大学院生(岩崎君)のプロジェクト計画が大きく進展を見せそうだ。先月、本ブログで岩崎君と一緒に「TOMIX」(タカラトミーの子会社)を訪問したことを報告した。その記事をネットで検索した中国人の鉄道マニアの方(北京在住のL氏)が、親切にレポートを送ってくれたのだ。
年末に北京を訪問した岩崎君が直接L氏と面談して帰国した。詳細は、本日の午後に明らかになる。その前に、私のブログ(2011年12月1日「ホビー文化の成熟度と海外進出:ある鉄道模型メーカー社長の中国消費文化観」)を見て連絡をくれた、中国マニア鉄道模型市場についての情報を紹介しておきたい。
L氏は、日本滞在の経験もある20代後半の男性である。現在、日系大手企業に勤務しているらしい。L氏からの(わたしに来た最初の)メールを、岩崎君にわかりやすく直してもらった。
岩崎君によると、
「北京市内で中国人鉄道ファンのLさんにお会いしました。L氏は、北京在住の20代後半の中国人男性で、日系大手企業に勤務されています。日本でも4-5年仕事をした経験があり、日本語が大変堪能な方でした。そして、「ゆるい鉄道ファン」というよりは、「かなりヘビーな鉄道マニア」に属する方であり、私のプロジェクトにとって大変貴重かつ決定的な情報をたくさんお話し頂きました」
わたしのブログは、Googleで鉄道模型の情報収集をしているときに、偶然に見つけたらしい。L氏からは許可を得ているので、このあとに掲載する。
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「中国人鉄道ファンのLさん」からの2回のメール
(一回目はわたしに直接、二回目は、岩崎君の質問に答えて)
はじめまして。私は北京在住の中国人です。本日小川先生のブログを拝読しました。
中国の鉄道ファンの気持ちをお伝えしたいと思います。
・中国にも鉄道が好きな人(鉄道ファン)は存在します。北方よりも南方の地域に多いです。
・中国の鉄道ファンはどの国の鉄道が好きかと言うと、欧米、中国、日本の順です。
・中国の鉄道ファンは、一般的に写真撮影や鉄道関連グッズ(切符など)の収集をする人が多いです
。
・このうち、鉄道模型愛好家は3-5%程度と推測され、鉄道ファン全体に占める割合はまだ少ないで
す。
大人向けのホビーとして「鉄道模型」があるということ自体を知らない人が多いのが現状です。
・中国の鉄道模型愛好家は、「車両が好き」という理由で収集している人が多いです。
海外旅行や海外生活の経験がある人が増えてきて、海外の鉄道が好きな人も多いです。
・今後中国においても鉄道模型市場は発展すると考えます。競争環境も厳しくなるでしょう。
但し、中国は全体の収入レベルはまだ低いですし、一方で富裕層(成金)の人にとって鉄道模型は贅沢品(成功の象徴)といえるものではありませんので、鉄道模型市場が発展するかどうかは、中国の鉄道文化が発展するかどうかに懸かっているといえます。
・日本のブランド(TOMIXやKATO)の製品も、中国では信頼性が高いので、売れると思います。
例えば、中国人にとって新幹線は日本を代表する鉄道として広く知られています。
ファンの間では、EF66といったJRの機関車や貨物車も人気があります。
必ずMade in Japanであることが重要です。
・但し、中国人から見て日本の鉄道模型は入手経路が限定されていて、価格が高すぎますし、DCC(同一線路上を複数の列車が自由に走行できるようにする制御システム)の技術が弱く、他社(他国)製品との共通化に難があります。また、車体はプラスチックが主流で、金属使用量が少ない(高級感、重厚感に欠ける)という問題もあります。
ちなみに、岩崎君からLさんへの質問は、以下のようなものでした(岩崎君は中国語ができるので、オリジナルは中国語です)。
Lさんからいただいた情報は、私の研究にとって非常に重要且つ貴重なもので、心より感謝しております。もしよろしければ、可能な範囲で以下についても教えていただけますでしょうか。
なにとぞよろしくお願いいたします。
1)中国の鉄道ファンは一般的にどのような活動をするのか
(旅行、写真、鉄道関連グッズの収集など)
2)そのうち、鉄道模型ファンはどれくらいの比率いるのか
(Lさんの感覚で)
3)中国の鉄道模型ファンは、鉄道模型に何の価値を求めているのか
(造形美?機能美?旅行等で乗った経験を手元に形として置きたい?
Lさん自身が求めている価値でもいいので教えてください)
4)今後中国の鉄道模型市場は発展すると思うか
5)TOMIXやKATOの「日本型車両」は中国で売れると思うか
また、Lさんは、どのようなきっかけで小川教授のブログを見つけられたのですか?
小川教授も、国境を越えて中国からメールをいただいたこと、大変おどろいていました。
もしよろしければ、Lさんからいただいたメールの内容を、小川教授のブログに掲載してもよろしいですか?