KDDIとローソンのポイントカード提携、狙いは顧客基盤を含むデータ統合のメリット

 本日(12月16日)の午後、「KDDI、ローソンと提携=ポイント統一し共通利用」(時事通信)というニュースが発表になった。KDDI(au)とローソンが資本業務提携をする狙いは、「両社の顧客基盤を生かして事業拡大につなげること」と報道されている。

 

 資本提携では、KDDIがローソンに約2%出資する。株式は市場から調達するので、本日、株式市場ではローソン株が5%上昇していた。同時にKDDIは、三菱商事の傘下にある共通ポイントサービス運営会社のロイヤリティーマーケティング(Pointaを運営)に約20%出資する。

 年明けには、KDDIのポイントサービスがポンタに統合される。これで、約1億人の利用者を抱える日本最大のポイント利用者サービスが誕生することになる。夜間無人店舗の実験などで、ローソンがスマホ決済に大きく舵を切っている。KDDIとしても、携帯電話でコンビニ向けのサービスを開発、競合2社に勝つための手段を確保できた。
 ローソンはポイントカードでは、ドコモ(dポイント)やLINE(LINE Pay)とも提携関係を持っている。KDDIとの提携はさらに進んで、顧客データベースの統合まで踏み込んだものである。その先の狙いは、買い物データの統合とデータ分析の用(メーカーへの外販)である。
 
 かつては、セブン-イレブンがベンダーを組織したNDF(日本デリカフーズ協同組合)が、コンビニの商品開発を主導してきた。他社は類似の組織を作って真似たものだが、セブンほどはうまく機能していなかった。新しいカテゴリーやヒット商品は、ほとんどがNDF初のものだった。
 ところが、セブンはいろいろな局面で躓きはじめている。いまやベンダーや加盟店に対する抑えが効かなくなっている。この先は、KDDIと統合したポンタがその代替的な役割を担うことになるかもしれない。決済機能と紐づいたデータ分析能力が、次世代のコンビニの優位を決定づけるだろう。
 今回の提携話の解説には、そうした視点があまり強調されていない。ポイントカードの統合の背後では、ビッグデータやAIの活用合戦が進行している。ポイントの統合も単なる数合わせではない。それだけで大きなメリットが生まれるとは思えないからだ。