「ナチュラルローソン・オーナー向け展示会(2015年下期)」を見学してきた。昨日の午前中、アシスタントの青木恭子と会場で待ち合わせた。本社ビル地下の展示会場で、秋口から登場するナチュラルローソンの商品を試食しつつ、商品担当の稲葉さんや江藤さん、柴崎さんからお話を伺った。
稲葉さんによると、「NLのオーナーのほぼ全員が、午前・午後の二部制で開かれる展示会に参加する」らしい。ナチュラルローソンならではの、ビジネスに対する関与の高さがうかがわれた。実際に、わたしたちは午前中の半分(約1時間)しか会場に滞留できなかったが、その間、地下ホール(ゲートシティホール)の会場はすごい熱気だった。
見ていると、ナチュラルローソン本部のSV(スーパーバイザー)や商品部MD(マーチャンダイザー)の年齢がすごく若い。女性の比率が非常に高いので、展示されているワインやブレッドや惣菜が新鮮でおいしく見えるか?(笑)。オーナーたちは男性が主だが、私が知っているコンビニのオーナー層と比べると、10歳は年齢が若いのではなかろうか。
<展示会のテーマ>(小川の解釈)
前回までを見ていないので確かなことはわからないが、次の3点が、商品政策上のポイントではないかと感じた。
(1)粗利重視のMD(メーカーとリスクを折半する)
NL(ナチュラルローソン)のビジネスは、売り上げ規模を大きくするモデルではない。規模を追わないモデルなので、適切な利益を獲得しなければFC事業(本部も加盟店も)としてはうまみがない。オーナーの立場に立つと、商品ごとに粗利が30%~40%稼げると嬉しい。粗利を高くとるモデルを必要としているが、NLの取り組みがそのヒントになる。
粗利を高くとるために、NL事業では、国内外の産地からの直接調達と在庫リスクをとるビジネスに乗り出している。たとえば、ワインに関していえば、成城石井と組んで商社を仲介せずに海外から直接買い付けすることで、値入を大幅に改善していく。しかし、特徴のあるワインブランドながら、店頭価格は1,500円~1,800円である。また、国産のマルキ葡萄酒(1891年創業、日本現存最古のワイナリー)などをNLが先行して発売している。これも専売品で粗利が高い商品である。
(2)特徴のある品揃えと新しい販売方法
①アルコール飲料
ウィスキーやビール、そのつまみとなるチーズやチョコレート類では、日本産のウィスキーや地ビールのメーカーと組んで、工場から直接調達している。日本産のウィスキーは常に品薄で、海外の人からも人気が高い。発酵加熱していない地ビールを品揃えに加えたり、海外のチョコレートはバルクで輸入して、パッキングし直している。加工段階を加えたことで、在庫リスクを抱えることになるが、これで値入率がかなり改善されている。
②お弁当、サンドイッチ類
目についたのは、野菜の量を増やしたサンドイッチだった(パンから野菜がはみ出している!)。NLのメイン顧客が20~30代の女性であることもあり、健康志向のサンドイッチは人気になりそうだ。
おもしろかったのは「マスずし」(棒状タイプ)が、商品ラインに加わったことだ。地方(富山)のLBメーカーから、NLが固定数量(週販で300とか500)を引き取り、最低限の出荷量を確保する。このマスずしのメーカーは、残りを自社LBとして自由に販売できる。
また、弁当では、「売り切れ御免モデル」の試みが始まっている。通常の常温弁当では添加物が入っている。これをしないためには、出来立てを提供することになる。そのために、「昼限定」で販売することにした。在庫リスクがあるので、数量限定で売り切れ御免である。無添加・無化学調味料のお弁当で、売れなければ即日に廃棄する。
ちなみに、価格は650円で、会席風のは850円。臨海地域のNLで実験中で、常温弁当よりたくさん売れている。前日の夕方に製造したものを、翌日朝店頭で販売する。
(3)オーガニックとローカルな加工品の取り扱い増加
酪農品では、北海道の興部(おこっぺ)の加工認証がある農家(ノースプレインファーム)で作られたチーズやヨーグルトを扱うようになったこと。この農場は、牧草から有機に取り組んでいる。乳製品では珍しい有機JAS認証をとった牛乳やヨーグルト、およびその加工品のラインで構成されている。たとえば、「低温殺菌ノンホモジナイズ オホーツク おこっぺ有機牛乳」。180mlで小売り売価は360円くらい。
ドレッシングでは、「地域産品のドレッシング」がユニークな取り組みだった。わたしたちが見たのは、たとえば、「野田村のホタテ和風ドレッシング」。同じものが、NLのサラダドレッシングにも付いているのだが、商品名は入れていない。これも、数量が限定されていることと、販売リスクを保証するための工夫である。つまり、完成品と加工品を同じ地方メーカーに依頼する実験である。
<その他の出会い>
なお、会場でふたりの人を紹介された。一人は 豊増洋右さん。 NL の FC オーナー( NL 神宮外苑西店)であるクルック社は 同時に、「農業生産法人 (株)耕す 木更津農場」を運営しており、豊増さんは生産者として、木更津農場を担当されている。
外苑西店はNLのパイロットで、いろいろ実験をしている。10月に木更津の農場を見学させていただくことになった。木更津市は、自治体としても、綾町のような、「オーガニック宣言」を出すことを考えているそうで、オリンピックの選手村やキャンプ地にオーガニックの食材を供給するプロジェクトにも、参画しようとしている。
もう一人は、銀座周辺のNL7店舗のオーナー、有限会社白山屋代表取締役の宇登裕紀(うと ひろのり)さん。宇登さんは、FCになって10年になる。ローソンも同時に4店舗を経営している。NLが初めてFCを募集した時のFC初期メンバーの店主で、今でもNLのプラニング、商品政策などに関わっている。宇登さんの話では、「FCをみて感じるのは、来店客の目線が高いということ」。「ナチュラルローソンが始まった当時は、これはコンセプト的に早すぎると思っていた。でも、今は時代がようやく追いついてきた感じがする」。
今度は、NLオーナーたちが集まる場所に参加させていただくことにして、皆さんと別れた。