ヤマダ、おまえもか! 小売業は都心部に向かう?

 「ヤマダ電機が5月中に40店一斉閉鎖して、都市部にシフトする」(「日経ニュースメール」5/24朝版)と発表されている。地方店が低収益で苦しんでいることで、人口が増えている都市部(とくに東京都心)に店舗を移動する決断をしたらしい。



 郊外に出店してきたディスカウント型小売業が、都市部に出店を増やしている。知り合いの経営者の会社が、ことごとく郊外から都市部に店を増やしている。地方の不採算店舗を同時閉店するヤマダ電機(群馬)もそうなのだが、埼玉・群馬の出身企業が多いのが特徴だ。
 ファッションセンターしまむら(埼玉、野中社長は群馬出身)、ホームセンターのカインズ(埼玉本社、元は群馬企業)、カラオケチェーンのまねき猫(東京、コシダカホールディングスの出身は群馬)。ユニクロ(山口)、ニトリ(北海道)も、駅構内や東京都心部に小さな店舗を構えている。しかし、これらは、これまでは地方の郊外で成功してきた企業群だ。
 高い家賃を支払って、ほんとうに十分な収益が獲得できるのだろうか? ヤマダ電機などは、都市部への出店では後発になる。ヨドバシやエディオンとの戦いで勝算はあるのだろうか。
 
 単純に考えても、郊外に店を構えていれば、売上に対する家賃支払いは5~8%程度。それが都市部(駅前や駅構内)に出店するとなると、12~15%の負担になる。低価格・低粗利(低回転)の商売では、利益が出せないだろう。
 ホームセンターや家具店が郊外で成立したのは、駅前立地の百貨店やGMSでは、家賃の高さと商品単価の高さが釣り合わなくなったからだった。高粗利ビジネスの隙間を突いて、ディスカウント型の小売業が郊外で繁盛してきた。それが、ヤマダ電機に見られるように、人口減少の地方生活圏は、ある程度の客数を必要とするディスカウンターは商売がむずかしくなったのだろうか。
 もう一方で、高齢化した世帯が増えている地方では、新規の需要が見込めないからだろう。しかし、そうなると、いずこも都心部をめざすから、食品スーパー(ミニ化している)をはじめとして、衣料・雑貨、住生活小売業も小型店同士で競争が激化する。百貨店は独自にセレクトショップを始めている。
 
 さて、ヤマダ電機のような大型店で、ほんとうに採算が取れるのだろうか?郊外で失った顧客と商売を、あまり実績がない都市部で取り戻すことはできるのか?ふつうではない金額の投資負担になるはずだ。下手をすると業績をさらに悪化させる可能性もある。