(その16)「生涯マイル:20年間で地球を6・8周」『北羽新報』(2017年11月25日号)

 人間は一生をかけてどのくらいの時間を空の上で過ごしているのか。どのくらいの距離を飛んでいるものなのか。その答えは、エアラインの会員になってみるとわかります。わたしの場合は、カード会員の日本航空だけで、20年間で地球を約7周していることがわかりました。

 

 実際には、ルフトハンザやエールフランス、KLM(旧オランダ航空)やBA(英国航空)、デルタ航空やUA(ユナイテッド航空)など、外国の航空会社も利用しています。もちろんANA(全日空う)もそれなりに利用しています。

 データには集計されていない残りの20年分を合計すると、地球10周回はゆうに超えていると思います。思えば遠くにきたものだ。そんな思いで、空についての文章を書いてみました。

 

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「生涯マイル:20年間で地球を6.8周」『北羽新報』2017年11月25日号
 文・小川孔輔(法政大学大学院教授)
 国内外の航空会社には、「マイレージ・サービス」という特別なプランがあります。カード会員になってもらい、累積で飛んだ距離が一定の値(例えば、1万2千マイル)を超えたら、無料の航空券をプレゼントしてもらえるというものです。
 ドラッグストアや食品スーパーが発行している「ポイントカード」も同じ仕組みのサービスですが、エアラインの場合は、特典が無料航空券で金額も高額になります。たとえば、大館能代から羽田に飛ぶ往復便は、正規料金が約5万円です。これを無料で入手できるわけですから、利用者は一社のマイルをためるため、他社の便を利用しなくなります。
 わたしは、JAL(日本航空)とANA(全日空)の両方のカードを所有しています。1990年代のはじめに、学会発表や調査活動で海外出張が増えてきました。そこで、先にJALのマイレージ会員に登録しました。当時は、成田発の海外路線は日本航空が独占していたからです。ところが、航空の自由化で競争促進のため規制緩和がすすみ、全日空も海外路線に進出することになります。
 とはいえ、わたしの年代のビジネスマンや研究者は、JAL派が多いと思われます。それは、単純にマイレージの恩恵を受けやすいのが、海外出張のときに利用していたJAL便だったからです。わたしのように複数のカードをもっていても、すでに累積飛行距離(累積マイル)が貯っているJALのほうを選ぶことになります。秋田に帰省する際には選択の余地がありません。ANA(羽田~大館能代)を利用するのですが、それ以外は、ほぼJALに利用をまとめています。マイレージのポイントを増やすためです。
 さて、JALを多用してきたことで、おもしろいことがわかりました。それは、過去のフライトデータが、JALに関してほぼ完全な形で見られることに気づいたからです。「どのくらいの頻度で飛行機を利用しているのか?」「国内と国外の利用割合は?」などなど。
 自宅のパソコンから日本航空のサイトに飛んで、「JALマイレージバンク」の個人データにアクセスしてみました。すると、次のようなデータが現れてきます(1997年7月11日~2017年11月7日の約20年間分)。
 ・お名前:MR KOSUKE OGAWA 
 ・お得意様番号:***873
 ・生涯マイル168,386マイル(注:1マイル=約1.6KM)
 ・(国内線 46,141 マイル 国際線 122,245 マイル)
 ・生涯搭乗回数118回(国内線 87 回 国際線 31 回)
 ・この生涯マイルは、地球約 6.8周、月まで約 0.4往復、総搭乗時間は約 449.0時間に相当します。
 このデータから、つぎのことがわかります。
1 JALで飛んだ距離は地球を約7周(*海外のエアランを含めると推定で地球を10周)。
2 年間平均で約6回JALを利用(ANAを入れると推定8回)
3 国内・国外の登場回数比率は、JALの場合は3対1(海外エアラインを含めると、おそらく2:1)
 同じことを新幹線でもできたらいいなと思いますが、JRがポイント還元サービスをはじめたのはごく最近のことです。まずは、みなさんも、ご自分がいままでどのくらい飛行機で飛んだのかを計算してみてはいかがでしょうか?