ドイツから今朝方帰りました。二つの展示会(メゾンオブジェとIPM)には、それぞれに印象深いものがありました。とくに、ドイツのIPMは4年ぶりでした。国際展示会が時間を経過してどのように変わっていくのかを目の当たりにすることができました。
また、欧州訪問の最重要目的である「MPS認証制度」の日本移転については、JFMAが「MPSージャパン」(総代理店)を設立することで交渉が成立しました。
交渉の場に臨席したキリンビール・アグリカンパニーの松島社長(JFMA副会長)曰く、われわれにとっては「100%満額回答」となりました。なぜ国際的な提携交渉が、これほどうまく運んだのかの理由を後ほど解説します。
結論から言えば、JFMAとして、MPSーABC・SQ(MPSプロダクション)とフロリマーク(MPSトレード)の総代理店契約ができたことになります。まずは、そのことを皆さんにご報告させていただきます。JFMAの活動にとっては、IFEX(国際フラワーEXPO東京)の開催続いて画期的な出来事になります。その意味を、以下では整理してみます。
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交渉ごとがうまく運ぶときには、実は「ラッキーはない」とわたしは思っています。物事がうまくいく背景には、それなりの理由が存在しています。交渉が決定的に決裂するときは、逆に、偶然の要素に交渉者同士が翻弄されるものです。これまでわたしも、交渉ごとでは何度と煮え湯を飲まされてきましたので、そのことは痛いほどわかっているつもりです。
今回われわれが100%の満額回答(追加費用なしで、MPSとFLORIMARKの同時一括総代理店契約)を得られたのは、オランダMPS側の事情があるからです。以下は、交渉しながら感じた私見です。会談はちょうど二時間でした(2月3日:午前9~11時)。エッセン中央駅の前にあるホテル「Movenpick Hotel」にある5Fのミーティングルームを、4時間押さえてありました。いかに短い時間で交渉が成立したか、おわかりいただけると思います。
オランダMPS本部は、花の業界を超えた国際認証機関として、さらに大きく飛躍しようと企図しています。野菜などを含んだ広範囲な農業製品分野で、国際的な環境認証組織として立とうとする印象をわたしは持ちました。また、そうであれば、米国の認証団体(VERIFLORA)などから、いずれは国際的な競争にもさらされることになります。もちろん現状では、オランダ側が相当に優位に立ってはいますが、いつ米国にひっくり返されるかわかりません。日本(アジア)は、欧・米のどちらのサイドにでもつくことができます。
そのように考えると、わたしどもJFMAがIFEX開催で相当程度の成功をすでに収めており、アジア戦略も明確なこと(アジアは一つの世界:One world, Asia)は、彼らと価値を共有しやすい組織なわけです。また、国際戦略上も是非ともつなぎ止めておきたい組織なわけです。自分がオランダ人だとしたら、アジアでMPS活動の橋頭堡を築く上でも、JFMAが最良のパートナーだと判断できます。昆明のオークションの状況を見てわかるように、中国(人)はまだまだ信頼がおける国ではないはずです。日本人は約束を守るし、一般的には、そう簡単に裏切り行為には走らない国民です。
オランダMPS本部は、農水省の保護行政を知っており、日本市場は相当にタフな場所であることはわかっています。したがって、日本でJFMAがMPSーJAPANを設立してくれて、オランダの環境思想を宣伝してくれることには相当なメリットを感じるはずです。「国際認証戦略」(生産ABCと流通フロリマークの一括同時移転)のモデル事例として、そしてまた、象徴的な成功事例として、MPSーJAPANを利用する価値があるわけです。交渉に当たって、われわれはかなり有利な立場にあったわけです。
そんなわけで、生産サイド(MPSーABC、SQ)と流通サイド(FLORIMARKなど)を一括して、MPSーJAPANとして契約することに成功できました。JFMA(MPSーJAPAN)が、以後は「MPS全体の認証総代理店」となります。日本の他の組織が、JFMAの頭越しにMPSの認証取得に動くことは、これによってできなくなりました。結果的にですが、オランダ側も日本で独自に動くことができなくなります。ある意味では、オランダ人にはめずらしく、「一蓮托生」を選択してくれたわけです。MPS関連の認証手続きはすべて、JFMAが一括して行う契約となります。
なお、具体的な調印作業は、今月末(2~3週間後)となります。マスメディアへのPRなどを考えて、オランダ本部のデグルート代表には、4月中旬から下旬にかけて日本に再度来ていただくことになります。