【寄稿文】拙稿「47都道府県制覇の次なる目標は、お城マラソンシリーズだ」『月刊ランナーズ』2023年6月号(特集記事)

 『月刊ランナーズ』から、2023年6月号(本日発売)に、「お城を走るマラソンを楽しもう」という特集企画に原稿を依頼されました。今回は、5月号につづく特集の第二弾になります。わたしと一緒に「お城マラソン」の推薦人に名前を連ねているおふたりが、ともに女性(きゃっするひとみさん、萩原さちこさん)という現象がとても面白いところです。

 

 なお、この原稿は、3月末に提出済のものです。実際に発表された記事は、これとはすこし文面が異なっています。このブログには、オリジナルの原稿を貼り付けます。実際のテキストは、インスタグラムにアップされています。以下を参照ください。

 *小川の個人インスタグラム、2023年4月19日(https://instagram.com/p/CrNWn1tubDh/

 

「「お城を走るマラソン」を楽しもう」  V3:20230328(訂正)
『月刊ランナーズ』2023年6月号(特集記事)

 文・小川孔輔(法政大学名誉教授)

 

 2010年9月に、全国各地で開催されている公式マラソン大会で、全47都道府県を走り終えました。ハーフで2時間以内、フルで4時間台が「国盗り」の認定ルールでした。ところが、国盗りを達成した虚脱感から、地方のマラソン大会を走るモチベーションを失ってしまいました。そこに降って沸いてきたのが、「お城を走るマラソン」の企画です。
 昨年、都内にある私立大学を退職しました。定年を機会に2巡目の国盗りに挑戦しようと思っていた矢先のことです。ですから、「お城マラソン」の提案には大感謝です。全国の県庁所在地のほとんどに、お城や城址が残っています。お城がある場所を走るマラソン大会の全国制覇は、2度目の全国行脚の「城攻め」になります。
 「日本の100名城」のリストをチェックしたところ、100名城のうち、15年かけて18か所のお城を巡っていました。その中から、楽しく走ることができた大会を紹介してみます。

 

 お城は、平城と山城に分かれます。それぞれ楽しみ方がちがいます。平城のマラソン大会では、一般的に走路がフラットです。タイムを狙いたいランナーにとって、丸亀ハーフ(丸亀城)や静岡マラソン(駿府城、2023年は休止中)などは、自己記録の更新が可能な大会です。わたしのハーフの自己ベスト(1時間39分48秒)は、静岡駿府マラソン(静岡マラソンの前身)で記録したものです。
 なお、平地にあるお城は、城壁の四方が大きな堀で囲まれています。さが桜マラソン(佐賀城)や高田城ロードレース(高田城)では、大蓮が群生している堀の周りを一周してゴールします。とても清々しい気持ちになるものです。
 山城のコースは、アップダウンが多いのが特徴です。昇りを得意とする劇坂愛好家ランナーに向いています。お城がある山中には、たいてい良質な温泉があります。恵那峡ハーフ(岩村城)は、元同僚と秘湯の宿に入りがてらのレースでした。

 

 在職46年間で、約800人のゼミ生を社会に送り出しました。彼ら・彼女たちは、全国各地に散らばって活躍しています。お城マラソンのレース当日(城攻めの日)は、彼らに声をかけて同窓会(合戦後の祝宴)を催すことになりそうです。わたしが殿で、一緒に走ってくれる姫(元ゼミ生や友人)を募集してみたいと思います。その際は、仮装もありかもしれません。
 漱石ゆかりの地で、坊ちゃんランランラン(松山城)を走ったことがあります。坊ちゃん役とマドンナ役のカップルが、仮装してスタートラインに並んでいました。ふたりはげた履きでしたから、無事に完走できたのでしょうか。ゴールでは、2人の姿を見かけませんでしたが。

 

 わが友人に、お城のマニアがいます。彼は100名城のうち61城を訪れたことがあるそうです。お城マラソンの楽しみ方について、アイデアをいただきましたので紹介します。
(1)お城は日本の歴史的な建造物。美しいスポットを探しながら走り、マラソンの途中に撮影するか、終わった後に撮りに行く。撮った写真はInstagramにアップするとよいでしょう。お城巡りマニアからもコメントが届くはずです(写真コンテストはありそうです)。
(2)完走後に訪れる飲食店を走りながら考えておく。全国各地の城下町には、老舗で旨い店があるはずです。

 

 最後に、ランナーズの読者の皆さんにご提案です。お城を走るマラソンの企画が実現したら、わたしは、マラソン大会でよく見かける「ペースメーカー」の役割を担いたいと思います。皆さんが年末にいくつの城を攻略できているのか? その時点でステータスは、足軽なのか、武将なのか、将軍なのか? ついでに、地方で開催される城攻めの様子や、合戦後の祝宴の様子をレポートしたいと思います。