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【講演録】「2017年、オーガニックマーケットの行方はどうなる!? 〜「ビオセボン・ジャポン」土谷美津子氏と「福島屋」福島徹氏を囲んで〜」
 第10回の「フードマーケティングセミナー」が法政大学大学院で開かれた。昨年末に港区麻布十番で開店した「ビオセボン・ジャパン」の土谷社長をお迎えしての2時間半だった。申し込みが殺到してお断りをしたほどの人気セミナーだった。講演部分のみをブログに転載する。


「2017年、オーガニックマーケットの行方はどうなる!?

 〜「ビオセボン・ジャポン」土谷美津子氏と「福島屋」福島徹氏を囲んで〜」

日時:2017年2月2日17時〜21時
場所:法政大学経営大学院 301会議室
主催:(社)フードトラストプロジェクト
共催:Fデザインプロジェクト、次代の農と食をつくる会
協力:法政大学経営大学院小川孔輔研究室
ファシリテーター:法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
小川 孔輔 氏
コーディネーター:一般社団法人フードトラストプロジェクト会長
徳江 倫明 氏
*本セミナーは、次代の農と食をつくる会による平成28年度農林水産省「オーガニック・エコ農産物安定供給体制構築全国推進事業」の一環として開催
<講演要旨>
機.ぅ鵐肇蹈瀬ション 
(社)フードトラストプロジェクト代表理事  徳江 倫明 氏
(徳江氏)昨年(2016年)、ライフが大阪にビオラルというオーガニック・スーパーをオープンした。12月の中旬には、東京の麻布十番にビオセボン1号店ができた。イオンとフランスのビオセボンが合弁会社を設立し、出店されている。
 12月下旬には、福島屋の秋葉原店がオープンした。こちらも野心的で、可能性を秘めた店だ。
 今日はまず、ビオセボン・ジャポン代表の土谷さんから、出店の狙いと今後の展開についてご講演いただく。その後、小川先生に解説していただき、福島屋さん皆さんも交えて、ディスカッションをしたい(ディスカッションと質疑は非公開につき、記録省略)。
講演
「Bio c’Bon(ビオセボン)麻布十番店」出店の狙いと今後の展開
ビオセボン・ジャポン株式会社 代表取締役社長・土谷 美津子氏
1.ビオセボンとは
(1) 自己紹介
 ビオセボン・ジャポンは、開店して2か月、まだ1店舗しかない。今日は、なぜこの店を始めたのかについて、お話ししたい。
私はイオンでさまざまな仕事に就いてきた。お客様サービス部門の経験が長いが、店長も経験したし、食品仕入れやゲームセンター運営も担当したことがある。2016年6月にビオセボン・ジャポン蠅設立され、代表取締役に就いた。
(2) ビオセボン概要
 最初不勉強で、「ビオセボンを知っているか」と聞かれたとき、石鹸のブランドかと思った。私には聞きなれない名だった。
ビオセボンは、フランスのスーパーで、2017年2月現在、世界に140店舗展開している。創業者はM. Thierry Brissaud という人で、2008年にパリに1号店を開店して以来、2011年にはパリ市内10店舗、2014年にはイタリア・ミラノ、スペイン・マドリッド、2016年にはベルギー・ブリュッセル、スイス・ローザンヌへの新規出店を果たした。
オーガニックのスーパーとしては後発だが、積極的に若い顧客を取り込み、年間30〜40店舗と急速な店舗で出店している。
(3) コミットメント
 ビオセボンには、コミットメントがある。ポイントを紹介する。
・品質の高いビオ製品の提供
・本当においしいと思った商品を選定
・お客様との会話を大切にし、価値ある情報や質の高いサービスを提供
・環境を重んじる生産者をパートナーに
・生物多様性を高める商品を選定
・ゴミ削減やマイバックの持参、量り売りを推進
・地域社会の一員として、地域コミュニティに積極的に参加
ビオはおいしい
 何よりもまず、「ビオはおいしい」ということ。フランス語で「ビオ」は「オーガニック」、「セボン」は「おいしい」という意味である。創業者含め、会社として、おいしさに徹底してこだわり、品質の高いビオ、本当においしいと思った商品を選定している。
会話を大切に
 ビオセボンでは、お客様との会話を大切にし、価値ある情報や質の高いサービスを提供することを目指している。
