読書感想文優秀者2名を掲載する。
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『True North リーダーたちの羅針盤』を読んで 今出川 ゆい
私の中で「リーダー」というと、リーダー気質というものを持っていて、いつでもみんなの先頭に立ち、すべての方向性を決め、引っ張っていく存在。自らの意思がはっきりしていて、強い人間だというイメージがあった。その点でいうと私はリーダーに向いている人間ではないと以前からどこかで感じていた。
しかし本書を見ていくと、「自分」を見失うことなく追い続けられる人こそがリーダーにふさわしいという考えを知ることができた。様々なリーダーの在り方についてみていく中で、リーダーもやはり同じ人間であって、道を踏み外しかねない。むしろリーダーでない人よりもプレッシャーや不安で弱くなっている人間も多いのではないかと思った。本書を通じてこれから自分が経験していく中でぶれないもの、羅針盤となるものを見つけなければならない、というよりも、見つけたいと啓発された。
まず本書を読んで思ったのはこのタイミングで出会えてよかったということだ。これから始まる就職活動に有効なことが多くあると思ったからである。
羅針盤の中心となる自己認識。本書の中では自分の強みだけでなく、それよりも醜さや欠点も含めたありのままの自分を受け入れなければならないとあった。就職活動においては自己PRや長所、短所といった部分と重なると考えられる。実際に自己分析を行なってみると自分の長所については自分を美化しようと多くのエピソードを考えることができる。短所も思いつくのだが、私は自分をよく見せようと思って、短所を見せないように生活してきてしまったので短所から得た経験というと話に厚みがなくなってしまう。
そこで本書にも他者からのフィードバックが大切とあったので友達に聞いてみることにした。すると自分でも思っていなかった部分が挙げられたり、逆に自分が短所だと思っていたことが全く上がらなかったりした。他者から見る自分と自分の思っている自分の違いに余計に本当の自分が分からなくなった。
ありのままの自分というのはすごく難しいと思う。私は人と接するときに、気を使いすぎて壁を作っているように感じられることがあると以前言われたことがある。実際ありのままの自分を出せるのは今でも家族だけだと思う。
そこで家族に私の長所と短所について聞いてみると、ここでももちろん、自分の思っていたこととは違うことが挙げられたが、なんとなくすんなり納得できた。
つまり、ありのままの自分で接していないと、自分の本当の良いところも悪いところも相手に伝わらないのだ。これは自己中心的に自分の思った通りに進めるリーダーより、ありのまま弱い部分も見せてくれるリーダーについていきたくなるのと同じで、ありのままに接してくれる人のほうが知りたいと思うし、まっすぐな目で見ることができるのだと思った。またこれは自己分析だけでなく、日常でのコミュニケーションにおいても重要なことで、ありのままの自分を受け入れてくれる友達を持つことは、自分の開放できる環境づくりにもつながると思った。
次に考えたいと思った章は「公私を統合する人生」。私の将来像として結婚して家庭を持ってからも仕事を続けたいと考えている。本書でもリーダーたちの様々な例が取り上げられていた。夫婦で協力して子供の面倒を見たいので早い時間の出勤や転勤はできないと申し出ると、ポジティブな反応を得られて、むしろ仕事の効率があがったという例だ。
しかし、これを日本で言ったらどうなるだろう。日本ではこのような例は多くないだろうし、まだ育児休暇の取得や、その後の仕事復帰についての問題も含め働く社会への不安や、問題が多く残されている。私の両親は父が朝から夕方まで働いていた。母は午前中パートタイムで働き、午後は家事や私たちの面倒を見ていた。休日は父が料理の担当で私たちとの時間も作ってくれていた。このような家庭で育ってきた私は、同じような家庭に憧れている。この憧れを現実に近づけるためにも、まずは日本でもこのような新しい考えを知ってほしいと思った。
私はいい意味でも悪い意味でも流されやすい性格なのだが、今回この本にはいい意味で流された。就職活動における考え方はもちろん、日本の社会についてまでこんなに考えながら読んだことは今までなかった。自分のキャリア形成において一番ぶれてはいけない私のTrue Northは「周りの人が笑顔でいられる場所を作ること」だと思う。人に気を使ってしまうことが壁を作っているように感じられては短所となるが、笑っていてほしいために自然と気を使ってしまうのがありのままの自分だと思う。このTrue Northを見失わないように就職活動をはじめ、社会に出てからも困難を乗り越えていきたいと思う。
