へべすの里、宮崎日向市から。

 院生の浦上昌子さんと宮崎県に来ている。彼女の卒業とともに、日向市の特産品ヘベスをプロモーションする調査プロジェクトが終わる。宮崎県と日向市には、調査の補助(サラダ店)やヒアリングで、たいへんお世話になった。浦上さんと一緒に、結果の報告のためにお礼を兼ねて現地に来ている。

 

 宮崎プロジェクトは、浦上さんにとって中小企業診断士としての最初の仕事になる。大切な「門出」をフォローするめ、現地報告会とヒアリングに同行することにした。報告会に指導教授が出向くことは、出身地である宮崎での今後の活動に、大きな支援になるだろうと思ったからだった。
 浦上さんの報告会に同行してよかったと思っている。案の定、アシストは効果があったようだ。浦上さんと一緒に現地に入りしてわかったことがいくつかあった。本日のブログでは、その中からいくつかを紹介してみたい。現場主義は大事である。

 

 一番の発見は、日向市の特産品だったへべすを、宮崎県としては、県を象徴する特産品の一つに育てたいと思っていることだった。県職員さんたち5人が参加してくれた情報交換会で分かったことは、宮崎県がへべすの普及のために、小さいながら予算枠(200万円)を確保してくれていたことだった。現状では、首都圏でのへべすの認知度は低い。そのへべすを、県が力を入れてプロモートすることにしたようだった。行政側の本気度が確認できた。

 二番目は、へべすの供給量を増やすために、日向市の外の地域、例えば都城市などに、ヘベスの苗を配布していることだった。首都圏で知名度を上げるためには、供給量をもっと増やす必要がある。かぼすやすだちに比べて、供給量は50分の1以下である。問題点はは誰の目にも明らかである。

 三番目は、地元の内山建設の若社長さん(雅仁氏)が、本業の公共工事の多角化事業として、ヘベスの大々的な栽培事業に乗り出していたことを知ったことだった。内山建設は、へべすの大規模栽培のため、2年前に2人の職員を採用していた。そして、1.5ヘクタールの農地にヘベスの苗を植え付けていた。今年からは、新たに確保できた10ヘクタールの土地に、順次ヘベスの苗を植えていく。栽培地がどんどん増えることになる。

 現地で、内山建設のヘベス事業担当部長の飯田英之さんに、日向市の郊外にある農地(ひむか農園)を見学させていただいた。へべすの若木は植え付けたばかりである。あと2年後には、果実の最初の収穫がはじまる。果樹栽培の難しいところは、畑に植え付けてから5~6年しないと収穫ができないことだ。
 飯田さんによると、若山牧水(詩人)の生家の付近で、新たに10ヘクタールの農地を確保で来たという。その土地に計画している苗の作付けが終わると、いま宮崎県で栽培されているへべす全量よりも大きな事業になるはずである。へべすの供給量がいまの倍以上増えるわけで、その先は販路をどのように開拓、確保するかが課題になる。

 わたしからのアドバイスに、内山社長や飯田部長が、熱心に耳を傾けてくれていた。へべすの用途開発を進めることが必要である。そして、小売業や飲食業のチェーンと直接的に取引をすることを推進する必要がある。JAや市場を経由しても、新しいチャネルは開拓できないだろう。

 

 現地で事業を推進している人たちと直接、対話してみることで、たくさんの新しいアイデアが生まれた。宮崎県、日向市、内田建設の皆さんと話してみて、机上で思い描いていた以上のアイデアが想起ができた。浦上さんの将来が少し見えてきて、わたしの気持ちも明るくなった。