環境重視
 環境を重んじる生産者をパートナーとし、生物多様性を高める製品を選定する。ゴミ削減やマイバックの持参も進めている。量り売りも行っているが、苦労している。フランスの野菜は少々ではしならないのだが、日本の野菜はみずみずしい分、萎れるのも早い。
地域コミュニティの一員になる
 地域社会の一員として、地域コミュニティに積極的に参加していく。フランスのビオセボンのインスタグラムを見ると、地元のマラソン大会などにどんどん出ている。イベントの写真も、インスタグラムに数多く掲載されている。

2.オーガニック市場における課題
(1) 日本の有機市場の特徴
 イオンはオーガニックに取り組んでいたが、次のステップとして、フランスで見たビオセボンと意気投合し、合弁で始めたのがビオセボン・ジャポンである。オーガニックはヨーロッパでは大きく伸びており、一般の人がごく普通に買っている。
日本のオーガニック市場規模は世界7位だが、1人当たりの買い上げ金額となると、先進国最低で、非常に低い。それが日本の市場の特徴である。
(2) 独自調査から:課題は若年層
 米国最大のスーパー「クローガー」は、オーガニックのPB「シンプル・トゥルース・オーガニック(Simple Truth Organic)」シリーズを出していて、リリース後、2年間で15億ドルを売り上げ、今やホールフーズを凌ぐ。シンプル・トゥルースは、30〜40代で、過去にオーガニックを使っていなかった層からの支持獲得に成功している。ビオセボン・フランスと同じ戦略である。イギリスでも、世代が若いほど有機の購入率が高い。
 日本ではどうか。調査すると、現状、有機の購入者は、金融資産のあるシニアが中心で、65歳以上が多い。年収または年金が1,000万円以上という人たちである。若い人たちは買っておらず、欧米とまったく違う。
なぜ日本の消費者は有機を買わないのか。私は、お客様に去年、自分で聞いてみた。買わない主な理由を挙げる。
値段が高い
 63%の人たちが、「値段が高いから」買わないと答えた。また、単に高いだけではなく、「自分の予算と比較して不当に高い」と思っている人たちは、22%に上った。
表示に疑問
 「有機の表示が本当か、疑わしい」と感じている人は17%いた。また、19%の人が、「近くで売っていない」と答えていた。「どこで買えるのか」が11%だった。
欲しいものがない:食生活に合う商品ラインナップの不足
 「欲しいものがない」という人も多かった。日本の農業と認証制度の都合で、日本の有機食品は、大豆製品に偏っている。有機の小麦や牛乳の国内生産者は限られており、若い人の欧米化した食生活に合った製品が少ない。
(3) 流通上の課題
 オーガニックが売れない理由としては、売り先の問題もある。ある生産者によると、有機牛乳は、生産量の10%程度しか認証有機として売れない。残りは、通常品として出荷せざるをえないという。有機と付けても売れないということらしい。
 野菜農家からは、多品種少量の方がニーズがあるが、JASを取ろうとするとそれが障害になる。また価格への転嫁が難しいため、認証コストが払えないという声があった。また、卵の場合、有機飼料が不足しているため生産がきわめて難しい状況である。
 私たちは、消費者に近い。若い人が何を求めているか、野菜ならどんな野菜が本当に欲しいのか、小売の方がよく知っているのは、唯一そこの部分である。あとは生産者の方がよくわかっている。そこで、生産者や加工業者と私たち小売が一緒に歯車を回して、若年層を中心とするノンユーザーに、もっと有機について知ってもらい、購入者を増やしたいという思いで、ビオセボン・ジャポンを作った。

3.ビオセボン・ジャポンと麻布十番店について
(1) ビオセボン・ジャポンの設立
 ビオセボン・ジャポンは、イオンと欧州のビオセボン本社が50%ずつ出資して、2016年6月に設立された、資本金も7,500万円(2017年1月31日現在)と、イオンとしては小規模である。2016年12月、麻布十番に第1号店を開店した。
フランスのビオセボンでは、農産品の鮮度が売りになっている。オーガニック・スーパーは、フランスでも鮮度が悪いのが普通だった。そこをビオセボンが変えた。フランスからは、「だから、日本でもがんばれ」と言われている。フランスの売場は品揃え豊富で、4,000〜5,000アイテムを扱っている。日本でも、商品数は徐々に増やしていっている。
