マラソンやジョギングはお金がかからないスポーツ。カラダひとつで手軽にできるのが、最大のメリットだ。ところが、最近はお金をかける人が増えている。いったいどういうこと?その理由を取材した!
ゴルフや野球など道具を使うスポーツならまだしも、道具がいらないランニングでどうやって儲けるのか?
いまランナーを対象としたビジネスが東京を中心に大流行しています。たとえば、“ランステ”と呼ばれるランナーのためのステーション。着替え用のコインロッカーやシャワーを浴びる施設として、利用する人が急増中。
そもそもマラソンやジョギングは、お金がかからない運動です。なのになぜ、お金を出してまでこうした施設を利用する人が増えているのでしょう?
それについて、市民ランナーの1人でもある小川孔輔先生は次のように解説します。
「皇居の外周は都内では絶好のランニングコース。ただ、汗まみれのままで電車に乗るわけにはいかない。着替えたりシャワーを浴びる場所が必要です。そのための有料スペースが、いま皇居のまわりにたくさんできているんです」
でも、皇居ランナーは昔からいたはず。なぜいまになって?
「以前は、ほとんどのランナーは銭湯を利用していました。が、都内の銭湯は次々と廃業。また、生き残っている数少ない銭湯では、汗まみれのランナーをイヤがる地元客からのクレームが頻発。銭湯に行きづらくなったランナーのニーズを汲んだランステが流行るようになったのです。」
ランナーにお金持ちが多いのは、いったいなぜ?
ところで肝心の料金は?「ランナーズステーション」(神保町店)の場合、ビジター料金は1回700円。一方、都心部にある銭湯は1回450円(東京都)。ランステのビジター料金は、銭湯の倍近い料金です。が、ランナーにとってはそれほど痛くない金額のようです。
「専門誌『ランナーズ』の調査によると、男性の皇居ランナーの半数以上は年収700万円以上という結果でした。収入に比較的余裕がある人が多い。月に7000円程度なら、負担ではないんだと思います」
では、ランステの経営面は?儲かっているのでしょうか?
「ランステは“ファンラン”と呼ばれるミニマラソン大会をよく主催しています。参加料は大会によって異なりますが、1人3500円前後。400人が参加したら、140万円の売上に。さらに参加者は着替えのためにランステを利用するので、その利用料も入る。通常の利用に加え、このファンランの売上が経営を支えているのです」
マラソン大会の背後にいる仕掛け人とは?
ランナーを対象としたビジネスは、ランステだけではありません。たとえば観光業者もそうです。
「ホノルルマラソンは有名ですが、あれはホノルルにホテルを持つJALがスポンサーになって開催を始めた大会。海外で大会を開けば、お客さんに自社の航空機とホテルを利用してもらうツアーを組める。いまではホノルルに限らず、旅行代理店が世界のさまざまなマラソン大会ツアーを企画しています」
このように企業が熱い視線を送っているランナー市場は、今後どうなっていくのでしょう?
「今後も市場は拡大していくと思います。というのも、最近は20代の若い女性ランナーが目立つからです。ウェアやシューズなどファッショナブルなアイテムが増え、それを身に着けて走るのがおしゃれだとして流行っているのです。若い女性は自分のために使えるお金が多いので、市場はさらに過熱していくはずです」
ランナー向けビジネスには要注目です!