【講演レジュメ】 秋田県立図書館 講演「これからの地方企業に求められるマーケティング」(9月28日)

 今週末に、何年ぶりかで秋田で講演をする。今回は、県立図書館で働いている実妹の友人を通しての依頼であった。講演後、秋田放送と北羽新報が取材に訪れる。講演は、マーケティングの話を皮切りに、代表的な地方小売業の「しまむらとヤオコー」を挟んで、元気な地方企業を紹介する。縮約版のレジュメを事前にアップしておく。

秋田県立図書館 講演(レジュメ)                2013年9月28日
ふるさとビジネスセミナー
「これからの地方企業に求められるマーケティング」
法政大学経営大学院(教授) 小川孔輔
(日本フローラルマーケティング協会会長)

0 はじめに: 「やさしいマーケティングの話」
(1)マーケティングってなんだろう?
(2)マーケティングの仕組み
(3)マーケティングの実行と計画
 スライド参照
*出典:小川孔輔(2009)『マーケティング入門』日本経済新聞出版社

1 地方企業の強み
(1)ある事実:
 大手小売業の中で総資産利益率上位10社中、
 地方出身小売業が8割を占めている!(2011年現在) 

  ユニクロ(山口県)、ポイント(茨城県)、西松屋(兵庫県)、カインズ(群馬県)
  しまむら(埼玉県)、クロスカンパニー(岡山県)、ハニーズ(福島県)など、
  

 それはなぜなのか? 3つの理由が考えらえる

(2)「北海道現象」とウォルマート
 ・過疎な場所(北海道)で市場を制覇した企業は、全国的にも圧勝できる
 ・世界最大の小売業(ウォルマート)は、アーカンソー州ベントンビル出身
  小さな田舎町から出てきたディスカウント小売業だった
  現在、グローバルの売上高が40兆円を超えている

2 しまむらとヤオコーの話
 
 埼玉県比企郡小川町出身(人口約3万人)の2つの企業
 なぜ、この二つの企業が成功したのか?

(1)会社概要(2012年)
 「しまむら」 ・・・ 衣料品スーパー専業(海外展開も)
   「ヤオコー」 ・・・ 食品スーパー専業(首都圏でのみ展開)
           
(2)日本の戦後流通史の典型としての両社
 ・ 両社の成り立ち
 ・ 共通点:
    地方の小さな町の出身であること
    女性パート従業員の働き方に特徴がある
    成長のスピードが緩やかであること
    チャレンジ精神が旺盛であること
 ・ 相違点:
    事業継承の仕方が対照的(理念継承 対 ファミリー)
    人材の採用方針が異なる(自社育成 対 スカウト人事)
    店舗の統制方法の違い(集権的 対 分権的)
    パート従業員の役割(標準化作業 対 自主的判断)

(3)地方出身企業の強み
  ・ 地方企業は、専門店集団で、しかも、例外なく後発である
  ・ ROA(総資産利益率)が高い企業は、ほとんどが地方出身企業
 
  ・ なぜ、そうした都市と郊外(田舎)の格差が生まれたのか?

  
(4)読者に伝えたかったこと
  ・後発の地方企業が、「偶然」を引き起こせたのは何だったのか?
 
  ・企業経営上のポイント

3 小さな地方企業の頑張り
(1)事例2: バリ勝男くん
   シーラック(静岡県)と販促研(杉山社長)
(2)事例3: 山形プレミアム弁当
   松川弁当店(山形)
(3)事例4: 高賀の森水
   岐阜県森林組合(中村社長)

4 秋田県の私的支援プロジェクトと提案
(1)「秋田 森のテラス」
  北秋田市(阿仁合)のオープンガーデン
  
*(2)「能代砂丘」をチューリップの球根栽培地に
  北海沿岸のオランダと日本海側の秋田海岸
*(3)ガーデンから始まる地域再生プラン
  本庄チェルシーフラワーショウ(2015年~)
*(4)秋田の食材を世界に
  参照事例: 奥田政行(鶴岡のレストラン「アルケッチャーノ」)
  野菜の在来種の発掘とレストラン経営