(2) 目指すもの
品質のよい、おいしいビオ
 ビオ商品は、その生産過程において、環境や健康への配慮がなされている。私たちが目指しているのは、ビオの理念を大事にしつつ、何よりもまず、品質のよいおいしいビオ商品を販売し、お客様においしさと安心を実感いただけける身近な存在になることである。
 同時に人と人、人と自然のつながりを支援し、次の世代を豊かにしていく。そのために、特に若い人に買ってもらえるような店づくりを目指す。また、循環型社会に貢献する一員となり、生産者を支援したいと考えている。
食品から日用品まで幅広い品揃え
 ビオセボンは、「特別」すぎる製品しかない店ではない。ごく普通の一般的なスーパーマーケットで手に入るような、日常使いの食料品や日用品も入手できる。野菜や果物、魚や加工食品はもちろんのこと、酒類、惣菜、日用品、化粧品、ベビー用品まで、幅広い品揃えをしている。チーズやワインなどフランスからの直輸入品に加え、日本の日常生活で必要な豆腐や納豆なども、様々な製品を置いている。フランス生まれのビオストアとして、気軽に楽しめる店を目指す。
 フランスのビオセボンからは、「麻布十番店で見た日本の商品がほしい」という声も寄せられている。フランスのインスタント味噌汁には、日本が関与していないヨーロッパのものもあり、おいしくないらしい。日本のよい品を発掘し、逆に欧州に導入するという効果も、フランス側は期待しているようだ。
お客様とのコミュニケーション重視
 ビオに詳しいお客様の求める商品を提供することともに、新しいお客様にとってもわかりやすい、買いやすいお店とするため、話をしながらお客さまとのコミュニケーションを重視している。幸い、お客さんとの会話が大好きなスタッフがたくさん来てくれ、今、店頭で頑張ってくれている。
(3) 商品・サービスの特徴
野菜
 野菜は、農家が手塩にかけて育て上げた季節の旬の「有機JAS認証農産品」を中心に販売している。
 物流も大変だが、それより、「旬」というところのコミュニケーションは、なかなか難しい。今は冬だが、お客様からは毎日のように、「なぜキュウリを置いていないのか」という質問を受ける。
 野菜の形や大きさは、一つ一つ異なる。それを感じていただけるよう、葉物も含め、量り売りも数多く導入している。
有機転換中農産物
 ビオセボンの特徴として、有機JAS認証取得に向けて、転換中の農家の商品も扱う。フランスのビオセボンでは、「転換中」のPOPを付けて売られている。転換2年目くらいになると、農家の経営は厳しい。そこを小売りとして支えるためである。
畜産品
 牛肉は、輸入のオーガニック牛の他、北海道美幌峠で育った和牛(短角種)を提供している。この農場の牛は、生後8か月まで母牛の母乳で育てられ、離乳後も手作りの有機飼料のみで大切に育てられている。赤身のおいしさを引き出すために熟成された、旨味のある牛肉である。
 チーズは圧倒的人気で、特に外国人のお客様の中には、ヘビーユーザーになってくださっている方もいる。
輸入品
 海外からは、ワインやチーズ、お菓子をはじめとする加工品など、フランス直輸入品を含む1,000種類以上のビオ認証品を置いている。フランスの商品では、「栗の粉」のように、「何にどう使うんだろう」というようなものもあるが、悩みながらもお客様にお答えできるように努力している。
日本独自の品揃え
 有機JAS認証のお米や、豆腐、こんにゃく、そば、お茶など、日本ならではの食品も揃えている。
デリ、お弁当、パン
 お客様にビオ商品を手軽に体験していただけるよう、デリコーナーも設けた。最初、デリはしないつもりだったが、ビオの食材をその場で味わい、おいしさをわかってもらうにはデリがいちばん、ということになった。調理されていなければ食べてくださらない方もいる。
 デリでは、旬のビオ素材の魅力を引き出すレシピで、総菜やお弁当を提供している。店内には、キッチンとイートインを設けた。
フランスでは現在、空前の弁当ブームで、Bentoという言葉が定着しているという。フランスのビオセボンでは、弁当箱やおむすびも売れており、駅弁まで登場しているそうだ。
(4) チャレンジ: 日仏の制度・習慣の違い、新しい売り方
 店作りは、フランス側と喧々諤々のやり取りをしながら進めた。2か月やってみて、向こうが正しかったこともあるし、こちらが正しかったこともある。
量り売り