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『True North リーダーたちの羅針盤』を読んで 中川 里紗
本書は、自身の成長プロセスに焦点を当てながら読むことができる1冊となっている。リーダーとして先導するべき最も難しい相手は自分であることが分かった。現在求められているリーダーとは、カリスマ的資質を持っているか否かではない。自分の羅針盤を見つけ、目的や価値を共有する人々を結集する。そして、エンパワーし、全ての利害関係者への価値を創造するように指導する、そんな人物であるのだ。
就職活動を控えている私にとって、このタイミングで本書に出会えたのはベストであったといえるだろう。私は、普段から「自分らしさ」とは何かと考えることがある。その「自己認識」、「羅針盤」が就職活動において、より重要になってくると思うからだ。就職活動において、私の軸は「誰かに頼ることなく生きていけるお金を稼ぎ、どんな形でも人に幸せを与えられる仕事に就くこと。そして結婚し家庭を持つことができる環境で働くこと」である。読みながら自分に当てはめ考え、自己を見つめ直すことのできる有意義な時間であった。ここから本書の中で、特に印象に残った点を2つ挙げていきたい。
1点目は何を自分の中で成功と定義するのかである。本書ではハフィントン・ポスト紙を創設した、アリアナ・ハフィントンが挙げられていた。彼女は傍から見たら成功した人生を送っていたのであろう。しかし、過労により倒れ自分の人生の現実に向き合わざるを得なくなった。「成功とはなにか」を再定義したのだ。お金でも、権力を得ることでもない。彼女の成功とは、健康で幸せな生活、知恵、感動そして感謝と共に生きていくことである。
飲食店のアルバイトでの自分なりの成功について考えてみることにする。私が働いている時、私なりの成功とは何なのであろうか。それは、お客様にまた来たいと思ってもらえる仕事ぶりをすること。また来店したいと思ってもらえた時、それが私なりの成功だ。だから、どんなに混んでいても、接客は丁寧にできるし、プライベートで落ち込むこと、嫌なことがあってもアルバイト中は笑顔でいる。当たり前のことかもしれないが、大学生から3年間、この点は徹底してきた。例えその日の売り上げが1年間の中で最低であったとしても、お客様に満足していただければ、それは私の成功だ。お客様に配布するアンケートで、「輝いていた店員」という項目がある。その中でいつも上位をキープできてきたのは、この軸があったからなのかもしれない。
2つ目は、フィードバックの重要性についてだ。自分探しをしていく中で、自分自身を第3者からの目線でみる必要性を感じた。
全米最大のスーパーマーケット・チェーンのクローガー社のCEOデビッド・ディロンがフィードバックの価値に気付いたのは選挙で敗れたことがきっかけであったという。物事が思い通りに順調に進んでいるとき、立ち止まり振り返るということをしないことが多い。最初はフィードバックを受け入れられずむきになってしまう気持ちも理解できる。
生きていく中で、成功しているときも、失敗したときも、飛躍し次に生かすためにも考察することは大切なのだ。そして、考察する際には、自分個人の観点ではなく、エゴを捨てて、耳に痛くとも建設的な批判を聞くためのフィードバックが必要不可欠となる。今、私の周りにいてくれる友人、家族、先生、インターンで出会う社員の方。そんな方からのフィードバックを素直に受けれ、成長できるように柔軟な心持ちを努めようと思う。
本書を読み、人生において自分の明確な羅針盤を見つけることができれば、他人に左右されることなくぶれずに生きることができるのだと気づいた。羅針盤が明確でないゆえに、日々自分と他人を比べて、劣等感にかられたり、逆に優越感を感じたりすることがある。誰かといつでもどこでも繋がれて、情報を得ることが簡単な時代であるがゆえに、比較することが容易なのだ。莫大な情報を簡単に手に入れることができるのはいい点でもあるが、自分の軸がなければ、余計に情報に左右され戸惑ってしまう。そうではなく、自分の羅針盤をしっかりと持って生きていきたい。
羅針盤の基盤となる自分の価値観をしっかり持ち、それを守り続けるのは容易ではない。なぜなら、外部からの誘惑やプレッシャーが作用して、トゥルー・ノースから引き離されてしまうからだ。だから私は、進むべき道に迷ったとき、自分を見失いそうになったとき、本書を、自分を見つめ直すための1冊にしたい。