バトンタッチ

 昨日の大学院教授会で、次期専攻主任に五月女教授が選出された。今年度のわたしは、異例の学科長就任だった。一年間で大学院を常態にすることができた。懸案事項が多かったからだ。そういえば、15年前に橋本寿郎が急逝し、経営学部長に緊急登板したことがある。それ以来、3度目のトップ就任だった。

 

 ひとりの教員が、ふたつの組織を跨いでとはいえ、学部長(学科長)を三度も務めることは異常だと思う。2002年~2004年:経営学長、2010年~2012年:経営大学院専攻主任、2016年~2017年:同大学院学科長。これ以外にも、1992年~1994年:経営学部の大学院専攻主任(社会大学院の立ち上げ)をしている。これにて、経営大学院はうまくバトンタッチができたと思う。

 もうひとつの事業継承は、JFMAの後任会長(執行部)を選ぶことだ。こちらのバトンタッチのほうも、順調に進んでいる。次期の執行部は、いまより10年から20年は若返りそうだ。年寄りがいつまでも、上に立って仕事をしていてはいけない。業界や学会が沈滞してしまう。

 マーケティングサイエンス学会のほうも、昨年来、慶応大学の井上くんに代表理事の席を引き継いでもらった。若い人たちが、自分たちの考えで新しい方向性を打ち出している。わたしは、新しい執行部の選任などについては、一言もアドバイスをしていない。そのほうが健全だろう。

 経営大学院の中で、わたしのマーケティング講座は、直弟子の豊田君が引き継ぐことになっている。すでに、経営大学院では、わたしと豊田君の二人で、マーケティング論を担当している。学生はどちらの講座でも「マーケティング論」を学ぶことができる。

 

 自分が立ち上げたほぼすべての事業(部門)で、その後任ポストを若手に託すことができる人間は、まれではないだろうか?それは、とても幸せなことだと思う。

 ところで、『新潮45』のつぎのテーマは、「社長はつらいよ(仮)」である。

 この記事・論考は、3月号で掲載になる予定である。内容は、「誰を後継者に指名したほうが、その会社が栄えるか?」である。創業者か?身内から出る二代目か?プロパー社員の中からか?有能な専門経営者をスカウトできた場合か?

 正解は、このいずれでもない。それ以外のケースが、会社の業績が最大になる。