今回のコラムは、衆議院選挙の関係で、紙面掲載が月末にずれ込みました。現在執筆中のローソン本のこぼれ話になります。秋田県では、あまり経験がないと思いますが、北海道と福島県、なぜか沖縄のコンビニでは、おにぎりを購入すると、「おにぎりあたためますか?」と言われるようです。
「おにぎり温めますか?」『北羽新報』2024年10月30日号
文・小川孔輔(法政大学名誉教授、作家)
タレントの大泉洋が出演しているバラエティ番組のタイトルが、「おにぎりあたためますか」であることをご存知でしょうか?この番組は、2003年3月から「北海道テレビ放送(HTB)」の制作で始まり、テレビ朝日系列で全国放送されています。番組のタイトルは、北海道のコンビニでおにぎりを購入すると、レジで必ず聞かれる「おにぎりは温めますか?」という言葉に由来しています。
この言葉を知ったのは、ローソンの実験店舗を取材したことがきっかけでした。2023年8 月22 日から3 ヶ月間、福島と都内のローソンの 21 店で、冷凍おにぎりの販売実験が始まりました。販売された冷凍おにぎりは6品目(焼さけ、赤飯おこわ、五目おこわ、鶏五目、胡麻さけ、わかめごはん)で、価格は138円(税込み)。
福島県は北海道と並んで、コンビニで「おにぎりを温めますか?」と聞かれることが多い県のひとつです。都内でも実験を行ったのは、おにぎりを温める習慣がない場所で、レンチンした冷凍おにぎりが支持を得されるかどうかを調べるのが目的でした。
ところで、取材から戻って、かみさんにこの話をしたところ、当然のことのように「おにぎりはいつもレンジで温めてから出していますよ」との返事が戻ってきました。そのことにとても驚いたことを覚えています。40年以上も一緒に暮らしていて、わが家のおにぎりがレンジで温めてから提供されていたことを知らなかったのでした。逆に、わたしがおにぎりをレンジで温める習慣がないことを知って、わが相方もずいぶん衝撃を受けていました。
というわけで、友人や知人に、「おにぎりを温めているかどうか?」を調べてみることにしました。84人からLINE経由で回答が得られました(括弧内は選択比率)。
<Q1> コンビニのレジカウンターで、おにぎりを温めてもらいますか?
① はい(1%)、②時々はある(11%)、③いいえ(88%)
<Q2> ご自宅でおにぎりを食べる時に温めますか?
① 頻繁に(5%)、②ときどき(23%)、③温めることはない(72%)
Q1の回答では、「どきどき」を入れると、おにぎりを温めてもらう派が全体の12%でした。8人に一人の割合ですが、福島や北海道、沖縄では、その比率が7~8割近くになることがわかっています(「調査会社マクロミル」の自主調査)。Q2では、温めて食べる派が28%でした。予想した通りで、温めないで食べる人が多数派を占めていました。
以下は、わたしからの提言です。ローソンが常温のおにぎりの代わりに、冷凍おにぎりを販売しようとしているのは、フードロスを削減するためでした。コンビニで廃棄される弁当やおにぎりは、陳列量の10%~15%と言われています。しかし、冷凍弁当やおにぎりを販売することで、フードロスはほぼゼロになります。
また、食品ロスを減らす方法として、廃棄直前の弁当やおにぎりを店内で急速冷凍して、「フードバンク」などに寄付してみてはどうだろうか?全家庭の約15%が食べることに窮していると報告されています。子供たちの危機を救いつつ、同時にフードロスを低減する。そのために、冷凍技術を活用してみてはいかがでしょうか?
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