「Relay Freshnessのプロモーション」『JFMAニュース』(2016年6月20日号)

 今年度の国際セミナーは、「即!役立つ花き日持ち性向上対策の最新技術とは?」というテーマで、新春セミナーに引き続き、法政大学イノベーション・マネジメント研究センターとの共催で開かれた。鮮度保持技術の最新動向を学ぶため、オランダからは二人の講師を招聘していた。残念なことに、切り花担当のTjerk van derSchaf氏は、一身上の都合で来日が叶わず、代理講演をクリザール・ジャパンの海下展也氏(JFMA常務理事)が務めることになった。


セミナーでは、オランダの動向を紹介する前に、日本の小売店で鮮度保持技術の普及に努めている薄木健友氏(株式会社花佳 代表取締役)が、「お花屋さんに必要な花きの品質管理」という演題で、非常にわかりやすい講演をして下さった。バケツの汚れやハサミに付着した細菌の濃度が、測定器(ルミノメーター)で客観的なデータとして数値的にわかってしまう。というわけで、薄木氏を中心にした日本での鮮度保持の実践が、それに続くオランダ側の講演の意味を際立たせることになった。

 最後のパネルディスカッションでは、昨年度から認証取得がはじまった「Relay Freshness」の動きについて、三人のパネラー(薄木氏、菅家氏、樋口氏)から現状を紹介していただいた。印象的だったのは、小売業を営んでいる薄木さんの発言だった。「生産者がきちんとSTS処理をしているかどうかが、Relay Freshnessの認証マークを見ることでわかってしまう」。言われてみればその通りなのだが、小売り段階での切り花の品質に対する信頼性が、われわれが始めた認証制度によって初めて担保されるようになった。いまさらながら、日持ち認証制度の社会的な意味を再確認した場面だった。

 パネルの途中で、MPSジャパンの本多さんから、Relay Freshnessを取得している生産者、市場、小売業者の参加者数を紹介していただいた。認証取得済みの生産者が2000軒を超えているのに対して、仲卸がわずか7社しか取得していない現実なども知ることになった。そして、数の上では400店をクリアしてはいるが、この制度を世の中に広めていくためには、さらなる小売店の認証取得・参加が必須であることを、会場に来ていた会員たちが共通の認識として持つことになった。いずれにしても、JFMAのメンバーを中心に、RelayFreshnessの制度をもう少し積極的に、とりわけ小売りと仲卸の部門に向けてプロモーションしていくことが必要だと痛切に感じた。

 翻って、わが国では、ようやく「切り花の日持ち保証」が定着を始めている。植物の品質評価が、外部品質から内部品質へ向かってはいるが、コールドチェーンの設計が課題になっている。セミナーの成果としては、Josien van Spingelen氏(クリザール・オランダ本社)から、「鉢物の日持ち保証」の背景と具体的な技術を学ぶことができた。