オランダ便り#3(18-03-09)「エチオピアの花産業」

山本清子さんから、今度はエチオピアについての速報が届いた。グローバルな産業の投資行動が、最終的には自国の産業を崩壊に追い込むという、予定調和的なシナリオである。オランダ人がオランダの花産業を破壊してしまっている。自由経済の末路である。わたしたち日本人は、そのような筋道をたどらない方策を考えよう。


<エチオピアにおけるオランダの花>
 エチオピアでは、今、花革命が起こっている。
 首都アジスアベバ(ADDIS ABEBA)周辺の高地で、栽培農家の数が爆発的に増えている。2003年には3軒しかなかった花の栽培農家が、現在では、106軒にまで増えた。その半分が外国人の手の内にある。オランダ人が30人の他に、インド人、イスラエル人、ドイツ人がそこでは活躍している。
 エチオピアの花業界の輸出額は、(6万人用の雇用を生み出しながら、)2003年の550万ドル(約5億5千万円)から、2008年には1億5千万ドル(150億円)以上に増えた。エチオピアは2008年に10億本を生産し、そのほとんどをオランダに送っている。(注釈:一本が15円である)
 エチオピアは、オランダのオークションにとって、イスラエル、ケニアについで大きな輸入国(納品者)に成長した。エチオピアにとって、オランダは第4位の貿易国となっている。

 <AQ ROSES>
 首都アジスアベバの南部にある「ZIWAY湖岸」(読み方がわからないので言語でそのまま記述する)で、フランクとウイム(Frank and Wim)のアメララーン兄弟(AMMERALAAN)は、エチオピア最大の花栽培農業(加工場を含む)を経営している。 「アクローズ社(AQ ROSES)」は、オランダのライセンハウト(Rijsenhout)、スキポール空港沿いの高速A4にある、同族企業の出先機関(支店)である。毎日、25 万本のバラを切っている(フランクの談話)。花は、夜中に空港に輸送され、次の日にオランダ空輸される。
 アクローズ社は、主として女性労働者に、1日Ⅰユーロ強の額を支払っている。彼女らは、Ⅰ日8時間、週6日働いている。これは大変小さな金額のように感じるが、エチオピアの感覚では、かなり良い額を支払っていることになる。農場の賃金は、エチオピア国の平均額よりは20%多いので、毎日、100人に及ぶ就業希望者が会社の前に立ち並ぶほどである。
 エチオピアの男性の生活態度に対して、アメララーン氏はあまりよく思っていなかった。しかし、最近は、それについても少しずつであるが、変化が見られるようになった。数年前までは、多くの男性は何もしない怠け者であったが、今は、それも少しずつ変わりつつある。男性が、日常生活をやっていけるようになってきている。

 <Maranque Plants>
 「マランケプランツ社(Maranque Plants)」のドリーゼン氏(Driessen)は、5年前までは、エチオピア花市場のパイオニアの1人であった。マランケプランツは、苗会社である。アジスアベバの東部、自動車で3時間のところである。生産量は年間3億6000万本である。参考までに、オランダ市場は20億株で、世界全体では50億株である。
 「私たちは、この業界では大規模な会社である。もしオランダで、ミックスブーケを買ったとしたら、多分ほとんどといって良いほど、私どものものが入っているでしょう」(ドリーゼン氏)。
 従業員の知識レベルが大きな問題である。「私どもは、高価値の生産品を、全く教育を受けて無い従業員によって生産している」(同氏)。その他に、彼が直面する問題は、従業員がよく入れ代わることと、従業員間の民族間問題での緊張があることで、特に、エチオピアにある9民族のうちの2つである、AMHARAとOROMO間に問題がある。

 <農薬:化学薬品>
 鑑賞用作物栽培には、エチオピアでも、農薬を多く使うというイメージがある。しかし、「それは間違っている」と生産者は思う。「私達が使っている薬剤は、数時間以内に分解されるものであり、エチオピアでは、オランダでずいぶん前に禁止されている様なものを、トマトに散布しているのが現状である」。(注:意味不明な部分あり、確認する予定)
 この業界のイメージを良くするために、2007年に「EHPEAエチオピア園芸栽培業者協会」は、全ての園芸従事者が守らなくてはならない労働条件、環境保護規則を定めて、GAPのような?「農業倫理規準」を作成した。これに違反するものは、輸出許可書が剥奪される。
 今年に中立委員会が、まず18の園芸業者を管理下に置いた。