来年5月18日、JFMAが成人式を迎える。創立の年は2000年。法政大学ボアソナードタワーで、設立総会と記念パーティーを催した。20歳を迎えるにあたり、わたしたちの組織と花業界に対して成績表(通信簿)を発行してみたい。
めずらしく巻頭のコラムに図表を挿入してみた。創立年の2000年から2017年まで、「17年後の支出変化」のリストに、衣食住+花の消費支出項目がどのように変化してきたのかを示してある。右側の数値(‘17/‘00)は、花業界の戦績をシンプルに語っている。この約20年間で、日本の衣食住すべての「生活産業」が縮退していることがわかる。
衣食住でもっとも消費が縮んだのは、衣料品の産業だということがわかる(約33%)。ただし、よく知られているように、衣料品の一人当たり購入点数は減少しているわけではない。支出の減少は、国内生産が輸入に代替されたことで実現した価格低下によるものである。品質や品ぞろえはむしろ向上しているかもしれない。
住生活の分野でも、ホームセンターやドラッグストアが海外調達を進めたことで、支出金額は減少している。しかし、内容的には、ニトリやカインズ、イケアやダイソーが登場したおかげで、人々の住生活はより充実したものに変わった。食品も同様である。典型的な事例は、オレンジや牛肉、魚介類だろう。その昔は庶民の口に入らなかった高価な食品が、普段の生活に浸透してきている。個人的にも、20歳までふだん牛肉を食べた記憶がない。
さて、花き類の支出減少幅は、17年間で23%である。家計調査のデータを見ると、思いの外に悲惨な結果に見えない。ところが、衣料品と住関連用品と比べると大きな違いが2つあることがわかる。まずは、アパレル産業もホームセンター業界も産業規模は大きくなっていないが、顕著に企業の上位集中が進んだ。取扱商品の90%以上は輸入に切り替わったので、低価格が実現できた。2番目に、チェーン小売業が商品の標準化を進めたおかげで、開発から物流、売り場の管理に至るまで、商品を低コストで供給できる仕組みが完成した。翻って花産業をみると、二つの条件が整わないままに20年間が過ぎてしまった。
ほとんどの産業で進展した輸入品による代替が、花業界ではドラスチックに起こらなかった。
花に対する需要が減退する中で、輸入比率が30%を超えることはなかった(国産37億本:輸入13億本)ので、価格革命は起こりようがなかった。二番目に、他産業で起こったダイレクトチャネルでの調達が進まなかった。その結果、花の規格(たとえば、短茎商品の採用)や物流を根本から変えることができなかった。衣料品や住関連の産業では、商流が変わり物流が効率化したことが、効率的な産業構造に転換できた理由でもある。
したがって、今後なすべきことは明らかである。
①チェーン小売業を育てること、②商取引と物流システムを組み替えること③商品の規格を変えること。
いまの日本経済と同様に、わたしたちはずいぶんと遠い道のりを歩いて行かなければならないようだ。
<17年後の支出変化>
支出費目
(円/年 ) 2000年 2017年 17/’00対比
食品 ¥973,682 ¥946,438 97%
洋服 ¥80,243 ¥53,418 67%
家具・
家事用品 ¥139,148 ¥129,948 93%
花き類 ¥22,342 ¥17,220 77%
切り花 ¥11,553 ¥8,757 76%
園芸植物・
園芸用品 ¥10,789 ¥8,463 78%