2022年3月12日、無事に法政大学の教員としての最終講義を終えることができました。外濠校舎の2階400人教室で、対面が約150名、リモートで約150名の方に聴講していただきました。タイトルは、「わたしの研究活動と社会貢献、これまでとこれから」。この時期に300人に近い規模で開講できたことは、本当に奇跡に近いと思います。
ここは神様に感謝です。
教室で100分間、わたしの講義に耳を傾けていただいた元ゼミ生や大学院生、わたしとつながりがある業界関係者の皆さんにも感謝したいと思います。これにて、法政大学の教員としての46年間が終わります。名残り惜しくもある教員人生でした。宣言通りに、4月からは作家に転身します。
作家としてのデビュー作は、2月に出版しました。『青いりんごの物語:ロック・フィールドのサラダ革命』は、これまでの伝記本や社史本とはスタイルが異なっています。この形式がイノベーティブかどうかはわからないですが、
従来のビジネス本にはない特異な執筆スタイルになっていると思います。この作品には特徴が2つあります。
一つ目は、文章をノンフィクションの小説風に仕立てたことです。これまでのわたしは、物書きとしては、典型的なビジネス書のお作法を踏襲してきました。つまり、経営学者として、「マネジメントの巧拙を説明する」という記述<スタイルです。企業の経営がどのように運営されているのか?環境の変化や競合に対して、企業がどのように対応しているのか?そのようにする理由はどこにあるのか?などなどです。簡単に言えば、経営の基本戦略を練ったり、従業員や顧客と良い関係性を構築するための方法を解説するという表現の仕方でした。
今回は、全体の作りを物語仕立てにしてあります。解説者の立場ではなく、ひとりの観察者としてインタビュアーの立場から話し手の言葉を拾っていくという方法を試みています。学者の立場で説明をすることは極力控えるようにしていた。経営トップやマネージャーたちに、クリティカルな意思決定の場面での心の在り方(感情)や、彼らが見ていた経営現場の事実を自由に語ってもらうことにしました。
二つ目は、物語の劇中に、インタビュー記録を挿入したことです。これまでは、登場人物の発言に焦点をあてるスタイルは採用してきていません(例外は、『しまむらとヤオコー』小学館、2011年)。『青いりんごの物語』の劇中
では、経営データは補足的な位置づけにしてあります。企業の成長や事業の転換を導いた要因は、経営者や
マネージャーたちの感情表現で説明しています。筆者が客観的に分析するのではなく、経営者の行動や言葉で語ってもらってます。
次の仕事は、ローソンの歴代3人の社長さんたちの奮闘記になります。また、雑誌と新聞の連載は継続します。ただし、活動の舞台は変わります。新しい「オフィスわん」は、神田小川町の「BARブリッツ」の隣の空間に移動します。ギャラリーの隣は、夕方からオープンするワインバーになっています。
今後とも、よろしくお願いします。ブログも、もちろんこれまで通りに継続します。そして、皆さんとは、新しい形で交流ができるように、仕掛けを工夫してみたいと思います。「オフィスわん」に、気軽にお立ち寄りください。