東京ディズニーリゾート、正しい二つの意思決定: アルバイト社員の正社員化と入園料の値上げ

 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、今年に入ってから賢明なふたつの決定を下した。昨年10月22日のブログで指摘したように、2014年度のTDRの顧客満足度(CS)は4ポイントほどが下落した。原因は、(1)園内の混雑度と(2)キャストなどのサービス品質の低下にある。



 (1)混雑の解消
 園内の混在度を解消するための対応策のひとつとして、オリエンタルランドは入園料を値上げした。サービスを改善するなど、いろいろと値上げの理由をあげてはいるが、本音のところは、混雑度を解消するためである(とわたしは解釈している)。
 「イールドコントロール」(待ち時間の快適な基準値を守る!)をしっかりすれば、顧客満足度はあがることはわかっている。しかし、入園者に対して入場制限をすれば(「バルブ」を閉める)、これは逆に不満を高める原因になってしまう。収益性を高めながら、同時に暗黙の裡に入園者数をコントロールできるのが、価格操作(値上げ)である。
 この点に関して、TDRは実にうまい口実(新テーマパークへの投資)を設けて、上手に消費者やメディアを説得することに成功したものだと考える。OLCの経営陣は立派である!

 (2)アルバイトの正規社員化
 これに関しては、昨日の共同配信からのニュースをご覧いただきたい。アルバイト社員の正社員化についてである。
 TDRが抱えている潜在的なリスクは、キャストの質が下がっていることである。また、人が集まらないから、年中アルバイトの採用をしていないと補充がきかなくなっていた。そのことに対する、抜本的な人事政策の変更がアルバイト社員の正規社員化だった。
 これは、昨年4月にファーストリテイリング(ユニクロ)が下した人事政策の転換を彷彿とさせる。ユニクロは、アルバイト社員の半分(1万6千人)を正社員化した。ご存知のように、驚くほどCSが向上して、ユニクロの国内業績はV字回復を果たした。オリエンタルランドもその方法に倣ったと考える。そして、基本的には正しい方針転換である。
 2015年度は、JCSI調査のCSトップに返り咲くのではないだろうか?劇団四季との競争では、いままでもまして、つばぜり合いがはげしくなりそうだ。日本のサービス産業にとっては、とても良いことである。

 記事を引用しておく。

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TDL契約社員ら正社員に
 2015年2月4日(水)19時41分配信 共同通信

オリエンタルランドは4日、東京ディズニーランドなどでアルバイトのスタッフを監督している「テーマパーク社員」と呼ばれる契約社員を、来年4月1日に正社員化すると発表した。給与水準を引き上げるとともに福利厚生も充実させ、優秀な人材を確保する狙い。

テーマパーク社員は来年4月に設ける正社員の職種「テーマパークオペレーション職」に就く。園内にある飲食店やアトラクション施設の現場責任者という業務の内容は同じ。同職種の新卒採用も始める。

テーマパーク社員は、今月1日時点で800人余りいるが、何人が正社員になるかは不明。