米国から帰国して以降、つぎつぎに情報機器関係のトラブルに見舞われている。研究室にあるPC(バイオ)の調子がいまいちおかしい。原稿が書けない状態にある。
ウイルス感染の疑いをチェック途中である。ハードディスクの容量の問題では、という近くにいる専門家のご意見もある。一昨日は、わざわざ米国内で連絡用にと買い換えた携帯電話(ボーダフォン3G規格、東芝)が、メールを送ったところでハングアップし、そのまま修理に出てしまっている。
その翌日には、そのとき借りた代替品の3G機種(シャープ)が不調になった。調べてみると、実は携帯そのものではなく、内部のメモリーに欠陥があったことが判明した。大学の研究室と市ヶ谷駅のボーダフォンショップの間を行ったり来たりで、時間が無駄なことおびただしい。
東芝の携帯は修理工場に行ったままで、慣れないシャープの携帯電話では使い勝手が分からずに苦戦している。あと3日で本体が帰ってくるので、この機種を覚える努力をしても無駄だと思い、もはや電話をかけることだけに専念している。
年齢が年齢なので、新しい情報機器になれるまでには、以前より多くの時間がかかるようになっている。それでも、仕事面では情報機器への依存度が高まるばかりである。どこか一つがおかしくなると、仕事の中断で気分的に滅入ってしまう。JFMAの宅事務局長は、しばしばコンピュータウイルスにやられて、急ぎの仕事でピンチになっていた。いまはわたしがその状態にある。
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昔からの知り合いに、「携帯電話やPC(メール)を捨てたい!」と言ったら、「先生はそんなこと、絶対にできやしませんよ~」と言われた。スローな人生をのぞみながら、現実は、実に「シャカシャカした生き方」(元大学院生の小川浩孝さんの表現)をしている。仕事やふだんの食・住生活まわりのライフスタイルを何とか変えたいと思っているが、このまま5年は同じことを繰り返しているような気がする。永遠かもしれない。何とかしたい!
目の前にやるべきことが多すぎる、とは感じている。多くの人とたくさんの約束をしてしまっているからである。日々の小さな仕事のキャンセルはまあ簡単にできるけれど、いつか実現したいと定めた遠い人生の目標を放棄すること(関係性=コミットメントを反故にすること)は、それほど簡単なことではない。
そう思ったのは、ユニクロの柳井さんが「2010年までに売上高1兆円」に固執している姿を見るからである。レベルが違うが、わたしにも似たような目標がいくつかある。それをさっさとあきらめるか(つまりは引退)、それでも周囲の反対に抗しながら、しんどくても目標実現に向けて邁進するか。どこからか、「もうこの辺でいいんじゃない」という声が聞こえてきている。
3週間前に、「わたしも正念場です」というメールを柳井さんからいただいた。玉塚社長と袂を分かった直後のことである。メディアの報道論調にしたがうならば、売上1兆円は高すぎる非現実的なハードルである。それでも、不可能と思えるほど高い目標を掲げて、その実現を夢想して必死に努力する日本人がいてもいいではないだろうか? そうした人間を「冷酷で冷たい」とはいわずに、常識と嫉妬心は横に置いておいて、ドンキホーテ的なチャレンジャーを応援する余裕を持ってほしい。情緒的な反応ばかりでは、企業経営はできない。人間の感情として正しいことが、必ずしも経営判断としては正しいとは限らない。