NHK新書取材メモ(1):地域対応ための組織変更、調達の自前主義

 昨日から、NHK新書のローソン取材が本格的にはじまった。差支えない範囲で、取材ごとにメモを残していく。昨日は、ローソン商品本部本部長補佐の福田浩一さんにインタビューをお願いした。福田さんは、日本に5人しかいない6次化プロデューサー(G1)のひとりである。

 

 以前からのわたしの疑問は、セブン‐イレブンがローカルな商品開発に何度も挑戦しながら、なぜうまくいっていないのか?そこには構造的な問題があるのではないか?という仮説だった。そのヒントを、昨日のインタビューから得ることできた。詳しい話は、書籍で書くことになっている。ここでは、要約のみを残すことにする。

 結論を簡単にいえば、ローソンがそれができているのは、

(1)弁当や総菜類の商品開発に関して、原材料の調達に関しても、自前主義を貫くこと(川上にコミットすること)、

(2)同じく、商品開発に関してはローカル対応をするために、支社制度を導入したこと、

の二点である。セブンにはこれがないからである。

 

 ローソンは、原材料調達を自前でやるために、2002年に社内に「原材料調達部」を作った。商品開発のため、生鮮品(肉、魚、青果)の専門家を採用するようになった。これが、2015年発足の調達機能子会社「SCI」に改組されることになる。チェーン小売業の商品部(仕入れ)でメーカーの商品開発部門につなぐ役割を担う組織である。

 これが機能するのは、ローソンがグループ内に、調達した原材料と開発した商品について、たくさんの小売業態(出口)を持っているからである。たとえば、四国のサニーマート、提携先のポプラ、買収した成城石井、ナチュラルローソン、ローソンストア100。さらに、三菱食品などの卸関連会社なども販路になっていく。食品産業にコミットしてきたことの優位性である。

 

 よく取り上げられる、富山の「のどぐろおにぎり」など、商品開発でローカル対応ができている。それは、原料調達部(バイヤー)の一部が支社に所属しているからである。セブンイレブンは、開発要員が本部に所属しているので、ローカルの食材を調達する役割は、ベンダー(たとえば、わらべや日洋)になってしまう。

 ベンダーとて、ローカルごとに調達ルートを持っているわけでもない。その結果として、本部が地域商材に関しては、知識も購買ルートも持たないことになる。本部もベンダーも中途半端な立場に追い込まれる。イトーヨーカドーの「持たざる経営」の遺伝子が、ローカル対応の際には逆に作用してしまっている。

 ローソンがそれができているのは、川上にローカルごとにコミットする決断をしたからだと言える。

 キーワードは、自前主義とローカル対応。そのために、調達と開発の組織を再編して、教育研修制度(ローソン大学)を整備した。これが、ローカル食材で付加価値がつく商品開発の成功につながっている。

 そのための仕組みについては、書籍に詳しく紹介する。