【花き産業】アーノスキー夫妻の草花農場@テキサス(2005年7月25日)

 遠い昔の記憶を思い出していた。ホームセンター協会の機関誌『DIY会報』新春号に、「野の草花市場の静かな成長(仮タイトル)」という寄稿文を準備している。下調べをしながら、2005年7月25日にテキサスを訪問したことを手帖で確認していた。理由は、この後で述べる。
 19年ほど前のことになる。テキサスA&M大学のハイラー教授(Professor Hiler)の紹介で、テキサスに本部がある食品スーパー「H-E-B」のプレミアム業態店「セントラルマーケット」(Central Market)の店舗を訪問した。切り花の鮮度保持の取材のためだった。
  

 オースチンにあるセントラルマーケットの店舗を訪問したときのことだった。花の売り場に、サマーフラワーがコーナー展開されていた。
 中南米から輸入されたバラやカーネーションの切り花に混じって、とても自然な形のディスプレイが素敵だと思った。そこに飾ってあるパネル(写真)を見たのか、生産者(Arnoskys:アーノスキー夫妻)にインタビューさせていただいたのか、20年近く前のことなので記憶が定かではない。
 わたしは、コロンビアとエクアドルから安価な輸入切り花に駆逐されたはずのローカルの花が、スーパーで売られていたことに驚かされた。米国の南部で、大量生産されている輸入切り花だけでなく、ローカルの生産者が栽培した楚々とした花に遭遇したからだ。ひまわり(向日葵)やジニア(百日草)など、草花類が米国南部で販売されているなんて、、、
 
 セントラルマーケットというプレミアム業態だからとは思うが、米国でメジャークロップ(キク、バラ、カーネーション)以外の切り花にお目にかかるとは思っていなかった。帰国してから後に知ったことだが、アーノスキー夫妻はテキサスA&M大学の出身だった。ご夫妻はまちがいなく、タイラー教授の研究室の卒業生のはずである。
 本日は時間が遅いので、明日にでも読者に紹介したいと思うが、ネットで検索したところ、アーノスキー夫妻の記事(From H-E-B to Self-Service: How Arnosky Family Farms Pivoted their Flower Bussiness)が、雑誌「Texsas Highways」(2021年2月25日号)に掲載されていた。
 ローカルの一般的な生産者と同様に、アーノスキー夫妻の農場も、2020年からのコロナ禍で、スーパーのH-E-Bとの取引が一時的に停止された。パンデミックが落ち着くまでは、仕方がなしに、ファミリーは、スーパーやファーマーズマーケットでの販売から、庭先でのセルフ販売に切り替えることになる。
 
 その後も、自宅の直売所(Blue Barn)で草花をセルフで販売する方式に転換した。アーノスキー夫妻の農場は、日本の農家が庭先に「無人の料金投入ボックス」を置いて、地元の野菜を販売している様子を彷彿とさせる。もしかすると、日本でもすでに、無人で切り花をセルフ販売する花農家が存在しているかもしれない。
 実際に、長野のヤリファーム(田中彰さん)では、メンバー制で切り花を庭先販売している。契約メンバーは200人規模らしい。20年前にテキサスで見た進化系が、長野の田舎町で再現されているようにも思う。
 いまのアーノスキー夫妻の様子は、後日、雑誌記事を翻訳して紹介することにしたい。

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