 青果の量り売りは、欧米は当たり前に行われている。イオンでも何回もチャレンジしたが、乾燥との戦いである。ナッツなどの量り売りは、部屋を分けない限り、夏場の湿気が多い日本では難しい。これには、フランス人もびっくりしていた。
 ビオセボン・ジャポンでは、根菜類だけでなく、葉物も量り売りしている。驚かれるお客さんもいらっしゃるが、けっこう喜んでいただいている。フランスの野菜と異なり、日本の野菜は柔らかく、しなびてしまいやすい。店頭では、毎日、萎れとの戦いである。
 ナッツやドライフルーツ、シリアル類も、個室を設けて量り売りに挑戦している。ここで難しいのは、アイテムごとに単価が違うことである。時々、いろいろな種類のナッツやシリアルを混ぜて、自分でミックス・セットを作られるお客さんがいらっしゃる。量りに載せたところで、値段の計算ができないことに気づかれるようで、売場に詰めた後の袋が残ったまま、ということも珍しくない。これは、量り売りにお客様が慣れるまでの辛抱だと思う。ご説明しながら対応している。
ディスプレイ
 日仏で、陳列の仕方が異なるものもある。ワインは、フランスでは立て置きはあり得ない。フランス側は寝かせて置くことにこだわり、ワインのためにはそれが最善策なので寝かせる什器を作成した。
有機認証制度
 有機JASの説明もしながら売っている。JASの説明は難しい。
ワインをはじめ酒類については、有機認証制度が異なる。フランスではワインにもビオ認証があるが、日本では有機JASの認証マークは付けられない。お客様から時々「なぜ、日本酒に有機JASがないのか」という質問を受けることがある。酒類の有機認証について、どう説明すればうまく伝わるか、困っている。
ドレッシングも無添加
 サラダの量り売りは、とても人気がある。サラダを食べたお客様は、次は野菜を買ってくださる。サラダを食べて初めて、「これ、どの野菜?」という話になる。
 ただ、苦労したのがドレッシングだ。添加物の入っていないドレッシングは、日本にはあまりない。従業員は「野菜がビオなのに、ドレッシングやマヨネーズがビオでないというのは、ありえない。言語道断だ」と主張して譲らない。それもそうだということで、さんざん苦労して探し回り、開店ギリギリになって、やっと調達することができた。
(5) 今後の展開
 今後の展開の方向として、オーガニックマーケットを牽引するキーワードを挙げてみる。健康・健康寿命、フェアトレード・エシカル、CSR(企業の社会的責任)、バイオ・ダイバーシティ、ベジタリアン・ビーガン、サステナブル、オーガニック・ライフスタイル、アニマル・ウェルフェア、酵素・ローフード・栄養価・機能性成分、地域支援型農業、オーガニック&ローカル、Tokyo2020と、いろいろな要素が混淆している中で、方向性を探る。
 オリンピックは、大きなきっかけだと思う。私には、一つ、ショックだったことがある。前職で、ある国の大使館の方が見えられた時、「日本にはオーガニックの食材はほとんどないので、オリンピックの時は、自分の国から持ってこなければ、選手には食べさせられないんでしょう」と言われたことだ。正直、頭にきた。ビオセボンに限らず、どこの会社でもいいが、日本にもオーガニックはあるんだと、海外の人にもわかってほしいという思いを持っている。
 フランスのビオセボンは楽しいことが大好きで、品揃えはもちろん、ワークショップ、楽しむ情報発信、生産者さんの応援など、いろいろな活動をしている。キャラクターのヒツジはあちこちに出てくるが、羊の名前を聞くと、「ビオセボン・シープ」という答えが返ってくるばかりで、どうやらフランス人は、名前は付けないらしい。文化の違いを感じた。

4.メッセージの伝え方
(1) 知のコミュニケーションと情のコミュニケーション
 有機JAS認証について、うまく伝えることは難しい。メッセージの伝え方について考えてみたい。
知のコミュニケーションと情のコミュニケーション
コミュニケーションには、知の部分と情の部分がある。私は、イオンでお客様サービス部門の経験が長く、苦情対応も担当していた。私の部下が、お客様に対して知でコミュニケーションしようとして、反発を買い、「店長出てこい」とコテンパンにやられるのを見てきた。
 ここでちょっと考えてみてほしい。「明日、うちの子は遠足なんですよ」というお客さんが、お店に来られたとする。あなたが従業員だったら、どうお答えするか?
