昨日の午後、東京ビッグサイトで「これからの花産業:予言と妄想」という講演を行った。JFMA会長(大学教授)として最後になるかもしれない講演だった。会場には、60人ほどの聴衆が参加してくれていた。毎年、参加してくださっている常連さんの顔も、前の席でちらほら見かけた。
セミナーでは、プレゼンの順番を直前に入れ替えることにした。時間が足りなくなりそうだったので、そのほうがわかりやすいと思ったからだった。その結果、講演の初めに、花産業の未来に関して「5つの予言」を提示した。レジュメには書かれていないもので、ここに記録として残しておくことにする。
小川教授の5つの大予言。「予言と妄想」とでも題しておく。以下のトレンドは、10年~20年で実現するだろう。
1 花の世界も「準鎖国状態」になる。
・海外からの輸入品は、飛行機では運べなくなる
・短茎・軽量の花がメインで海上輸送が主体に
(*単品種大量生産・大量消費の時代が終わるということ)
2 「輸送園芸」の終わり
・運ばない園芸の時代が到来する
・近場で生産、地元で消費「地産地消」
(*都市周辺の100KM圏内に、多品種の花を生産する農場ができる)
3 卸市場(オークション)は消滅する
・卸売市場は消滅して、マーケティングカンパニーになる
・物理的な存在としての卸会社は、物流のハブに転換する
(*企画開発型ベンダーとしての卸会社は残る)
(**荷受会社という呼び名が象徴する存在はなくなる)
4 花の生産も「都市型垂直農場」で
・野菜のように、切り花でも都市型垂直農法が普及する
・海外産の花は、都市近郊での垂直農場に置き換わる
(*米国の野菜市場ですでに起こっている現象)
5 花の文化は、江戸時代に回帰する
・令和の時代に「江戸の園芸文化」が復活する(200年~300年前に戻る)
・大量に標準品を楽しむマス消費は終わりを告げる
(*ひとびとは自分で育てることを楽しむようになる)
(**江戸の花文化の再現:一億総育種家の時代)
以上、基本的な変化の本質は、マス消費の時代が終わるということである。
・切り花は、「ビタミンF」(気持ちを高揚させる存在)に、
・植物(鉢物や苗物)は、「サプリメントP」(気持ちを弛緩させるもの)に。
・花と植物の役割が「デコラティブ」(装飾)で「供える」(ギフト)から、
・上記、「P&F」のような機能が花が果たす役割のメインになる。
なお、予言に6つ目を挙げるとしたら、、、
6 花業界とその他の小売りの境目がなくなる(業界の融合)
・花屋以外の小売店チェーンがふつうに花を取り扱うようになる
(*ユニクロの花を見よ! ニトリやセブンが花を扱うようになるだろう)
・花屋が花以外の商材を扱うようになる
(*カレンドのアンブレラブーケを見よ 花店が傘屋になってもいいじゃん)