先週に続いて、JALに関する記事が掲載されていた。サブタイトルが、「お客よりも社内向け?」とある。破綻した企業だからといって、この程度の広告費の投入に躊躇することは無い! 再出発のためには、落ちた従業員のモチベーション喚起が必要だ。
再度、記事の一部を引用しよう。日刊ゲンダイ、2010年8月2日午前10時の配信記事である(掲載は、7月29日)。
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会社更生手続き中のJALが、自粛していたテレビCMを再開した。しかも、当代きっての人気グループ「嵐」を起用――。税金を派手な広告に使うのかと思ったら、肩透かしのような超地味なCMだった。(中略)
出演しているのはCAやパイロット、整備士など、本物の社員だ。現場で頑張る姿をアピールする企業イメージCMなのである。JALの大西賢社長によれば、「理解と支援への感謝の思いを表すため」CM再開を決めたというが、この辺の感覚がよく分からない会社だ。
JALは28日、10年4―6月期の連結業績を発表。速報値で164億3400万円の黒字になった。策定中の更生計画案では、今年度253億円の営業黒字を見込んでいて、このまま順調に行けば達成できるかもしれない。(後略)
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CM放映は1日に1~2回。8月中は全部で10回ほどの放映だそうだ。明らかに、インナーアド(社員の士気を高めるためのCM)である。制作コストは推定で1千万円。媒体購入費用も、非ゴールデンタイムならば、10本程度で1千万円程度だろう。
実は、上記の記事は、どちらかといえば、JALに批判的な記事内容になっている。わたしが”わざと”途中をカットしたので、そのニュアンスは伝わらないかもしれない。
わたし自身は、以前はJALに対してあまり好意的ではなかった。しかし、破綻した後でJALに乗ってみると、感じるのは、CAたちの必死さである。カウンター業務も、破たん前よりは改善されている。いろいろと問題はあったにせよ、
経営困難になる前、日本航空のホスピタリティは、そんなに低くはなかったはずだ。
禊はすでに済んでいる。メディアは、水に落ちた犬を、さらに蹴ってたたく必要はない。バッシングで喜ぶ人はいまや誰もいない。こんな記事でJALをたたいても、銀行にとっても、再生機構(税金を投入しているので納税者のわたしたち)にとっても、なんのプラスにもならないだろう。そろそろ、この論調はやめにしてもらいたいものだ。
かつてのナショナルフラッグキャリア(その資格と問題点を指摘する向きもあるが)として、予定通りに、企業再生が早めに完了することを祈っている。JALの社員の方たちには、プライドを取り戻していただきたい。だから、音楽だけの嵐のCMは、ぜんぜんOKである。