今⽉の理事会(9⽉11⽇)の開催直前に、松島事務局⻑からわたしに電話が掛かってきた。「このところ、全国の花屋さんや⽣産者さんから、電話で報告や相談ごとが多いんです。仕入れ単価がめちゃめちゃ高いとか、高いだけならともかく、品物がすごく悪いとか、、、」(松島さん)。 ということで、当⽇の理事会が終わった後も、そのまま引き続き「オンライン情報交換会」を開催することにした。以下は、わたしが理事たちの発言をまとめたものである。
はじめに皆さんの発言から、花業界が抱えている現状の課題を整理してみる。その際、①外部環境の変化と②業界内の問題に分けて論じてみたい。対策については、次回10⽉号のニュースで論じることにする。
①外部環境要因
ほぼ全員が指摘したのは、この夏の猛暑と台風の影響だった。世界的な気候変動が花業界だけでなく、農産物全体に波及している。例えば、本⽇(9⽉20⽇)の『⽇本経済新聞』の記事によると、⽶の値段が前年に比べて約30%上昇している。
お彼岸の本⽇、近くのお寺にある義理の⽗親と妹のお墓に夫婦でお参りに⾏った。途中のスーパーで、お供の花束を購入した。カーネーション2本とスターチス1本で、一束498円(税抜き)。一対で千円を支払った。カーネーションは輸入品だと思う。品質はイマイチで、スターチスはもともと造花のようなものだ。
二つ目は、2024年の物流問題である。例えば、コンビニへの⽇配品(おにぎりや弁当など)の配送は、運転手が確保できないので、⽇に3便から2便に減らされている。市場関係の理事の話では、物流問題の影響で、従来は前⽇の入荷だったのが、二⽇前に入荷してしまう。
在庫品が倉庫に置かれているが、冷蔵保管ができない市場では、商品の劣化が激しくて品質がおちてしまう。これまでクレームがほとんど出なかった⽣産者の花が、コールドチェーンが確⽴できていないため困難に直⾯している。実例は、東北地⽅の草花⽣産者や⻄⽇本のランの⽣産者で頻発しているらしい。
②業界の内部要因
鮮度保持に一⽣懸命に取り組んでいる⽣産者は、⾃⾝の商品がトラッキングできている。しかし、温度データの変化を追跡できない場合は、何が原因で品質が劣化したのかがわからないことになる。個⼈出荷の場合は、従来はそれが問題にならなかったが、いまや突如のクレームに困惑している。異常気象と物流問題が相まって、⾃らの⼒で 追跡システムを構築するしかないだろう。
ここまで来ると頭を切り替えて、花の作り⽅を考え直さないといけない。具体的には、暑さに強い品目とか品種を育種する。病気に強い品種の開発も⼤切だという意⾒もあった。また、鮮度保持剤の会社では、この環境変化で商品が非常によく売れていると話していた。いまがコールドチェーンの確⽴にとって、絶好の機会であることはまちがいない。
*次号では、栽培環境や物流システムの変化に対する対応策について、その場で出ていた提案を紹介してみたい。
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