「8年目のフラワーバレンタイン」『JFMAニュース』(2018年2月20日号)

 8年前のJFMAニュースの2月号は、次のような文章で始まっています。
「おはようございます。昨夕の東京は花屋さんにとっては生憎の銀世界になりました。全国各地からフラワーバレンタインの報告がありました。まだよくわかりませんが、おおむね『やってよかった!』という報告をいただいています」(JFMAニュースの巻頭言から)。


8年前の2月14日、私は都内を走り回り、全部で113束の花を配りました。職場や学校で花束を渡す一人一人に、「ハッピー・バレンタイン!」と声をかけて歩きました。ちょっと恥ずかしかったのですが、イベントを成功させる意気込みで、照れくささは忘れて、花の価値を認めてもらうための起死回生のプロモーションの試みでした。ゼミの学生たちには、山手線内を一緒に電車に乗って回ってもらいました。当時ゼミ長だった吉識くん、デートに花束を抱えていった大参くん、ヤオコーの川越本社まで付き合ってくれた岸部君など。記念すべき第一回のイベントに参加した彼らは、今でもお花を買うことがあるでしょう。

 そして2日後に8年目のフラワーバレンタインが来ます。(この原稿を書いているのは2月12日の夕方です)。8年間を振り返ってみると、当初は、花業界でも「都市部にある一部の花屋さんだけが何を思ったのか新しいイベントを始めた」と思われていました。
 3年目からは「花の国日本協議会」が誕生し、フラワーバレンタインが地方にも広がりを見せ始めました。5年目から、都内の花屋さんでは2月11日頃から男性客がプレゼントを買い求める風景が普通に見られるようになりました。8年目の今年はちょっとした変化が起こっています。
 それは、高級チョコレートを販売するGODIVAが、「日本は義理チョコをやめよう!」という意見広告を日本経済新聞に掲載したからです。その広告は、次のような文章で始まっています。『バレンタインデーは嫌いだ、という女性がいます。
 その日が休日だと内心ホッとするという女性がいます。なぜなら、義理チョコを誰にあげるかを考えたり、準備をしたりするのがあまりにもタイヘンだから、というのです。(中略)そもそもバレンタインは純粋に気持ちを伝える日。だから男性の皆さんから、とりわけそれぞれの会社のトップから、彼女達にまず一言、言ってあげてください。
 「義理チョコ、ムリしないで」と』 日本人も成熟して、本当のバレンタインに回帰する時。この広告は好意的に受け止められているようです。そして、今年のバレンタインは、お花がギフト・アイテムとして選ばれる可能性が高くなると思われます。なぜなら、本当のバレンタインは「男性から女性に」日頃の感謝を込めて、お花をプレゼントする日だからです。

 もう一つ、本日(2月12日)の「東洋経済オンライン」で、「女性に花を贈る?バレンタイン新風習の実態」という記事が出ていました。梅咲記者の指摘している「低迷する花屋業界が打ち出した新機軸」が、フラワーバレンタインです。ビジネス誌が取り上げるようになると本物です。新しい社会運動が広がりを見せるまでに10年。フラワーバレンタインの運動も、どうやら「死の谷」を超えていくようです。