日本の農林中金にあたるオランダの「ラボバンク(正式名称:Coöperatieve Rabobanks U.A. 以下ラボバンク)」から、20年後の世界のフラワーマーケットの需要予測が発表された。
今回は、オランダ人アナリストの分析を受けて、わが国の将来の花市場を予見してみたい。ラボバンクから「消費者行動の変化“ Changes in consumer behavior”」という報告書が発表されたのが12月7日。
花業界のメルマガ”HortiBiz”に転載された記事では、2037年の市場がかなり楽観的に推計されていた。アナリストの分析によれば、世界の花需要は、北米と欧州で年率2%で成長。今後の成長が著しいとみられるアジア圏では、年率6~8%で成長すると予測している。これほど高い伸び率を採用しているのは、「ミレニアル世代(2000年に成人あるいは社会人になる世代)」と呼ばれる若者層が、切花やプランツをたくさん購入するだろうということが根拠になっている。しかし、日本での調査結果はこれとは対照的である。この世代(20代~30代)の若者、とりわけ若い女性は花を購入していない。
世界の動向に対する日本の逆転状況は、バブルを経験していない世代の経済的な余裕のなさと将来への不安からきていると考えられる。ただし、日本の若者も、ミレニアル世代の4つの消費特性は有している。
花やプランツを選択する基準として、①手軽に楽しめること、②環境を快適に保つ効果があること、③季節性や自然を訴求すること、④オンラインやモバイル機器で積極的に注文するできること。この4つの利点を創意工夫で取り込み、阻害要因を乗り越えられれば、若者や男性に花を売ることは難しくはないだろう。
現状(2015年)の欧州市場では、オンラインでの花販売シェアが5~14%。2037年にはこれが約30%になるだろうと予測されている。また、現状では花の購入者の80%が女性だが、ネット購入では男性比率が7割を占めている。従って、男性がスマホなどで花を購入することが普通になると言われている。日本でもモバイル経由の花やプランツの購入が広がりを見せるだろうか?周囲の若者を見ていると、それは条件次第のように思う。
すでに多肉植物やミニ盆栽、家庭菜園などでは趣味領域で小さなコミュニティが生まれている。例えば、植物特化型SNS「GreenSnap」では、カテゴリー毎にメンバー同士が交流できる広場が誕生している。花のもう一つの有望な花の購買層は、団塊世代である。彼らは、時間と金を持て余している。そして、かつての老人たちに比べて好奇心が強く、趣味の活動に積極的である。そして、花の産業にとってプラスに作用する要因は、世界中で都市化が進行することである。