マクドナルド、期限切れ鶏肉事件から一年後も業績は浮上せず

 昨日、マクドナルドの月次データが公表された。業績は回復しているという予想に反して、9月の既存店売上高は、▲1.9%だった。とりわけ、客数減(▲4.1%)が止まっていないことは、長らくマックを観察してきたわたしにも衝撃だった。これで、29か月連続で客数が減少している。



 9月は記録的な悪天候(大雨)が続いていたが、それを理由とすることはできない。たとえば、競合のモスバーガーは、9月の既存店売り上げが、+8.3%である。あまり業績が思わしくないと見れているすき屋でも、+0.7%。吉野家は、+5.0%だった。
 隣接フードビジネスでは、惣菜大手のロック・フィールドは、+2.5%。テーブルサービスのすかいらーくグループでも、9月の既存店は、+1.3%だった。外食・中食の全般は、むしろ台風の影響はほとんどなかったといってよさそうだ。

 マクドナルドの「ひとり負け状態」は、いまだに続いている。まだ噂の段階だが、「昼マック」(低価格メニュー)がなくなるという情報がネットを駆け巡っている(公式発表があったわけではないが)。少し前には、プレミアムコーヒーを値上げしたりもしている。
 デフレ時代にはもっとも強みだった価格競争力を失って、客離れが決定的になっている。基本的には、原田時代にマーケティング手法のほぼすべてを使い切ってしまったことが、いまになっては痛い。飛び道具に見えるメニューの刷新も、目先の手法だけで、定番メニューとしては定着していない。数か月まえに導入したサラダメニューはどこに行ってしまったのだろう。
 基本的に、もはや打ち手がなくなってしまっているのではないのか。英国とインドを除くと、世界のマクドナルドも同様な傾向にあるようだ。そうなってはほしくないが、筆者の予言が近いうちに的中してしまいそうだ。究極の選択肢としては、日本からの撤退やビジネスの売却もありうるのでないだろうか?