和菓子業界に新しいスターが誕生することを願う(「和菓子に未来がある」へのポジティブな反応)

 先週の金曜日、「日経MJヒット塾」のコラムで、和菓子の未来について記事を書かせていただいた。MJにシリーズで紹介している「食のイノベーション」の5回目(続・上)である。周囲の人間たちからは、「えっ、そうなの?ほんとに和菓子なんて、世界で売れるの?」という反応がふつうである。



 しかしながら、和菓子業界のひとたち(たとえば、虎屋さん)からは、「心強い応援」と受け止められているようだ。実際には、今度の欧州旅行(1月23日~29日)でも、パリにある虎屋の前をマイクロバスで通りがかった。MJにも店の写真が掲載されていたが、いつも列ができてお客さんで混雑しているらしい。
 すこし値段が高いようだが、それでもギフトなどで重宝されているという。アジア人にとって、和菓子の味覚はまったく問題ないことは以前からわかっていた。それが、欧米人にも広がりかけているというこである。
 個人的には、価格・コスト面(設備投資による量産)と日持ち性(最低30日)で技術革新が起これば、海外でももっと和菓子は普及するようになると思う。また、日本料理と同じであるが、職人が育つ環境を整える必要があるだろう。

 現状、女性はパティシエ(洋菓子職人)になりたがる。それと同等に、男性でも和菓子職人が人気になれば、状況がずいぶんと変わるだろう。親の経営を継承する和菓子屋は存在しても、新規に和菓子で起業する事例はあまり聞いたことがない。
 そして、辻や服部などの料理専門学校が、和菓子のプログラムを取り上げているという話も聞かない。ABCクッキングスタジオに、パンや洋菓子のコースはあるが、和菓子のコースはない。ここを突き破らないと、「和菓子が世界を制覇する」というわたしの仮説は実現にいたらないだろう。
 和菓子業界に、新しいアイデアを期待する。ポイントは、新しいタイプの商品、新しい店舗ブランド、そして、新しい人材である。和菓子職人から新しいスターが誕生することを望む。