【巻頭言】「花の呼称:女性は和名、男性は学名」『JFMAニュース』2024年7月20日号

 花の呼び方には、学名と和名がある。世界的に通用するのは学名だが、個人的に好きなのは和名である。
 さて、業界人と一般人との間で、あるいは男女で、花の呼称に好みの違いがあるかどうか? わたしの予想は、「日本人は一般的には和名を好む」である。
 昨日(7月20日)は、都内は外出ができない暑さで、自宅にこもっている方が多数と思い、LINE仲間(108人)にアンケートメールを送ることにした。「オフィスわん」からの過去のLINE調査では、回答率は50%+である。
 調査は、午前11時過ぎにアンケートメールの発信が始まり、夜中の12時に締め切った。最終的に61人から回答があり、返信率は予想通り56%だった。男女ほぼ半分ずつ、花業界人の構成比は23%(14人)である。

 調査の依頼文と詳しい質問文については、小川のブログ(https://kosuke-ogawa.com/)を参照していただくとして、質問項目は3つだった(Q3は、自由回答)。

「花の呼称:女性は和名、男性は学名」 JFMA会⻑ 小川 孔輔

Q1.一般的な呼び名として、どちらかといえば、学名を好みますか?和名を好みますか?
Q2.代表的な花の名前を、1学名(英語)と2和名(漢字名)を併記しました。どちらを好みますか?

5つの花を取り上げて、学名と和名を併記して選択してもらった。
調査結果のサマリーである。

<発見#1>

「和名」を選択した人が、相対的には多数(39%)を占めた。「学名」の選択率は少数派(13%)だった。ただし、およそ半分(48%)は「どちらもあり。よくわからない」と答えていた。大多数は、和英のどちらでも構わないのだろう。

<発見#2>

性別で比較すると、学名を選択した男性は19%(女性は7%)だった。和名を選択した男性は35%で、女性は43%である。総じて、女子は和名を好む傾向がみられる。ただし、学歴(>院卒)や年齢(>50歳)では有意な差が見られなかった。

<発見#3>

花業界人は一般人に比べて、学名の選択率(21%)が高い(和名は7%)。自由回答にもあったが、仕事で使っているのが世界共通言語の学名だからと思われる。海外とコンタクトがある種苗メーカーや輸出入業者、花市場では学名が仕事の基準になっているからだと思われる。逆に、女性で花店やアレンジの仕事をしている方に「和名派」が多い。

なお、学名と和名の選択率の対比表(5品目)をリストで紹介しておく(:選択率)。

1学名(英語名) 2和名(漢字名)
(1)ホスタ(Hosta):16% キボウシ(葱坊主):66%
(2)スカビオサ(Scabiosa Japonica):30% マツムシソウ(松虫草):56%
(3)クレマチス(Clematis florida):64% テッセン(鉄線):25%
(4)ユースストマ(Eustoma):10% トルコキキョウ(トルコ桔梗):84%
(5)ダリア(Dahlia):84% テンジクボタン(天竺牡丹):13%

*注記:本調査は、わが友人のサンプルで構成されている。業界人や元大学院生が標本の多くを占めていて、サンプリングに偏りがある。あくまで参考としてご覧いただきたく。

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