ゴールデンウイークから母の日にかけて、亡き母の墓参りをする習慣のことを、少し前から「母の日参り」と呼ぶようになっています。米国で母の日が始まったのも、亡き母を忍んで追悼することがきっかけだったと言われています。日本の花業界が提案したのが、「母の日参り」という行事でした。この習慣は、かなり定着してきた感があります。
実母の小川ワカは、2019年の4月1日に火災事故で亡くなりました。花業界に身を置く身として、母の日参りの習慣の存在は知っていたのですが、3年前に実母が亡くなっても「母の日参り」を行うことが叶いませんでした。コロナの感染が広がったため、この2年間は、故郷の秋田県能代市に帰省することができないままでいたからです。
母親の墓前には、生花もお線香も手向けることができていません。一度だけ、秋田の友人(パートタイム和尚さん)にお経をあげてもらうことを依頼したことがありました。実際に実現したかどうか確認できていません。
そんなわけで、特別な事情があるとはいえ、わたしはあまり立派な長子とは言えない立場にあります。残念な人間になっています。
ところが、本日(1日)は、実母ワカさんの月命日に当たっていました。同じく、2011年の元旦(1日)に亡くなった義父の奥村正太郎と、実母の小川ワカの月命日が重なります。いままで気が付かなかったのですが、二人の月命日が同じだったのです。
連休中に、かみさんと墓参りに行く予定をしていました。昔は法事のような特別なことでもなければ、奥村家(かみさんの実家)の墓がある南蔵院で、正太郎さんのお墓にお線香を手向けることなどありませんでした。年を経るしたがって、宗教行事に対する態度変容が起こるのは、わたしだけのことではないようです。
信仰心の篤いかみさんは、2人の月命日(1日)が同じであることを知っていたはずです。わたしがそのことを知る由もなかったのは、信仰心のちがいから来ているように思います。そんなわけで、月命日に当たる本日、立石の南蔵院に一緒に墓参りに行くことにしました。
わたしが支度をしている間に、かみさんは、近くのコンビニでお供えの生花を対で買ってきました。1セット1400円(700円×2)。大輪の白菊にガーベラと小菊などが入っています。コンビニの仏花を侮ってはいけません。セブン-イレブン高砂7丁目店は、経営が飛びぬけて上手なことで有名な繁盛店です。
南蔵院@立石に向けて自宅を出発です。かみさんに付き従って、南蔵院まで車に乗せていってもらうことになりました。天気がよければ、自分の足で走って行くつもりでいました。いつもは、自宅から走ってお寺さんまで約3KMです。
一昨日、昨日と2日間、5KMと7KMを走っています。少し疲れも出ているのと、天気予報によれば、昼から雨になりそうでした。今回は妥協して、自宅から南蔵院までは、かみさんのダイハツのコペンに乗せてもらうことになりました。コペンはコンバーチブルです。
南蔵院に到着。お線香をいただいて、着火するのはかみさんの役割。手桶に水を汲むのは、いつもわたしの役回りです。茶碗の古い水を捨てて、柄杓で手桶から新しく水を補充します。この頃は、わたしが水の補充をするようになりました。煙が立ち昇っているお線香を横置きにして、手を合わせて墓参りは終わります。亡き両親と義妹に合掌。
実母と義父の祥月命日であることは知らされていました。しかし、本日の墓参りは、実母に対しては、母の日参りを兼ねていました。LINEのメールでやり取りをしているときに、そのことを、大田花きの内藤育子さんから教えてもらったのでした。
「こんにちは。お天気もって良かったですね。
赤のコペンとは、かっこいいのに乗っていらっしゃるのですね!
月命日も母の日参りもできて
いいご供養になったこととお察しします。」(内藤さん)
「確かに、母の日参り、一緒に終わったのかな?」(小川からの返信)
内藤さんにLINEをしたのは、その後だったのですが。南蔵院を出て、急遽、水元公園近くの川魚料理「根本」に行くことにしました。根本は、埼玉県三郷市にある老舗の鰻屋さんです。真っ黒な鰻のたれと、ハーフサイズの鰻があることで有名です。
お腹が空いたということもありました。でも、それよりは、月命日の二人のために墓参りをしたのだから、その後は「会食」だろうと思ったわけです。南蔵院はたびたび法事で行くのですが、今日はお料理が用意されているわけでもありません。わたしからの提案で、本日は、かみさんと二人で鰻会席にしようというわけでした。
立石から三郷までは約10KM。混んでいなければ30分ほどで到着できます。まだ曇り空のままです。雨がやって来るまでは、天蓋を開けて、新緑の中をオープンカーで颯爽と走ることにしました。10時40分に根本に到着。11時開店前でしたが、すでに6人が待合室で待っていました。
11時開店時には、およそ20組。7番目に呼ばれました。その間、20分。テーブル席に腰かけて、ハーフサイズのうな重と肝吸い(2人前)、鯉の洗い(1人前)を注文しました。いつものメニューです。3分後に、鯉の洗いが運ばれてきました。いつも早いのです。ここの洗いは、泥臭くなくて絶品です。それを食べている間、20分後にハーフサイズのうな重が到着。
漆黒のうな重に、山椒をたっぷり振りかけて、美味しくいただきました。夫婦二人で、ワカさんと正太郎さんの法事を執り行った責任者の気持ちになりました。月命日のお墓参りと、母の日参りが同時に終わりました。天国のふたりは、どのようにわたしたちを見ているのでしょうか?
このところ少しだけ、信仰心が篤くなったように自己を評価しています。あとで、かみさんに聞いてみたいと思います。本日の墓参と会食の評価点を。よろしく公平に、、、
<追記>
偶然の出来事がありました。何人かの元学生や知り合いに、「赤いコペンとハーフサイズの鰻、そして南蔵院」の写真(インスタグラム)を送りました。宛先の中に、大学院の元小川ゼミ生で、味の素勤務の田中恵理子さんがいました。
「こんにちは。田中さん。
毎月の1日は、実母と義父の月命日です。お墓参りをしました。
ダイハツのコペンをオープンカーにして、埼玉の三郷まで鰻を食べに行きました。
まるで、夫婦2人だけで法事をやった気分です。」(小川より)
https://www.instagram.com/p/CdALi66J5Ik/?igshid=YmMyMTA2M2Y=
彼女からは、夕方になってから、こんな返信がありました。
こんなことがあるのですね。驚きの一致です。
「こんにちは。5月1日は実父の命日、
旦那の誕生日です!お墓参りは昨日いきました。
真っ赤な車素敵ですね!」(田中さん)