15年間は、毎週木曜日の午前中(9時~12時半)に、90分×2コマ分の授業を担当してきました。これからは、長丁場の授業を「遠隔でやりなさい!」というわけです。はじめての試みですので、気力と体力の両方が持つかどうか心配です。ちなみに、受講者は50名ほどで、対面式の場合とあまり変わらないはずです。
 2番目の選択肢を選んだのは、先週(4月9日)、学部生と「zoom」というソフトを使って、オンラインゼミを試してみたからです。自宅PCから問題なく接続できて、4人のゼミ生とはスムースに会話ができました。最近の学生は、遠隔で就職面接をしています。また、在宅勤務の企業では、打ち合わせにzoomなどの会議システムを使っているようです。
   
 ところで、学部生と模擬演習をやってみて、おもしろい発見がありました。わたしのゼミは3.4年生が12人ずつです。4月から入ゼミする新3年生の名前が、最初はなかなか覚えられません。そこで、オンラインゼミでもネームプレートを準備するよう頼みました。しかし、それは杞憂でした。
 スクリーンの分割画面上に、3年生の名前が顔と一緒に表示されるのです。オンライン授業では、ゼミ生の名前が簡単に覚えれるのでした。名前を呼んで指名するので、自然に名前が頭に残るのです。双方向の遠隔授業は楽しそうです。