 「お弁当要るんですか?」、「遠足用には、どんなものをお望みですか?」、「晴れるといいですね」など、いろいろな返事の仕方があるだろう。
 「晴れるといいですね」は、情のコミュニケーションである。それに対して、「アレルギーありますか?」、「予算はいくらですか?」「食べられないものはありませんか?」というのは、知のコミュニケーション、左脳の世界だ。
 人は普段、99%くらいは右脳で生きている。特に、女性はそうだ。だから、お客様に対して、知のコミュニケーションではなかなか通じない。第一声では「晴れるといいですね」とか、「楽しみですね」と情の対応をしたのちに知の対応が必要である。
有機野菜に虫が付いていたら…:お客さんへの第一声は
 有機では特に、伝えるとき、左脳の部分で説明してしまいがちである。そこでまた質問だが、有機野菜に虫が付いていた場合、どう答えればよいだろうか?
 昔、私が店長をしていた頃、お客様からの指摘に対して、店員が「いるんですよね、虫は」と答えたことで、お客様がカンカンに怒ってしまったことがあった。
 これが正しい回答というのはないのだが、お客様の感情をまず先に考えると、「虫がいて気持ち悪かった」ということだろう。だから、第一声としては、「それは気持ち悪かったですよね」という一言が大事だ。こういう共感の一言が言えるかどうかで、お客様の気持ちは変わる。そのうえで、「申し訳ございません」「オーガニックでは、自然なことです」などと続ける。コミュニケーションの仕方次第で、単なる申し出が、苦情になってしまう。苦情は、受ける方が作ってしまうことが多い。
(2) ビオの魅力の伝え方
「情のコミュニケーション」から見たビオの魅力
 ビオの魅力を、どう伝えていくか。「有機農産物JAS規格は、コーデックスで定められ、2年以上化学肥料や農薬を避けて栽培され….」というのが有機JASの定義である。これは「知のコミュニケーション」で、そのまま言っても、お客様には一切頭に入らないだろう。
 「情のコミュニケーション」から見たビオの魅力とは、何だろう。見た目、おいしそう、鮮度がいい、POP、試食、レシピ提案、接客、イベント、鮮度、フォトジェニック…と、いろいろな要素があがってくる。
 「フォトジェニック」というのは、写真でかっこよく見えることである。同じ野菜サラダでも、キャベツの置き方次第、カラフルな野菜がどれだけ入っているかで、お皿に載せて写真を撮った時の見栄えが違う。フォトジェニックな写真が撮れて、しかもそれが有機であれば、そこでやっと「有機」という部分がお客様の頭に入ってくる。新しいユーザーの方の場合は、特にそうだ。有機JASでも、見た目や売り方、魅力の伝え方を工夫しなければいけない。
店舗内撮影をオープンに
 ビオセボン・ジャポンの店内では、写真撮影を許可している。極端な場合、一商品ずつ写真を撮っていく競合店の人もいるが、それでも写真をOKにしているのは、お客さんは皆、レストランに行った時と同じように、写真を撮って、アップしたいからだ。そういう気持ちを大事にしている。パッケージも大切で、そこからオーガニックに興味を持ってほしい。
 若い層に届くにはどうしたらいいか。ビオセボンに併設でオープンしたピカールは、冷凍食品の専門店だが、写真写りに徹底的にこだわっている。それで、冷凍食品なのに、お客さんたちがどんどんインスタグラムでシェアしている。
 オーガニックを、情に訴えて伝えるにはどうしたらいいのか、その方法を絶対に見つけたい。私は今、そういう強い思いを抱いている。羊のキャラクターも、その一助になると思う。
(3) 最後に
 ビオセボンとしては、「手をかけて生産されたビオっておいしい」ということを、生産者と共に伝え、ビオを身近に感じていただける存在になりたい。そのために工夫を重ねたい。
 生産者の方々には、お店でどんどん試食会を開いて、生産の苦労やストーリーをお客様に伝えてほしい。お客さんが家庭の食卓で家族にその話をするうちに、オーガニックや生産者について「もっと知りたい」という気持ちも強まっていくのではないか。
 ビオセボン・ジャポンは、まだ生まれたばかりだが、オーガニックの先輩方と一緒にやっていきたいと思っている。
| Kosuke Ogawa | 07:41 | - | - | pookmark |

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